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(小山薫堂さんプロフィール) |
小山 |
この「人間は何を食べてきたか」にあったんですけど、
ずーっとおんなじパンとベーコンとピクルスしか
食べてないっていう…。 |
糸井 |
みんなの話題でしたよ、あれ! |
小山 |
そうですか。
あれ、ショッキングでしたね。 |
糸井 |
そうでしょう、ほんとに。 |
小山 |
あれはね、僕は毎日
お昼も夜も、
「さー今日は何を食べようかな?」
っていうのがひとつの喜びであり、
苦しみでもありなんですけど、
あれを知らされたときには、
もう、ショッキングでしたね。 |
糸井 |
あれ、もう1回ちょっと、
ちょっと引いた目で見ると、
アメリカ人の普通の人って、
ほんっとにマクドナルド(※註1)に
通ってますよね。
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※註1 マクドナルド
産経新聞によると、「さる調査だと
米国人は週に平均三つのハンバーガーを食べ、
年間四百億ドルを消費する。」とか。 |
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小山 |
うん(笑)。 |
糸井 |
おんなじじゃない?
さらに言うと、
日本人って、旅館のご飯なんか典型だけど、
干物と一汁一菜みたいな?
あの感じっていうのと同じなんですよね。 |
小山 |
うん。 |
糸井 |
だから、日本人って、
米っていう凄い武器があったおかげで、
あのベーコンとじゃがいもみたいなにはならずに
『じゃがいもVS米(コメ)』で、米の勝ち,
みたいなところで、
勝ってるだけなんじゃないかな。 |
小山 |
うんうん。 |
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選べる食事と選べない食事 |
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糸井 |
色々選べるって思ってるけど、
小山さん、選べるときと、
選べないときと、きっと激しいでしょ? |
小山 |
ええ。 |
糸井 |
だから、今、夕食として食べている
このうなぎでも、この近所からとるわけですよね。
これは選べてないわけですよ。
お客さまだから、
何かのそれなりにってことを
これを注文したうちのスタッフは考えたんでしょうけど、
正直言って・・・うまくはない。 |
小山 |
(笑)いやいやいや、そんなことないですよ。 |
糸井 |
いやいや、お客さまとして言いにくいですけど、
うなぎは美味しいなって思う感動は、
ここにはないけど。
いちおう、「うなぎ」ですから、その事実だけで
三越の包み紙みたいなもんですよね。
近所の中華屋のラーメンをとったのとは違いますよ、
ってだけのことですよね。
これは、それを選択している人たち(※註2)の
プロデュース能力の問題なんですけども。
(うつむく、ほぼ日スタッフ。)
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※註2 それを選択している人たち
確か、ROCK西本だったはず。
「小山さんの夕飯どうしましょうかね?」
というスタッフの問いに、
「やっぱりさぁ、こういう時は、
うなぎじゃないの。」
という雑な一言で決定。
確かにプロデュースという概念は
全く無かった。 |
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小山 |
(笑) |
糸井 |
これは、だから、選べなかった食事。
さらに言うと、自分もそうだけど、
コンビニのおにぎりを食べてるというような、
選べない回数のほうが、圧倒的に多いんですよ。 |
小山 |
ええ。 |
糸井 |
僕はそうなんです。
ぼくの周りで忙しく働いてる、
「この人はすげーな」って思う人見てると、
お金はあるに決まってるのに、食事を選べてない。
運転手付きのクルマの後ろの座席で、
コンビニのいなりずしかなんか食べている。
まったく、みんなそうなんですよ。 |
小山 |
うーん、そうですよね。 |
糸井 |
小山さんも多分そのくちだと思うんだけど・・・。
どうしてますか? |
小山 |
僕もほとんどが
選択肢があんまりないことが多いですよね。 |
糸井 |
ないでしょうね。
ロケ弁的な食事だったりしますよね。 |
小山 |
でも、今ね、うちの事務所に
来てるシェフがいるんですよ。 |
糸井 |
はぁー!!
それは乗り越えたな。 |
小山 |
これはね、いいですね。 |
糸井 |
やったなぁ・・・!!!! |
小山 |
いいですよ。ひとりくらい、
誰か雇うといいですよ。 |
糸井 |
はぁー!(感嘆)
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小山 |
シェフが、
「今日、何しましょう?」って訊いてくるんで
「んーと、今日はカレーがいいなぁ」と、
「わかりました、カレーですね」ということになると
事務所のホワイトボードに書いてあるんですよ。
「N35(※註2)風オータム・カレー」
なんて書いてあるんですよ(笑)。
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※註2 N35
小山さんの事務所の名前のこと。
N35は、食、ファッション、インテリア、
カーライフなど、都市生活者に向けて、
エンターテインメント性あふれる企画や
情報の開発・発信をしています。
代表者・小山薫堂の放送作家としての経験を生かし、
テレビ・ラジオなどの番組企画・制作はもちろんのこと、
執筆活動、舞台劇の構成や演出、CFプランニング、
PRプランニング、ショップ・プロデュース、
ウェブコンテンツ開発など、
さまざまな活動を行っています。
(オフィシャルホームページより)
ちなみにN35とは、東京の緯度のことであるとか。 |
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糸井 |
なんだ!? |
小山 |
なに?それ!って(笑)。
それはきのこと栗が入ったカレーだったりするんですけど。
それがあるから、今は、いいですよね。 |
糸井 |
それは、画期的な乗り越え方をしたね!
やろうやろうと思って、やれないことをやったね。
でも、3食は無理ですよね。 |
小山 |
3食は無理ですね。1食か2食ですね。
ただ、1食にしても、ま、2食にしても、
意外とコンビニをうまく使ったりも
するわけですよ、できちゃうんですよ、彼は。 |
糸井 |
彼は、凄いね(笑)。
彼!すばらしい。 |
小山 |
彼はなかなか、いいですよ。 |
糸井 |
そこでは、いわゆるフレンチのレストランメニュー
みたいなものよりも、
今ポンとカレーって出たけども、
そのような家庭風のものが多くなるんですか? |
小山 |
いや、そんなことないですよ。
フレンチっぽいのもやりますし、
ゴルゴンゾーラとまぐろのサクを買ってきて、
ゴルゴンゾーラのチーズを付けて食べてみたりとか。 |
糸井 |
ってことはなに?
シェフの裁量で、食材をいろいろ用意してくるんだ。 |
小山 |
ええ。だから、たまに朝、築地に行きますからね(笑)。 |
糸井 |
えーっ! |
小山 |
普通は放送作家事務所で、朝、築地に行くって、
あんまりないですよね(笑)。 |
糸井 |
それは、何か、アイデアで乗り越えたねー! |
小山 |
今度ここでも、やりましょうか?
そのシェフをつれて来ますから。
(おおいに湧く、ほぼ日スタッフ。) |
糸井 |
小山さん、
モテた。 |
小山 |
モテた、モテた(笑)。 |
糸井 |
それ、思いついたときには、やった!と思ったでしょ? |
小山 |
(笑)やった! っていうか、
便利だし、いいなって。 |
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食の行き着くところは… |
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糸井 |
その人は、知りあったのが先ですか? |
小山 |
知りあったのが先ですね。 |
糸井 |
だんだん、パーソナル化してるね(笑)。 |
小山 |
そうですね、なんか(笑)。 |
糸井 |
それはさ、芸人さんたちが
テレビに出演してる回数が多くなると、
服を買いきれなくなると
スタイリストと契約した方が
かえって安上がりだっていうかたちで、
借りたものを絶えず着てる状態に
なってったのと似てるね。
あれの食版ですね。 |
小山 |
あー、そうですね。 |
糸井 |
税金で落ちるし。 |
小山 |
税金!(笑) |
糸井 |
つまり、仕事として服を着ているわけだから、
スタイリストと契約して、借り物にしちゃえば、
この服は普段は着られないっていう
突っ込まれかたをしなくていいわけですよね。
小山さん、他にそういう人って世の中にいるのかな? |
小山 |
それはいっぱいいるんじゃないですか?
わかんないですけど。 |
糸井 |
前にちょっと思ったのがね、
あるオーナー経営系の会社の
重役用の食堂に行ったことがあるんです。 |
小山 |
へぇー。 |
糸井 |
そこで、じゃあお昼を、ってなったときに、
何を食べたかというと、
ブリの切り身と味噌汁とお新香と、
せいぜい切り干し大根程度で、ご飯だったんですよ。
それがですね、一個ずつがぜんぶ美味しかったんですよ。 |
小山 |
へぇー。 |
糸井 |
つまり、ブリの塩焼きも、
たぶん養殖でない、天然ブリだったんでしょうね。
うまいの、あからさまに。
一品ごとの分量は少ないんですよ。
でも、1品ずつがぜんぶ美味しくって、
どこでも食ってるようなものなんだけど、
おそらく干物の日もあるんでしょうね。
それで僕の基準ができたんですよね。
あ、ほんっとに金持っちゃうと、
ここに行くんだって(笑)。 |
小山 |
ああ、なるほど。
そんな派手なんじゃなくて、本当に良いものの、
質素なものというか(笑)。
(つづきます。)
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