『君は僕の宝物』
 槇原敬之

 
1992年(平成4年)

新学期最初の席替えで、
彼女の後ろの席に
なりました。
 (ミッキキマス太郎
  [社会人1年目])

神様 ねぇ もし僕が
彼女といること
あたりまえに思ったら
力いっぱいつねって下さい
幸せの意味を忘れぬように


中学3年生の2学期。
新学期最初の席替えで、彼女の後ろの席になりました。
今でもはっきりと憶えている、廊下側の一番後ろ。
同じクラスなのに、
彼女とは一度も話したことはなかった。
新学期のプリントを前の席の彼女からもらったとき、
ちょうどテンションの高かった自分は
「よろしく!」と話しかけていた。
それがはじまりでした。

話をしてみるとお互いの笑いのツボが全く一緒で、
すごく楽しかった。一緒にいて居心地がよかった。
そんな彼女に惹かれていきました。
高校受験を控えていたのですが、
彼女と同じ高校を受験することを決め、
一緒に合格することができました。

高校入学までの春休みに、
私から彼女に告白。返事はオッケーでした。
すごくうれしかったのを覚えています。
高校では私がサッカー部員で、
彼女がマネージャー。いつも一緒でした。

私は親の影響で、槇原敬之さんの曲が大好きで、
部活帰りにいつもの公園で片方ずつイヤホンをして
彼女と一緒に聞いていました。
その中でもこの、アルバムタイトルにもなった
「君は僕の宝物」が私は大好きでした。
私の気持ちもこの歌と同じなんだよって
伝えたかったんです。
一緒に聞きながら、絶対に将来は彼女と結婚したいと
高校生ながら思っていました。

そんな私たちも大学生になり、県外へ進学。
私たちは変わりました。
彼女は同じ県の大学だけどすぐには会えない。
いつも一緒にいたので
会う時間が少なくなるのに耐えられなかった。
彼女のことを好きなあまり、束縛をしてしまいました。
自分に自信がなく、彼女のことが魅力的すぎて、
ほかの男にとられると思ってしまった。
束縛をしてもいつも一緒にいたから、
別れるわけがないと思ってしまっていたんです。
彼女といることを
当たり前に思いすぎていたんでしょうね。
大学1年の夏、彼女から別れを告げられました。

それからは、もうどうでもよくなり
色んな人と遊んだりしました。
ある程度遊んだら彼女もできた。
でも、あの頃感じた「結婚したいな」と思える相手には
巡り会えなかった。
中学、高校の青春の思い出の中にはいつも彼女がいて、
それを越せる人には会えなかったんです。
でも、彼女には戻りたいと言える自信もなく、
連絡することはありませんでした。

そんな悲しみを抱えながらも、別れた原因である、
自分に自信がないという欠点を変えようと
カフェ(スター〇〇〇〇)のアルバイトを頑張り、
自分の欠点を克服しました。
自分に自信がついたおかげで就職も無事に決まりました。

大学卒業も近づいていた冬。
私のバイト先に彼女は突然現れました。
3年半ぶりに会う彼女。
地元で就職がきまったと私に伝えたくて
会いにきたとのことでした。
「それくらいメールで言えよ」って言いながらも、
本当は嬉しかった。

それから連絡が来るようになりちょっとずつ会うように。
彼女と話をしているときに聞いた
「次付き合う人とは結婚したいなぁ」の言葉に、
もう一度告白を決めました。
結果は「よろしく」。
半分プロポーズになってたなぁ。

その日の夜、私の運転でドライブをすることに。
音楽をかけながらドライブをしていました。
ipodをシャッフルにしていると、流れてきたのは
「君は僕の宝物」
歌詞とタイミングが合いすぎていました。
もう一度二人でこの曲を聴き、
あの頃心に誓った結婚したいという気持ちを思い出し、
一生彼女を大切にしようと決めました。

神様が私にくれたもう一回のチャンス。
もう彼女といることを当たり前に思わず、
生きていきます。

(ミッキキマス太郎[社会人1年目])

うわあ、うわあ。
中学3年生の2学期から、
いまは社会人1年目。
長い恋が、こんなふうに結実するなんて!
そう、若い頃は忘れちゃうんですよ(ちょっと遠い目)。
それが幸せだってことがわからなくって。
へんな言い方だけど、
彼女がいちど振ってくれてよかった。
それがあっての今だものね。
「次付き合う人とは結婚したいなぁ」
っていう、再会したあとの彼女のことばは、
「早く言いなさいよ」ですねえ。
ひゅう、ひゅう。
お互い、ずっと好きだったんですね。

「ある程度遊んだら彼女もできた。」
というあたりで
「なんだそりゃ」と思わないでもなかったですが、
こういうエンディングならいいや!
おしあわせに!

ひゃあ、ひゃあ。
ときめいちゃいますねぇ、これはときめく。
読んでいるこちらまでこんなにも
しあわせな気持ちにしていただいて
ありがとうございます。
こういうときには素直に、
「ごちそうさま!」と言いたいです。

男性からの投稿っていうのも、いいなぁ。
まさしく、神様が与えてくれたそのチャンス、
だいじに、たいせつにしてくださいね。
それ、めったにあることじゃないですよ?
よ、この、しあわせもの!
もう、結婚結婚。
そして、
彼女のおかげで出会えたお仕事もたいせつに。
がんばってくださいね!

ああ、よかった。ああ、よかった。
こういう長めの投稿ってさ、
青年誌の連載漫画みたいに
「いつか悲しい出来事が起こるぞ」って
ついつい身構えちゃうもので。

しかし、そういう、
「安易なハッピーエンドにはならない」
というような妙なお約束など関係ないのが
「事実、実話」のいいところ。
いや、悲しい恋の思い出を
読んでかみしめるのも醍醐味ですけどね。

それにしてもipodシャッフルの
なんというマジックでしょうか。
そういう奇跡的なシャッフルってありますよね。

あと、関係ないけど、男性からの投稿は
かならず一、二箇所、
読んでてつっこみどころがあるのがいいなぁ。
ぼくはプリントをもらったところの
「よろしく!」で、
ちょっと「おいおい」って思った。

ぐし、ぐし。
いかんわこれ、こういうのに弱いわ。
相性がよくって、思いつづけて、
それはおたがいにおんなじで。
彼が自分で「克服した」と思えたくだりも
なんだそれ、すばらしすぎます。

彼女もいろいろあったんだろうなぁ。
それでも、地元に就職を決めて、
彼に報告に来たのは
「いちかばちか」の賭けだったと思います。

ずっといっしょにいると、
ふたりが出会ったことの貴重さが
わからなくなっちゃうんですよね。
でも、ぴったりくる相手ってそうそういない。
ときどきは思い出して、かみしめたいものです。
どうぞおしあわせに!!

9月ももうおしまいですが、
秋は恋の話をどんどんしたいです。
(夏も冬も春もしたいけど)
みなさまの投稿、お待ちしています。

 

2013-09-28-SAT

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