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 『翼あるもの』
 甲斐バンド

 
1979年(昭和54年)
 シングル『安奈』B面収録曲

経験したことのない動揺に
感情を持て余していました。
(ペーパーシーズン)

明日はどこへ行こう
俺の海に 翼ひろげ
俺は滑り出す


17歳でした。

ちょっと遠くの大学に行っていてた人が
卒業して帰ってきました。

最初は道ですれ違った時に挨拶するくらいでしたが、
そのうち私の同級生4、5人といっしょに
立ち話するようになりました。

今のようにコンビニとかもない時代、
ほんとに道端でみんなでしゃべるというものでした。

中学から女子校へ行った私は
男の人と話す機会がなかったため
二人っきりというわけじゃないのに
すごく緊張していました。

ある日、みんなで
映画に行こうということになったのですが
もし席が隣になったら何を話していいのか悩んで
何日も前から緊張していました。

そのときの私はなぜ自分が
こんなにも緊張しているのか解からず
経験したことのない動揺に
どうしてよいのか感情を持て余していました。

結局映画はみんなの日時があわず
行くことはありませんでした。

しばらくして母から近所の噂話と共に
その人の名前が出ました。
えっ! と同時に体がかたくなるのが自分でもわかり、
悟られないようにふーんと返事をするのが
精一杯でした。

その人は結婚して海外に行ってしまう。

ショックだったのは会えなくなるということよりも
あのドキドキした感情が
恋だったと気づいたことでした。

あっという間に、
生まれる前に消えてしまった恋だけど、
初めてだれかを好きになったということに
かなわなかった悲しみより、
人を好きになった、恋をしたんだという喜びを
感じていました。

若かった、本当に幼かった。

そのころテレビのコマーシャルで流れていたのが
この曲、フレーズと
初めての感情に戸惑いながらも
ひとつ扉をあけて
これから自分の人生が大きく始まるんだという
夢や不安や期待で
胸がいっぱいになっていることと重なりました。

もう34年も前ですが
この曲を聴くといつも
船出しようとしている幼い自分を
思い出してしまいます。

(ペーパーシーズン)

この『翼あるもの』は
甲斐バンドのアルバム『誘惑』にも収録されています。
甲斐よしひろさんのソロデビューアルバムも
『翼あるもの』というタイトルですが、
そのソロアルバムはカバー集なので
『翼あるもの』という曲は収録されていないようです。

自分に翼がある、とわかって、
飛んでいけるんだ、と実感する瞬間、ありますね。
わっと世界がひろがっていく感じがします。

自分のはじめての恋を思い出すと、たしかに
「なんだかすっごくウキウキしてるけど
 これなに?!?!」
という感じでした。
淡すぎて、あれは恋だったのか、
いまもわからないくらいです。

で、思い出したことがあります。
ちょっと話がそれるかもしれませんが、
私は最近気づいたんですよ、
モテる女の人というのはですね、
恋に落ちていることがまわりから
いっぱつまるわかり、のことが多いと思います。
「あ、好きなんだ」
と、本人以外の全員がわかってしまうタイプです。
そわそわしたり、妙に近くにいたりして、すごく素直。
そりゃあ、相手の男の人だって、
告白したくなりますよねぇ。

ほぉー、へえーーー、そうかぁ、なるほど。
いや、上のスガノさんのコメントに対してなんですが、
たしかにそうなのかもしれない。
「反応がちゃんとある」ということは
告白を考えるひとつの大きな材料なのかも。
良い結果でも悪い結果でも、
「この人には反応する準備がある」ということは‥‥
うん‥‥そうだわ‥‥そういう女性はモテます。

さておき、
(ペーパーシーズン)さんの投稿、いいですね。
さわやかにときめいて、
生まれる前に消えてしまったけれど、
恋をした自分にドッキドキする。
34年前のその感覚を
よみがえらせてくれるのがこの曲なんですね。
ロマンチックというよりは、かっこいい曲。
でも、そう、バーンと広がっていく曲です。
17歳のその、羽ばたいていく感覚。
果てしない可能性。
いいなぁ。

ほーー、そうなのかー、そうかもなー。
いえ、上の上のスガノのコメントに。
どうなんだろう、と思ったけど、
仕事で考えるとすごく腑に落ちますよね。
「これ、あの人に頼むとよさそう」
というのは、その人のふだんの反応から、
「喜んで受けてくれる」というのが
わかっているからこそ、出る考え。
「こういう仕事、やりたいです」
っていうアピールがある人に
お願いしたくなりますもんねぇ。

さて、投稿、いいですねぇ。
「かなわなかった悲しみよりも、
 恋をしたんだという喜び」
のほうを強く感じていた。
感心するのは、その微妙な、
おそらくもやもやと
混ざり合っていたであろう感情のなかに、
きちんと2色の気持ちが
あることを感じ分けて、
ことばにできているということです。

恋をする気持ちを
新しい推進力と感じていることも、
なんというか瑞々しくて、
ちょっとうらやましいなあと思いました。

あー、そうかー。そうかもねー。
これ、でも、男子もたいしてかわらなくってね、
わかりやすいとまわりのサポートが得られたり、
しぜんとくっつけられちゃったりして、
成功率があがる気はする。
でもその「わかりやすい」は、
作為的じゃダメで、
もう心ならずもどーしよーもなく、の、
まるわかりじゃないといけないんだけどね。

それはともかく、

「この曲を聴くといつも
 船出しようとしている幼い自分を
 思い出してしまいます。」

っていうのはすばらしくすてきですね。
そのときの風景とか匂い、
それから、皮膚感覚みたいなものが
一気によみがえってくるんでしょうね〜。

もう世間はなつやすみ?
いろんな恋が生まれているのかなー。
ぼくのまわりにはないなー。
みなさまよい週末を!

2014-07-26-SAT

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