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 『そばにいて黙るとき』
 東京スカパラダイス
 オーケストラ

 
2009年(平成21年)
 アルバム「PARADISE BLUE」収録曲

私の恋は相手が
人間ではありません。
  (blue)

遠く離れてるときも そばにいて黙るときでも
穏やかな幸せ祈り また風に吹かれてく
明日は星にまかせて


恋の相手が人間じゃなくて恐縮です。
実は私、音楽に恋をしてしまいました。
あるトロンボーンの音に恋をしていることに、
気がついてしまったのです。
そのプレーヤーの音が聴こえると、
胸がザワザワっとする。
最初はなぜだかわからなかったんですが、
ある時気がつきました。
そう、これは誰かを好きになった時と同じ感覚。
キュンとしたり、せつなくなったり、
優しい気持ちになったり。
まさか、人間以外のものに
恋をする日がくるなんて‥‥‥‥
自分でもかなりビックリしていますが、本当なんです。

あまりに好きすぎて、
マイクを通さない音を聴いてみたくなり、
小さな小さなライブハウスで行われる
ライブに行ってみました。
何度か通っているうちに、
プレーヤーの方と顔見知りになりました。
楽器の音って、プレーヤーの性格や人生が
反映されているんですよね。
音色と同じく、とっても優しい方でした。
そして、私の大好きなあの優しい音は、
この人から出てるんだなぁ、と思うと
彼の健康や幸せを願わずにはいられないのです。
私がそばにいることで、
彼が現役を引退するまでの間に
1曲でも多く奏でることができるのであれば、
私の残りの人生を捧げ、一番近くで支え続けたい、
そう思うほどです。
でも、そんなことが叶うはずもなく‥‥
 
音楽が相手ですから、
一生フラれることはなさそうです。
が、実を結ぶことも一生ない。
せつない恋の真っ只中です。

(blue)

むかし、関西の大好きなテレビ番組
『探偵!ナイトスクープ』
マネキンに恋をしていた人が
そのマネキンをさがしあてる感動的な回がありました。
あのときも
「あ‥‥なんとなくわかる」
と思ったのですが、
トロンボーンの音色に恋をする、というのも
なんとなくわかります。

ほんとうは、作者なり演奏者なりの何かが反映されて
そこに心が動いているのかもしれないけど、
そうじゃない、私は「音に恋をしてるんだ」という
実感があるんですよね。

私は、はずかしながら
文字に恋をしたことがありますよ。
「ましょう」という文字配列なんですけどね。
意味的には「魔性」じゃなくて「let's」です。
ノートにびっしり書いていました。
小学生の頃でした。
あれ‥‥みんないなくなってる‥‥
誰か私の話を聞いて‥‥‥‥ひゅう〜。

「ましょう」という文字配列に
恋をするというのは、ちょっと置いときまして、
スガノの魔性(の女っぷり)は、
そこから来てるのかとかいう考察も
ほっとくことにいたしまして、
(blue)さんの、音に恋をするというのは
わかるような気がします。
恋と呼べるほど強烈な感情ではないけれど、
「このアレンジの、この音が
 なぜだかとてつもなく好きだーっ!」
と思うことがあります。
とにかくそこが聞きたくて、
何度もレコードに針をおとしたり
テープを巻き戻したこともあったなあ。
ぼくの場合は、かしぶち哲郎さんの
「ひまわり」という曲の、最初のほうに出てくる
ピアノのフレーズだったんですけど、
「ここが、ここがいいんだよ!」って
当時、ともだちに言ったら、
「わ、わかるよ‥‥うな気がするよ!」
って言ってくれましたよ。

ちょっと不思議な投稿であることを
客観的に理解しながら、
それでも抑えきれない恋心。

「私の大好きなあの優しい音は、
 この人から出てるんだなぁ、と思うと
 彼の健康や幸せを願わずにはいられないのです。」

この3行には驚きました。
トロンボーンの音色に恋をするというのは
そこまでたどって、想うことなんですね。
投稿のこの部分で「演奏者への恋」へと
グラデーションで変わっていくと思ってたら、
文面はそのまま「音への恋」で終了。
びっくりしました。
‥‥でも、きっとたぶん、
演奏者への恋心もちらっとあるのですよね?
どうなんだろう?

印象的な投稿をありがとうございました。
スガノさんの「ましょう」も、興味深いわー。
人間はほんとに複雑だー。

む‥‥みんな、理解のある文面だな‥‥。
いや、すみません、
「このトロンボーンの音が大好き」は
たいへんよくわかります。
が、「あるトロンボーンの音に恋をする」は
かなり難しいぞー。

その、「恋をする」って、
「好き」の深さによるものではないよね?
「好き<大好き<恋」じゃないよね?
あ、でも、「恋」の理由を挙げていくと
「声が好き」だったり
「手が好き」だったりするよね。
そういうことなのか‥‥いやいやいや、
その「恋」はあくまでも「人」に
結びついてるものなあ。

いやあ、難しいぞ、っていう意見も
あってふつうだよね。
投稿としては、すごくおもしろかったです。
ありがとうございます。

で、小学校のときに、「ましょう」って
ノートにびっしり書いてたやつがいるって?
「文字配列に恋をした」?
「魔性」じゃなくて「let's」?

もーー、困るよ、そういうの。
しかも、なんでそんなおかしな性質を
いままでずっと黙ってるんだよ。
荒木飛呂彦作品に出てくる
クセの強い登場人物かっつーの。

おかしなおかしな
「恋歌くちずさみ委員会」、
春休みスペシャル週間につき、
明日も更新がありますよー。

2014-03-27-THU

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