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 『バンザイ 〜好きでよかった〜』
 ウルフルズ

 
1996年(平成8年)

逃げました。
13歳年下の彼から。
(おかあちゃん)

バンザイ 君に会えてよかった


子供の頃から自分は将来結婚はしないんだって、
なんだか頑なにずっと思い込んでいました。

仕事も順調で趣味に遊びにと楽しんでいた頃、
共通の友人達と共に大学生の彼に知り合いました。
そしてなんの前触れもなく恋に『落ちた』んです。
彼の、一挙手一投足に引き込まれて
足元がグラグラ揺れて好きで好きでたまらなかった。
彼もまた真っ直ぐなハートで恋してるぞーって
届けてくれて嬉しくって、
舞い上がるってこのことなんだって思いました。

そして、当然の様に将来の事について話してくれる
彼の誠実さに涙が出る程嬉しかった。
こんなに嬉しい事はないよって思って、逃げました。
転勤願いを出し飛行機の距離へ。
13歳年下の彼から。

私が多く出すデート代を気にしてか、
動物園の入園口ではサッと券を買ってくれたり
知人のお店だよと連れて行ってくれた時には
私が知らないうちに支払いを済ませてくれたり。
そんな心遣いが嬉しかった。
と、同時にこれからするであろう沢山の経験を
彼は同年代の女の子とするべきだと思ったんです。
私がそうしてきた様に。

今は結婚16年目を迎え、
のんびり晩酌した後にベランダに出て空を見ながら
彼の事を想います。
なーんだ、結婚はしないなんて思ってたのに、
私は人生で2人も愛する事が出来たんだなあ。
バンザーイ君に会えて良かった〜って歌ってくれた事、
今も大切な宝物だよ。
今夜は私がくちずさむね。ふふふ♪
(おかあちゃん)

とつぜんの「逃げました」に、びっくり。
文章にすればたった一行ですが、
たくさんのことを考えての決断だったと思います。
舞い上がるほどうれしかった分だけ、
きっとつらかったことでしょう。
誠実な彼、すてきですね。まっすぐだなぁ。

ウルフルズのこの曲は、
もうすっかり結婚式での定番ですよね。
定番化していくほどに
照れくさくなったりするかもしれませんが、
ぼくはお祝いの場でこれが歌われるのを聞くのは
悪くないなぁと思ってます。
「バンザイ きみを好きでよかった」
おお、なんて正直で大きな肯定感。
「定番になる」って、すごいことですよ、ほんとに。

私も、小さい頃に周囲に
「自分は結婚しないと思う」と
公言していました。
両親もそれでいい、と言っていたのですが、
あっさり結婚してしまいました。
そんなものかもしれません。

でも、その逃げ方、すごいですね。
彼から逃げるだけであれば
「別れよう」で済むところでしょうけれども、
やはりそれは彼との幸せを歩んでいく自分から
手の届かないところまで逃げなくちゃ、
という思いがあったのかもしれませんね。

バンザーイ、君に会えてよかった、
会えたから、もういいんだ。
会えたから、死ぬまでハッピー。
そう思えたらほんとうにいいなぁ。

いやあ、恋愛は理屈じゃないから
伏線も前ふりもなく展開するっていうのは
このコンテンツで思い知らされたことだけど、
「こんなに嬉しい事はないよ
 って思って、逃げました。」
っていうのはまいったなあ。
これだけで、恋歌の中に登場する
例の「魔法のフレーズ」みたいです。

そして、物語がこんな形で
ハッピーエンドになるというのも、
うれしい意味で予想外。
「人生で2人も愛する事が出来た」だなんて。
いろんな思いがけない展開を
トータス松本さん歌声が包み込みます。
♪バンザーーーイ
うん、いいエンドロールですねー。

あー、女性、つよいなー。
前回の投稿でも思ったんだけれど、
一緒に恋に落ちていたはずの彼女が、
突然13歳上としてそういうふうに。
置いていかれる男だったらつらいっす!
でもまあ、男も女もないんだろうなあ。
たまたまこの場合は、年上の女性が、
年下の男性から「逃げました」。
……思うんだけど、逆だったら
「捨てました」になるところだよね。

「これからするであろう沢山の経験を
 彼は同年代の女の子とするべきだ」かあ。
正論で諭されちゃったのね。
「まあ好きだけど、
 それほどでもなくなったから!」
「もうムリー! 年齢差、ムリー!」
……って言われたほうがいいのだろうか。
うーん、でも、別れることにはかわらないしなあ。
別れると決まったら女性はハッキリしてるしなー。
あ、また最初に戻っちゃった。
彼の幸せをつよくつよく祈りつつ
週末を迎えることにいたしましょう。
ではまたー!

2014-08-02-SAT

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