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 『おじぎ美人』
 スムルース

 
2007年(平成19年)
 アルバム『百万枚突破!!!』収録曲

彼は、私を見つけると、
ぺこりとおじぎを
してくれるのです。
(どんけ)

恋は ほどほどに そう 決めたはずだろ
何度でも 懲りないで 人をまた好きになる
油断をすれば すぐに哀しいから 穏やかでいよう


専門学生の頃。
同じクラスの男の子や、ひとつ上の先輩を好きになり、
メールを送ったり、頑張って飲みにいったり。
でも、どの人ともお付き合いできなくて。
彼氏いない歴=年齢なのが恥ずかしい、そんな20歳でした。

周りの友達はみんな彼氏がいて、
私だけひとりぼっちで、
世の中に認められていない気がして、
ひたすら毎日、つらかった。
私って透明なんじゃないかな。
いてもいなくても、いい存在なんじゃないかな。
なんて思っていました。

そんな日々のなかで、
また気になる人ができてしまいました。
同じクラスの、ひょろっとしている男の子。
特に特徴もなく、仲がよいわけでもなく。
だけど、なんとなく目で追ってしまう。

奥手すぎる私は、
男の子と話すのが苦手で、挨拶さえうまくできませんでした。
帰り道、彼とその仲間達を見つけても、
うまく声をかけられず、ぼんやりと眺めているだけ。

だけど彼は、私を見つけると、
ぺこりとおじぎをしてくれるのです。
私はうれしくて、
同じようにぺこりとおじぎを返していました。
私のことを見つけてくれる、
気にしてくれる人もいるのだと、
うれしかった。

今までなら、「好きだ!」と思って、
用事もないのにメールを送ったり、
頑張って話しかけたりしたのでしょうが
「頑張っても無駄だし、つらく哀しいだけ」
「両思いになんてなるはずない」と、
好きだと思わないようにしていました。

そんなとき、
彼が東京の会社に内定したのを知りました。
私はすでに、地元新潟の会社に内定をもらっていて。

そうか、遠くにいってしまうのか。
卒業したら、道で偶然会ったりすることは、ないんだな。
もうおじぎしてくれることもないんだ。

どう考えても寂しいと感じているのに、
それでも私は彼にアプローチをすることはなかったのです。

その頃。
大好きなスムルースがアルバムを出しました。
そのなかの1曲の、この「おじぎ美人」は
まるで私そのままの曲でした。
こんなに私の気持ちが、そして状況がぴったりくるなんて。
何度も何度も、この曲を聴きました。
そして何度も何度も、泣きました。
スムルースにも、なんとなく「君はいていいんだよ」
って言ってもらってる気がして、嬉しかった。

それからあっというまに卒業式が来て。
私達は卒業しました。

卒業式のあと、がまんできなくなって、
彼に「好きでした」とメールをしました。
東京にいってしまうから、
お付き合いできなくてもいい、と書いて。
ただ、好きだったということを伝えたくて、
私の、あの気持ちもスムルースの歌も、
なかったことにしたくなかったんです。

奇跡が起きることもあるのです。
彼も、私の事が気になっていたと。
好きだと、言ってくれました。
一度だけ新潟でデートして
あとは、遠距離恋愛が始まりました。

あれから6年経って、
東京からは帰ってきたけれど、
新潟の端と端に住む私達は、
相変わらず、月に1度しか逢えない、中距離恋愛です。
文句言いたくなったり、
もう好きかわからなくなったりするけど
この「おじぎ美人」を聴くと、
孤独から救ってくれたのはこの人だった!と
思い出して、ちょっとだけ優しくできるのです。

(どんけ)

やった! よかった!
じーんとしちゃいました、読んでいて。
気になっていた異性が
ある日ぺこりとおじぎをしてくれたら、
ドキドキだしうれしいですよね。
いいなぁ。
もしかしたら、
(どんけ)さんから見つめられていることを、
彼は気づいていたのかもしれませんよね。
その意味では、
臆病になりながらも(どんけ)さんは、
ちいさなアクションを起こしていたと言えるのかも。
ま、いずれにしてもほんとによかった!
その中距離恋愛、ハッピーにずっと続きますように。

スムルースというバンドのことは、
失礼ながらはじめて知りました。
聴いてみますね。
知らない音楽との出会いも、このコンテンツの醍醐味です。

スルムース、私も知らなかったので
ちょっと聴いてみました。
わりと好き系です!
教えていただいてありがとうございます。

「好きでした」とメールして
ほんとうによかったですね。
ああ、よかったー。

そして、私がいちばんじーんと来たのは
「もう好きかわからなくなったりするけど」
というところ。
恋歌が思い出させてくれることは
あんがい大きいものだったりするのだなぁ。

あんなふうに助けてもらったな、とか
こんなふうに好きになったんだった、とか
忘れずにいたいと思うときに
そこに歌があると、いい。
そのときの気持ちが鮮やかに広がりますもんね。

スムルース、じつは知ってました。
ぼくのiTunesにもいちまいだけ
「WALK」っていうアルバムが入ってます。
なんだかとてもみずみずしい人たちです。
ウィキペディアみたら結成17年なんですね。

かなわなかった恋の話だと
思い込んで読み進めていたら
(ゴメンナサイ!)
「奇跡」の文字でドキッ。
すごい、すごい。
やっぱり始まるべくして始まった恋なのだと思いました。
「おじぎ美人」のままにならなくてよかったねー!

端と端とはいえ、同県内。ずいぶん近づいた。
そのうちもっと近くになりますよ、きっと。

ほかのみんなと同様に、
応援しながら読んでました。
読み終えたいまも、まだ応援してますよ。
中距離恋愛が続きますように。
そして、いつか距離がなくなるといいですね。

「好き」のいちばんピークのところが
ずっと続く恋愛なんて、おそらくありません。
互いに、文句を言ったり、不安になったり、
「もう好きかわからなくなったり」しながら、
のろのろと続いていくのが現実の恋愛なのでしょう。

長い恋を続けていくにあたり、
ふたりが揺れ動くときに、
記念日とか、思い出とか、歌があると、
とってもいいですね。
素敵な投稿をどうもありがとうございました。

2014-06-07-SAT

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