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 『ガーネット』
 奥華子

 
2006年(平成18年)

片想いのままに
しておけばよかった、
と今でも思うことがあります。
(ぽむぽむ)

いつか他の誰かを好きになったとしても
あなたはずっと特別で大切で
またこの季節がめぐってく


初恋でした。
いつも彼にべたべたついて回って、仲が良くて、
カップルみたいね、とみんなに言われていました。
小中高と学校は違ったけど、
保育園から続く家族ぐるみの付き合いは変わらず、
会う機会がよくありました。
会うたびに小さい頃と変わらずに
接してくれる彼のことが、ずっと好きでした。

大学生になって初めての、夏休み。
久しぶりに会うことになったわたしたちは、
浮かれていたのでしょう。
早く大人になりたくて、焦っていた。

何度夢見たか。
後悔しないようにいつか言わなくちゃ、と
思っていた言葉を彼の口から聞くことができました。
彼が、わたしと同じ気持ちでいた、
ということにびっくりして。でも、嬉しくて。

隣をただ歩くという行為が、手をつなぐことで、
さらに幸せな気持ちになることをはじめて知りました。

でも、急ぎすぎた。
大学生になりたてのわたしたちには、
好奇心を向けるものがたくさんありました。

ひと夏の恋、とはよく聞くけれど、
その名の通り、一ヶ月程度で、
十三年実らせたわたしの恋は終わりました。

片想いのままにしておけばよかった、
と今でも思うことがあります。
でも、彼と手をつなぐことができて嬉しかった、
と思うこともあります。
いつか、会ったとき、
笑って話せる日が来るのでしょうか。

まだかさぶたができないまま、
10代最後の夏が来ちゃいました。
気温の下がらない夜、急な雨。
もう思い出したくないのに、
ちょっとしたことで、去年の出来事が蘇ります。
いまだに過去を振り返っている自分に喝をいれたくて、
ここに投稿しました。
明日、美容院の予約いれようと思います。
(ぽむぽむ)

10代最後の夏に
投稿くださった、この恋歌。
もうすぐ、20代はじめての夏が
やってくる(ぽむぽむ)さん、
きっと似合っているはずのあたらしい髪形で、
元気にしているといいなって思います。
奥華子さんの「ガーネット」、
ほんとうにぴったりで、
せつなくなっちゃいました。

早く大人になりたくて、焦っていたきもちや、
思っていた言葉を彼の口から聞くことができたときの
そのうれしさ、手をつなぐしあわせ。

ぼくは「片想いのままにして」おかなくて
よかった、って思いますよ。
花火みたいにぽーんと打ち上がって、
消えちゃった恋かもしれないけれど、
「十代であんな恋ができたこと」を
たぶんきっといつか、
とてもたいせつなものとして
思いだすことができると思います。

13年思っていても
短期間でそうじゃなくなることがあるんですね。
読んでいて、そうなんだー! と驚きました。
でも、もしかしたら、そのふたりだけの
「ぴったりくる関係」というのものは
あるのかもしれない。
友だちと仕事したらうまくいかなくなったとか、
恋人と別れてからなかよくなれたとか、
よくありますもんね。

私が今回の投稿でいちばんグッと来たのは
「後悔しないようにいつか言わなくちゃ、と
 思っていた言葉を
 彼の口から聞くことができました」
というところでした。
自分のセリフを相手が言う。
これはほんとにびっくりして、
そして最高にうれしいですよね。

こんなうれしい思い出があるというだけでも、
おふたりは、恋を成就することができて
よかったと思います。
タイミングが合うのがきっと、
「大学生になりたての頃」だったんですよ。
これからもすごい出会いが待っていると思います!

ぼくも、その恋は、
片思いのままじゃなくなって
よかったんだと思うなぁ。

あの、高速道路、ありますよね。
高速道路を走ってたら、大渋滞。
降りて一般道を行ったほうがいいか、
このまま高速を行ったほうがいいか。
‥‥いつも思うんですけど、
どっちを選ぶにしても、
答え合わせってできないんですよね。

思えば、高速道路に限らず、
およそほとんどの選択は、答え合わせできない。

だからこそ、大切なのは、
しっかり選ぶこと。
そして、選んだことを
きちんと受け入れること。

やっぱり、たとえ終わることになったとしても、
その恋は告白されてよかったんだと思うなぁ。

うん。
上の3人と、同じ意見です。
「その恋ができてよかったね」と思います。
選んで通った道は、みんな正解。

最高のかたちで想いがかさなって、
手をつないで歩く幸せを感じて‥‥
ほんとはもうすでに、すてきな思い出なんですよね。
いまはまだヒリヒリするかもしれないけれど。

そして(ぽむぽむ)さんは髪を切り、
スニーカーのひもをきゅっと結んだら、
「さて」と、
前に向かって歩いて行くのでしょう。

ここに届く多くの投稿に今回のような明るさを感じて、
だからぼくらはこのコンテンツが大好きでした‥‥
って、まだまだ終わりませんけれど!
投稿受け付けを終了したので、
ちょっとセンチメンタルになったのかも。

「恋歌くちずさみ委員会」は、
本やCDにもなっています
よろしかったら、あなたの手元に残してあげてください。

4月も終わりますね。
次は5月さいしょの土曜日にお会いしましょう!

2014-04-30-WED

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