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 『グッド・ラック・アンド・
グッド・バイ』
 荒井由実

 
1976年(昭和51年)
 アルバム『14番目の月』収録曲

こっそり上履きを洗ってあげた
あの彼が、時をこえてやってきた。
(むーみん)

傷ついた恋なのに もう跡形もないのよ
偶然逢えたら泣き出しちゃうと 思っていたのに


中2の時、生まれて初めて恋をしました。
もうその人を笑顔を見るだけで胸がいっぱい。

話しかけられたら死んでしまうかも知れないくらい
彼のすべてが本当に心から好きでした。

でも、引っ込み思案の私は遠くから眺めるだけで
告白なんて夢のまた夢。
なのにやる事は大胆で後からドキドキしましたが、
 (『最後の春休み』に載せていただきました)
卒業式に遠くから
彼の制服の後ろ姿をカメラに収めて
それで初恋は終わりました。

20歳の時も、25歳の時にも、
淡い期待を抱いて出席する同窓会に彼は顔を見せず、
多分もう一生逢うこともないんだろうな、
そう思っていたのに。

なんと50歳記念の同窓会の2次会に
ひょっこり彼がやってきました。
仕事で1次会は出られなかったとの事でした。

私が昔、彼が郷ひろみに似ていると友達に話したら
大笑いされて、以来黙っていましたが、
やはり今もどこか郷ひろみに似た、
けれど穏やかで渋さも優しさも十分にある
ステキなおじさんになっていました。

場所を移した3次会で、最後に店に入って来た彼は
なんと私の隣に座りました。
もう気持ちは中学2年に逆戻り!

趣味が高じて仕事になっている私の手作りの作品が
先生方への記念品に選ばれたという話を
誰かに聞いて来たらしく、とても興味を示してくれて
途切れ途切れですが話す事も出来ました。

帰り際、その席に居合わせた友達全員と、
勿論彼とも携帯の番号も教え合ったけれど、
電話はかかることはありませんでした。

とにかく元気で逢えて良かった。
笑顔が変わらず優しくて良かった。
話せて良かった。

本当にそれだけで満足でした。

ですが、その年の暮れ。

恒例の私の個展の前日に、突然彼が来てくれました。
新聞で見たからと言って、
お昼休みに車で駆けつけてくれました。
ひとつひとつ、大事そうに手にとって
眺めてくれる横顔を見ながら
私はちゃんとした人を好きになっていたんだなと
嬉しくなりました。

作品はマフラーでした。
彼はその年私が一番好きな糸で作った
一番好きな色のマフラーを自分用に選んでくれて、
さらに女性用を2本、
おそらく奥さんとお母さん用に。

今でも優しい人なんだなと思いました。

午後の仕事が始まるまでの30分、
他に誰もいない暖かなギャラリーで、
珈琲をおかわりしながら
他愛のない話をしました。

それはそれは幸せな時間でした。

「あの頃声をかける事も出来なかった彼が
 私を訪ねてくれて、今2人だけで話している」

もしあの頃の私に逢えるなら
「好きな事を頑張って続けていたら
 いつか大好きだった彼が訪ねて来てくれるよ!」
って、声をかけてあげたいくらい嬉しかった。

2杯目の珈琲を飲み終えて仕事に帰って行く彼に
「身体に気をつけて元気でいて下さいね」
と声をかけ
通りを右折して帰って行く彼の車にお辞儀をしながら
私の耳に流れていたのは
ユーミンの
『グッド・ラック・アンド・グッド・バイ』でした。

(むーみん)

好きな男子の上履きを勝手に家に持って帰って
洗っちゃったあの子の後日談!
夏休みの上履き(+てぬぐいでしたよね)の
えもいわれぬ香りと、
「郷ひろみ」に似ていると思ったが
実はちがったかも、という
いがぐり頭とニキビのお顔を、
見たように憶えていますとも!

そして‥‥こんなに再会がすてきだったなんて。
あ〜〜。すごくいい!
中2のとき、
告白なんてできなかったかもしれないけど、
人として大切にあつかっていることを
彼は感じていてくださったんでしょう。
そういう友情はだいじにしたい。
気持ちは、言葉になんてしなくていいんですよね。

『グッド・ラック・アンド・グッド・バイ』は
昔の恋人に街で偶然会ったときの歌。
ほんのすこーーーしだけ、懐かしさが襲うけど、
彼に見えるように、バスの窓に
Good luck and Good byeと書く、
というストーリーです。

そうですよ、そうですよ、
しつこいようですが、この方は、
中学時代に好きだった男の子の上履きを
夏休みに持って帰って
きれいに洗っちゃった方ですよ。
(もとの投稿もぜひ読んでください)

なんてすばらしい後日談でしょう。
BGMも完璧です。
『グッド・ラック・アンド・グッド・バイ』を
脳内に大音量で流しながら、
もう一度読むことにします。

素敵な出来事を教えていただき、
ありがとうございました。
♪グッド・ラック・アンド・グッド・バイー

大好きですよ、この投稿!
「私はちゃんとした人を好きになっていたんだなと
 嬉しくなりました。」
というところでは、なんだかじんわりしてしまいました。
あ、ちなみに最初誤読をしまして、
「私はちゃんと、人を好きになっていたんだなと
 嬉しくなりました。」
だと思っていて。
でも、それもいいなあ。

よかったですねえ、ほんとうに。
こういう「よかった」もあるのですね。
ユーミンのメロディとともに、
中2から50歳までを一気に駆け抜けました。
この曲にはそういう疾走感があります。

名作。
すっばらしいです。

「好きな事を頑張って続けていたら
 いつか大好きだった彼が訪ねて来てくれるよ!」

ここで、目から水。
すばらしい。

郷ひろみ似の彼がすてきです。
瑞々しさをずーっと保ち続ける
(むーみん)さんもすてきです。
そしておそらくは、
(むーみん)さんがつくる作品もすてきなはず。

何度も言いますが、すばらしいです。
ああ‥‥もう‥‥
すばらしいとすてきしか言ってませんね。
でも月並みな感想しか浮かんできませんよ、
「人生っていいものですね!」とか。
(むーみん)さん、ありがとうございました。
‥‥いやーー、名作!

次は、水曜日にお会いしましょー。

2014-11-01-SAT

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