11月ですね、紅葉。 |
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── | 紅葉かあ、もう。早いですね。 先日京都に行きましたがまだ紅葉はしていませんでした。 朝晩寒く、適度な雨があって、 というような条件が揃うと 紅葉の当たり年なので 今年は期待できますよと 地元の人がおっしゃってましたよ。 |
おお! |
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── | ということで紅葉を前に旬の食材は、 「旗魚(かじき)」「鯔(ぼら)」「人参」 そして季節の行事は「ふいご祭」。 ふいごまつり? |
ふいご祭ってかなりローカルなんで 実はよくわからないんです。 岐阜県垂井町の南宮大社が 全国の鉱山や金属行の総本宮なんですって。 そこで鍛冶の仕事に大切なふいごのお祭りがあって、 刀匠による短刀の鍛練式が奉納される、と。 |
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─── | 「この日は京都伏見稲荷大社を はじめ、各地で‥‥」。 |
「御火焚(おひたき)」ですね。 |
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御火焚の神事。 やっぱり火のお祭りなんですね。 火に親しみを感じる季節だし。 |
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─── | 火が危険になってくる 季節でもありますよね。乾燥して。 さて、食材の話題に‥‥。 旗魚なんて、ものすごく 獲るの大変だと思うんですけど、 江戸時代はどうやって 獲ってたんですかね。 |
旗魚(かじき)は大正以後の話ですね。 江戸の話は文献にございませんでした。 「東京付近では三浦三崎付近で ヤスヅキにした」と。 いまで言う「突きん棒漁」ではないかと思います。 |
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── | 獲るの大変ですね、それは! 突きん棒漁って、 船の舳(へさき)の突き台から 銛(もり)を打つんですよね。 |
すごい! さすが高級食材ですね。ところが 「関西ではナイラギ、 またはノイラギと称し、 良い種がないのであまり珍重しない」 って書いてあります。けれども 「突きん棒漁で獲れた旗魚は 最高の味わい」と。 |
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京都ではあんまり食べたことなかったです‥‥。 |
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─── | 高級食材といえば 「鯔(ぼら)の唐墨(からすみ)」ですね。 |
やっぱり鯔と言えば 唐墨ですよね! |
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唐墨ですよねえ。 |
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唐墨、焼くのむずかしいんですよ。 うっかりすると火が通りすぎちゃう。 家族が戦中に台湾にいたことがあって、 祖父が日本酒で拭いては ガーゼにくるみ、ずーっと保存してたんですって。 何回もそうやっていると だんだんとお酒の風味がついて おいしいっていうのと保存がきくから。 それを薄く切って炙って食べたんだそうです。 それを真似しようとしたらうまくいかないの! やっぱりね、炙りの技術って すごくあると思いました。 |
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炙り甲斐ありますよ。 |
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── | 台湾は唐墨が安いですよね。 ひと腹、2つ入ったので 1500円くらいでしょう。 あちらでは、薄切りにして だいこんと食べるんですが、 他にどんな調理法がありますか、って聞いたら これ以外で食べないって。 パスタにしたらおいしいですよ、って言ったら 「知らない」って言われました。 |
唐墨パスタはおいしいですよね。 |
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感動しましたね、 大人になって初めて食べて。 |
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── | 鱈子スパゲッティを上回るおいしさ。 ペペロンチーノにかけるのが 一番簡単ですね。 |
この間、料理屋で 唐墨を炙ったものを 焼いた餅でサンドしたものが‥‥。 |
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ああ~~。 |
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あれ、うまかったあ! |
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─── | 伊賀の土楽の餅つき大会では 中にいろんなものを入れるんですね。 丸くしてお正月に食べるんです。 それに唐墨餅がありましたよ。 |
うわ。ふわふわのー‥‥。 |
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─── | たぶん、ご当主の オリジナルだと思いますけど。 |
何してもおいしいってことか! |
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── | こういうものを食べつづけるために 痛風にならないようにがんばろうと。 |
かわいそうなのは鯔ですよ! |
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── | 鯔、食べるの? |
どうするんでしょうね。 蒲鉾かなんかにするんですかね。 |
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「唐揚げ、刺身、寿司種」とか。 |
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あまり見たことがないですね。 |
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─── | 千葉の方ではけっこう食べるんですよ。 けっこう歯ごたえがあって おいしい白身のお魚です。 飲食事典にも 「脂がのって身が締まった寒鯔は泥臭さもぬけて美味」と。 |
やっぱり昔の人は ちゃんと大事に食べたんでしょうね。 今のわたしたちは 唐墨に目が行ってしまって‥‥。 ちゃんと書いてありますものね、 おぼこ(鯔の幼魚)は 「せごしなますで食べたり、 塩焼きで食べたりする」って。 全国的に食べている風ですね。 「高知でも食べる」。 |
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── | 西原理恵子さんの漫画に載ってましたね。 いっぱいとって来たらお母さんに 捨てて来いって言われたって。 |
意外なのは 「甲州山梨では甲府揚げと名付け 茹でたジャガイモを焙烙に入れて 水分を取りよくすりつぶしたところへ おろした鯔の身を入れ」‥‥。 |
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── | ほうほう。 |
鯔は関西で成魚を指す言葉「とど」から 「とどのつまり」とか、 「おぼこ」なんて言葉があるだけあって、 馴染みがあったんでしょうね。 |
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── | 「いなせ」の「イナ」も 若魚の呼び名ですしね。 さて──野菜は「人参」です。 人参って、洋野菜ですか? |
金時人参なんてのは東洋種。 いま私たちが食べているのは主に西洋種ですよね。 |
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── | 『飲食事典』には「我が国への渡来は17世紀」と。 昭和40年代くらいって、 その西洋人参はまずかったですよね。 |
まずかったですよ! |
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匂いが強くて! |
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── | それが、今、何、あの甘さ! 本当はもっと厳しいヒトのはずですよ。 あんな甘い顔してるけど! |
トマトと人参ですよね。 みょうに臭みが消えた野菜は。 |
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── | ピーマンもそう。 もっと苦かったですよ。 以前、人参はまずいものだった。 膾にちょっと入ってるくらいなら 食べられるけどって。 今なんて ジュースに入れたりしちゃう。 甘いとか言って生でかじるし‥‥。 でも栄養価が高いですよね。 うちは祖母が明治生まれでしたけど 人参はカロテンがあるんだ、って ほんとに一つ覚えのように言われました。 |
それって語源が「carrot」から 来ているらしいですね。 |
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明治時代の人って 最新の衛生学とか栄養学などに 関心が高かったみたいですね。 明治時代の料理本とか見ていると そういうことばっかり書いてあります。 |
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── | 入ってきたばっかりの文化だから 楽しくてしょうがなかったんでしょうかねえ。 さて次回はもう冬の到来ですよ。 「山茶始開(つばき はじめて ひらく)」、 11月7日にお会いしましょう。 |
2012-11-02-FRI |