書籍化とCD発売のおしらせ 恋歌くちずさみの広場 こちらをクリック 文庫本『恋歌、くちずさみながら。』を購入する方はこちらからどうぞ。 文庫本『恋歌、くちずさみながら。』を購入する方はこちらからどうぞ。

 『氷の世界』
 井上陽水

 
1973年(昭和48年)

『氷の世界』って
どんな曲?
(ジャストフィット)

窓の外ではリンゴ売り


毎回この連載をとても楽しんでいました。
取り上げられる皆さんの素敵な恋の思い出に、
まー素敵 !若いなー!等と。
終了するのは残念ですけど
ありがとうございました。

私と主人はいわゆるお見合いで
出会って三ヶ月足らずで結婚しました。
こう書くと一気に盛り上がって
勢いでゴールイン!みたいですが
全然そんなことは無くて、
一緒に居て居心地の悪さが無いこと、
違和感のなさが
決め手になった気がします。

そんなわけで
お互いの趣味や興味のあることは
結婚後にじわじわと知ることになりました。
主人が井上陽水の大ファンなのも
しばらくして知りました。

私は井上陽水のファンではなかったけれど、
その頃大好きで良く読んでいた
沢木耕太郎さんの
(あ、沢木さんにはさん付けしてる!)
エッセイを通して
陽水の色んなエピソードは知っていたので
そんな話をすると
「よく知ってるね〜」と嬉しそうでした。

そしてコンサート当日。
何曲か楽しんだ後、私の頭にふと浮かんだのは
「そういえば『氷の世界』って
 どんな曲なんだろう?」
という素朴な疑問。
この曲だけ全く聴いたことがなかったのです。
コンサートが始まってから
主人とは全く口もきかずにいたし
(音楽を聴きにきてるからそれは当たり前ですが)、
私もコンサート楽しんでるよ、
陽水に興味あるよ、と伝えたくて
話しかけるタイミングも私なりに考えて
横の主人に尋ねました。
その時陽水はリンゴ売りがどうのこうのと
妙な歌詞の歌を歌っていたので
「よっしゃ今このへんてこりんな曲の間なら
 話しかけて良いだろう」
と判断したのですが‥‥。

そう、私はまさに『氷の世界』が始まったその時に
「『氷の世界』ってどんな曲?」
と尋ねてしまったのでした‥‥。あちゃー。

コンサート終了後、
「まさかあなたがあの有名な
 『氷の世界』を知らないとは思わなかったよ」
と呆れて笑われました。

それから何度も陽水のコンサートに
夫婦で出掛けていますが、その度に
「『氷の世界』はもう覚えたよね?
 頼むからこの曲の途中で僕に尋ねないでね、
 集中して聴きたいから!」
と笑いながら念押しされます。

結婚前の二人思い出の曲はありませんでしたが、
この曲の印象的なイントロ
(今では私もそう思います)
を耳にすると同時にプッと吹き出して
その時のことを笑いながら話す、
大事な曲になりました。
明るい曲ではないのだけど。

数ヶ月後に夫婦で
陽水のコンサートに出かける予定です。
この曲が始まればまた同じ話をするかな、たぶん。

(ジャストフィット)

陽水さんの名曲中の名曲
『氷の世界』です。
カッコイイ曲だなぁ。

お見合いで出会われたおふたりが
結婚後にじわじわとお互いを知るようになり、
ご主人につきあう形で聴きはじめ、
コンサートに行くようになり‥‥そして、
いまも、ずっと陽水さんのコンサートに
いっしょに出かけていらっしゃる。
そして、そのエピソードを笑いながら語る。

いまご結婚何年たたれているかはわからないのですが、
ほんとうにすてきですね。

結婚生活がうまくいくかいかないかは
出会い方とか、
どれほど燃える恋をしたかとかは
あんまり関係なくて、
問題なのは、ひとえに「相性」ですよ、と
ある方からアドバイスいただいたことがあります。
この頃、ほんとうにそうなのかもしれない、
と思います。
三浦友和さんの著書『相性』も、
おもしろかったです。

なんだかハッピーになる投稿!
ありがとうございます。たのしかった、せんぱい。

アルバム「氷の世界」は、うちにもありました。
隣のウナギ屋(うちは静岡の商店街)の
若い職人の「あおちゃん」が
陽水ファンだった気がします。
あと、母が仕事をしながら
ラジオをよく聴いていたので、
こういう音楽に詳しく、
たぶんラジオの知識から
「陽水さんはこういう人」
というひととなりもよく教えてくれました。
「お父さんは軍医だったんだって」とか。
小学生のとき、このアルバムを
レコードプレーヤーにかけてみたけど、
「ぐっとくる」ことはなかったものの、
「なんだかすごく新しい気がする」と思いました。
高校に入るとものすごい陽水ファンの友人ができ、
そいつはなぜかよく陽水さんの似顔絵を描いてました。
「よくわからないなあ、
 人の趣味はいろいろだなあ」と思いました。
「アンドレ・カンドレって知ってる?」
「陽水の本名知ってる?」
とか聞かれたけど、知らないっつうの。
(本名は陽水と書いて「あきみ」だそうです。)
そんなふうにあまり興味がないままに
実際に陽水さんをステージで見たのは
高3だったかな。
陽水さん、ステージで歯磨きしてました。

そうそう、井上陽水さんのファンって
なぜか「陽水」って呼ぶかも?
ファンじゃない人ですら、そうかも?
なんでだろうと考えるに、
それは「呼び捨て」なのではなく、
「陽水」というニックネームとして
呼んでいるのではないかと思いました。

「まさかあなたがあの有名な
 『氷の世界』を知らないとは思わなかったよ」
このセリフの素敵さ!
奥様を「あなた」と呼ぶご関係に、
なんだかとてもしびれました。

山下です。
長めのお休みから戻ってきました。
しばらくコメントできずに失礼いたしました。
すてきな投稿が続いていましたねー。
読んでました。
完全に読者になると、さらによくわかりました。
「恋歌くちずさみ委員会」。いいコンテンツです。
投稿が、ほんとーーーにすばらしい。

今回のこちらも独特のしあわせ感に満ちていて、
葛根湯のようにじわっとあたためてくれて。
なんでしょう‥‥かっこいいんですよねぇ。
「ありがとうございます。せんぱい。」
という気持ちは右に同じです。

そうそう、そうなんだ。
「陽水」は、甘く切ないバラードばかりでなく、
たいへんへんてこりんで
かっこいい曲もたくさん書くのだ。
というか、へんてこりんなほうが
本文ではないかと思うのだ。

窓の外でリンゴ売りがどうしたこうしたとか
行かなくちゃいけないけど傘がないとか
ドアノブが金属のメタルだとか
たいへんへんてこりんでかっこいい。
だいたい、そもそも、そのリンゴ売りにしたって
声をからしてリンゴを売ってるのに
誰かがふざけてリンゴ売りの
マネしてるだけなんだぜ?
へんてこりんすぎるでしょう。

そのへんてこりんな歌を真ん中において
素敵なおふたりが寄り添っていると思うと
なんだかたいへんうれしくなります。
井上陽水さんのコンサートには
まだ行ったことがありませんが、
ちょっと行ってみたいなあ。

山下も帰ってきて4人体制。
最終回まで数えられるくらいになってきました。
もうちょっと続きますよ。
それでは、次回の更新で。

2015-02-04-WED

最新のページへ
感想をおくる ツイートする ほぼ日ホームへ
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN