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(小山薫堂さんプロフィール) |
糸井 |
多分、5回泣いたエル・ブジの人も
個人で「M」のフェアを
スポンサードするフードコーディネーターの人も
お金の価値を飛び越えさせたのは
動物的な何か、
こう、魂の問題なんだと思うんです。
よっぽど、体が打ち震えることじゃなかったら、
できないですよね。
ほんとは繋がってるんだよなぁ。
はぁー、いいなぁ、いい話だなぁー。
僕ね、この「何食べ」シリーズを、
ベンチャーのレストラン業界の人たちに、
配りたいんですよ。
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小山 |
んーっ!ベンチャーのレストランは、すごいですよね。 |
糸井 |
すごいですね。
つまり、明らかにビジネスとして、
ある意味ものすごい完成度があって、
ガッツはあるんですよね。
だから、そこの人たちが、
どこかで、こういうものに触れたら、また何か…。 |
小山 |
違うかたちができるかもしれない。 |
糸井 |
うん、かもしれない。
今は結局インテリア・デザイナーと
ビジネス・モデルを作る人たちの合体でしょ? |
小山 |
ええ。きっと彼らは別に「食」じゃなくても
いいわけですよね。
儲かるから「食」を今やってるだけで。 |
糸井 |
そうですね。
やっぱり、「食」って学歴問われないし、
誰かが考えた方法があれば、
それをマニュアルに合わせてコピーしてって、
あとは真心という名の根性を
プラスすればできちゃうんですよ。
何かね、繋がりつつあるんだなー。
うまく言えないんだけど。
今、食うことを禁じられたら、
えらい騒ぎになりますよね。 |
小山 |
日本でもラマダン(※註1)があれば、違うでしょうね。
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※註1 ラマダン
イスラム教の断食月のこと。
太陰暦をもとに作られた
イスラム暦の9番目の月で、
最も神聖な月とされる。
太陽暦では11月下旬ごろから始まる。
断食をすることで、
一年間に犯した罪を償うとされる。 |
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糸井 |
ラマダンだ! |
小山 |
今ラマダンで思い出しましたけども、
今度、「グルメ・ガーディアンズ」っていう
番組を考えているんです。 |
糸井 |
なんだ?それ。 |
小山 |
フジテレビで、2クールに1回くらい、
キャンペーン的にやって行こうと思ってるんですけど。
それは何かっていうと、近い将来に、
警視庁と食糧庁が、
食の風紀が乱れてしまった日本を更生するために、
「グルメ・ガーディアンズ」という組織を作り、
彼らが、グルメ刑法というものに従い、
色んな犯罪を逮捕していくんです。
例えば、お寿司屋さんに行って、
お寿司をカピカピにしてしまって、
話に夢中になって
寿司を乾かしてしまっているヤツを
逮捕したりだとか。
オープニングは、
家庭のすき焼きのシーンから始まるんですよ。
子どもとお母さんとかがみんな
「わーい!すき焼きだー」
とかっていってるような家庭で
「お父さんにすき焼きは任せろ」、
とばかりに、お父さんが
シラタキと牛肉を近くに入れてたりすると
いきなり、「カチッ」とかっていって刑事が、
「お前には黙秘権がある、
今後お前の発言は裁判で不利に作用することがあるから、
気をつけて発言しろ。シラタキの石灰は
牛肉のタンパク質を固くする作用がある」
というようなウンチクを言って、
「グルメ刑法第81条3項の、
牛肉およびシラタキの接近過剰の容疑で逮捕する。」
そうやって逮捕していくっていう
バカなドラマをやるんですよ。 |
糸井 |
ドラマになってるんだ(泣笑)。 |
小山 |
しかも、刑事モノの。 |
糸井 |
寿司、乾くっていうのは、
逮捕して欲しいね。
乾き寿司は罪重いよねぇ。 |
小山 |
罪重いですよ。 |
糸井 |
作る側にも逮捕して欲しい人は
いっぱいいるんだけどなー。 |
小山 |
ああ、いますね(笑)。 |
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食の基準になるような店 |
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糸井 |
いままで、こうやって一気に話を聞いてて、
食い物の話ってやっぱり、
腑に落ちるんですよ。
それって生理的な何かがあるから。
大きい意味でやっぱり猥談なんですよね。
その腑に落ちる部分と、
そっから先はもう聞きたくもないっていうか、
そんなにやんなくても、
っていうところのバランスを
今、探してる時代なのかも知れないね。
すごく腑に落ちるのは
「腹が減ってれば何でもない」っていうことだね。
原点はそこなんだよね。 |
小山 |
ええ。 |
糸井 |
「食えるだけ幸せだと思え!」っていう
星一徹のお父さんみたいな。 |
小山 |
「生きるために食べてる」ものが
多かったんですよね。
でも今の日本の文化は、
どう見ても「食べるために生きてる」人が
大半ですからね。 |
糸井 |
うん。うん。 |
小山 |
きっと「生きるために食べる」ということが、
わかった上で、「食べるために生きて」たら、
もっとすごく豊かになるんでしょうね。 |
糸井 |
やっぱりラマダンだねぇ。 |
小山 |
ラマダンですよ(笑)。
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糸井 |
ラマダンとかさ、
さっき僕が、「自分ちの今のご飯」って言ったけど、
粗食の店というか、
普通に金は取れるんだけど、
「これはどうだ!」っていう基準になるような
そんな店が欲しいですね。 |
小山 |
うん、うん。 |
糸井 |
朝の定食に近いようなものなんだけど、
めっちゃくちゃ美味い、みたいな。
多分、さっき話にでた銀座の「M」って店なんかでも
基準っていうのは、
そういうところにあるんだと思うんですよ。 |
小山 |
僕、写真でしか見てないんだけど、
「水飯」っていうのが
その「M」ってお店にはあるらしいんですよ。
それは、蓮の葉かなんかに、
白いご飯を少しだけ載せて
氷水を上からかけて食べるっていう。 |
糸井 |
ドラマチックだよね。 |
小山 |
ドラマチックな(笑)。
美味しそうですよね。「水飯」。
(つづきます。)
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