月と鉄
<たけしの誰でもピカソ>はついに10年を迎えた。
ホテル・オークラで祝賀パーティ。
ポストモダン、グローバルと
何やら騒がしいアートの世界に、
お笑いや歌舞音曲までも取り上げたこの手の番組が
10年も続くとは目出度いことだ。
なにより、ヒトやジダイを視る
鋭い動体視力の北野映画の変遷を、
リアルタイムで観ていられるのは刺激的である。
腹に満月を取り込んだようなまりなもいよいよ臨月。
彼女はほんの暫くの間の出産タイム、
すぐに復帰するというタフな挨拶だった。
完全球体を孕んだ女体は美しかった。
たけしさんも今田もオレも思わず触らせて貰った。
心より安産祈願。
ゲストは会田誠、明和電機、辛酸なめ子、なかにし礼、
ギャラリー・ミツマや伊東順二、その他多士済々。
こんな気持ちのイイ気が流れいくパーティーは珍しい。
飯倉片町の<OPP>に寄り仕上げの一杯やってから、
オレにとって最近、ますます重要な物質である
<鉄>のついて思案を巡らしながら独りブラブラ歩き。
もう一度、<鉄>を編集しなおしているところだ。
翌朝、一番で高知に飛ぶ。
赤岡町にある国際圧入学会長・北村精男氏邸。
オレのどんな小さなエキシビジョンにも現れる。
もう15、6年の付き合いになる。
彼は圧入機械を発明しては、
世界の各地で土木工法を変革し続けている男である。
屋敷のある鎮守の杜の秋祭りだ。
御輿を担ぎ、広大な庭で大エン会だ。
獅子は舞うやら、藻烏賊や高知のサカナを焼くわ、
高知民のエン会が続く。
みんなが帰った広大な庭に仰向けになり、
降り注ぐような星と三日月に向かい
<圧入>と<鉄>への、まだまだ続く
オレ達の行為について語り合う。
南国土佐の熱いジカンだ。
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