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 『Change The World』
 BABYFACE with Eric Clapton

 
1997年(平成10年)
 アルバム『MTV Unplugged NYC 1997』に収録

久しぶりにこの曲を聞いて、
ちょっと勇気がでました。
(ほんとは肝っ玉母ちゃん!)

I would be the sunlight in your universe


社会人になりたてな二十代前半の頃、
友達の友達、そのまた友達みたいなつながりで
年齢を問わず仲良くなって
何かしら理由をつけてはしょっちゅう集まり、
みんなで飲んで食べて遊んでいた仲間がいました。
私はその中で一番年下だったので、
いつも皆から子ども扱いされてからかわれて、
でもそれがとても居心地が良くもありました。

あるとき、たしか皆でスキーに行く道中で
すごく素敵なメロディが
カーステレオから流れてきました。
これ、なんていう曲なんですか? と、尋ねると
夜景が印象的なCDジャケットが手渡されました。
他の皆は歌詞を口ずさんでいた中で、
この曲は、フェノミナンていう映画の曲でね、
これはベビーフェイスって人が歌ってるバージョンでね、
っていうか、ベビーフェイスって知ってる? と、
ニコニコしながら教えてくれたのが
笑顔がお日様みたいな、4つ年上のお兄さんでした。
アナタはほんとに何にも知らないんだからなぁ〜と、
いつものようにからかいながら。

数年後、この笑顔がお日様みたいなお兄さんは
私の旦那さまになりました。
更に数年経って、子どもが生まれて
私たちは父親と母親になりました。
世間並みに夫婦喧嘩をしたり、
もう別れてやるっ!
と思ったこともあったりもしました。
しかし、アナタといると本当に楽しい、と、
ふとしたときに、
彼にお日様みたいな笑顔で言われちゃうと
まぁ、いっかぁ〜と、私も笑っちゃって
もう一杯やりますか、と、
どちらからともなく冷蔵庫からビールを取り出して
おしゃべりすることが尽きない晩酌の時間。
子どもは可愛いし、アナタは面白いし
俺は年を重ねるほどどんどん幸せだなぁなんて、
これまたお日様みたいな笑顔でいう彼に
あきれるやら、照れくさいやら。

そんな折、
最近私の体調に「あれ?」ということがあって
一応検査してみましょうとお医者様から言われました。
何ともないことを確認すればいいんだから、と、
気軽に検査を受けたら気になる箇所が見つかり、
更に検査が続くことになりました。
悪いものがあったら切って取っちゃえばいいし〜と、
おちゃらけて報告した私に、
彼は少し厳しい顔をしました。
アナタ、本当のところは、体調はどうなんだ?
と聞く彼はちょっと泣きそうな顔でした。
大丈夫だよ、と答えたら
ちょっと曇った笑顔をしてくれました。

数日後にわかる検査結果はどうであれ、
悪いものでも受け止めなければなぁと考えると、
子どもの寝顔を見ながら、眠っている彼の姿を見ながら
なかなか寝付けなくて、夜中に泣いて泣いてしまって。
そして、思いました。
やっぱり、彼にはお日様みたいな笑顔でいてほしいな。
彼にそっくりに育ってる子どもも、
ほがらかに笑っていてほしいな。
私、しっかりしなくちゃなーー。

諸々、きっと大丈夫。
私には大きなお日様と可愛いお日様がいる。
久しぶりにこの曲を聞いて、ちょっと勇気がでました。
(ほんとは肝っ玉母ちゃん!)

うん、きっと大丈夫!
きっときっと大丈夫!
大きなお日様と可愛いお日様も
ぜったいそう思ってるはず。
この投稿が届いたのは、昨年の10月のこと。
紹介したいメールがたくさんたくさんあって
ずいぶん遅くなっちゃいましたが、
(ほんとは肝っ玉母ちゃん!)さん、
きっと今ごろ元気にしてますよね。

Change the World、
「夜景が印象的なCDジャケット」
というのは、これじゃないかなと思います。
MTV UNPLUGGED。
そのことばだけでなんだか懐かしいな。

「あなたといると本当に楽しい」
と言われたり思ったりするのが
いちばんだなぁ、と思います。

わたしは、あたらしく家族を迎えたり
人とチームを組んだりしたときに
「楽しい」についてちょっぴり考えたことがあります。
生きものにとって、しあわせが
どういったものなのかはわからない。
だから「あなたをしあわせにする」という約束は
できないけれども、
「楽しくする」という約束だったら
できるかなぁ、と。

大好きな人たちと楽しくすごす力は
自分たちの世界を変えると思います。

そうですね、ほんとうにそうだ。
「たのしくなるために生きています」
と、ぼく自身のことでは言い切れる気がします。
機嫌よく、たのしく。
いっしょに暮らす周囲のみんなにも、
そうあってほしいと心から願います。
でも‥‥それを自分ができなくなっちゃうことも、
あるんですよねぇ。
つい機嫌がわるくなったり‥‥。
ああ、気をつけよう気をつけよう。
周りにそう願う前に、己はどうなんだ? と。

お日様のような笑顔に照らされている
この投稿者さんも、きっとお日様なのでしょうね。
文面がもう、輝いています。

年を取るほどに実感しますけど、
恋愛というのは、ほんとに、
人生の一部というか、
生きていることと密接に関係するのですよね。

さわやかな恋の思い出から
深い物語へと視点の変わる投稿を読んで
しみじみとそれを感じました。

いまごろは、お日様のような笑顔の
旦那様といっしょに、
忘れたころに掲載されたこの投稿を読んで
にこにこしてらっしゃることと信じます。

2014-08-06-WED

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