三宅島釣行
山籠もりでの<少年海洋小説>の執筆も
やっと目処がついた。やれやれ。
そんな時にSHIMANOの
『FISHING CAFE』連載の取材で
低気圧のど真ん中の三宅島。
二年前、六〇kg弱のカンパチを仕留めた海だ。
今度は、釣り名人・高橋テツヤとマダイ釣りである。
初日はテツヤが四kg、五kgの
マダイを釣り上げていたけど、
オレは巨大五、六kg級のメジナばかりで、
ついにマダイは来なかった。
しかしこのままで終わってなるものか‥‥。
翌朝、梅雨の合間につかの間の快晴だ。
『なんだか胸騒ぎがする鯛日和‥‥』
紅の身体にターコイス・ブルーのライフカラーが
美しく映える巨大マダイを予感する。
最初、やっぱり巨大なメジナばかりだった。
これが釣れなくなる一瞬が、巨大な王者の登場だ。
附けエサが無傷のまま上がってくる。
そろそろ、マダイが近づいているはずだ。
八時半すぎ、タナより数メートル下まで降ろし、
ゆっくりしゃくり上げた。
GAAA−N!!!
予感したとおり、オレのロッドが海に刺さった。
巻いても巻いても、リールから引き出されるライン。
こりゃ大きいぞ。
激闘十五分‥‥。
ブクブクと海面に盛大な泡が湧き、
炎天に反射したメタリックな紅の魚体に、
海全体が光ったような気がした。
「デカッ」
オレは物語の再現のような釣りをたっぷり楽しんだ。
8kgはゆうにあるマダイである。
また山に戻って、エッチングで表紙を描くか。
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