紅色の染料や食用油をとるために栽培されるベニバナは、 古代エジプト時代から染料として利用されていたようです。 日本でも、『万葉集』にすでに 「末摘花」としてその名が見られます。 この頃に橙色の花をつけはじめ、 日が経つにつれ花の色は濃い紅に変わります。 一面のベニバナ畑は夏の風物詩ともいえるでしょう。
── 二十四節気も変わります。
「大暑」でございます。
大暑、暑い!
ていうか、ことしは、もうすでに暑かった。
暑気払い、暑気払い。
京おとこ 暑気払い、いいですよね。
あすま女 何度でもウェルカム。
── そんな季節は「桐始結花」。
あすま女 花といいながら、
実なんですよね。
── 代々木公園にありますね。
桐の木が西門のところにあって。
桐はすごくいいですよね。


京おとこ 桐の箪笥とかね。
── しかも、日本の桐がいいらしいですよ。
全然違うんですって、輸入材の桐と。
あすま女 あ、やっぱり。
京おとこ 和箪笥屋さんで話を聞いたところによると、
桐の箪笥って、火事が出た時に
水をかけると、そのまま中のものを
守るらしいんですよね。
あすま女 きゅーってなるのね。
水吸ってふくらんで。
── 震災の時も着物とかは
桐の箪笥で大丈夫だったっていう
お話がけっこうありました。
あすま女 だから、女子が産まれると植える、
とか言いますよね。
── お嫁入りの時に箪笥にするんですね。
さて当然のことながら、
旬のさかなは「鰻」でございます。
今年も高いんですかねえ。
鰻は獲れなくなっちゃってって
ことなんですか。
あすま女 稚魚がね。
京おとこ 稚魚がなかなか上がってこなく
なったんですよね。
あすま女 あれは回遊するルートに
変化が現れたんですかね?
京おとこ 鰻の生態自体が明らかになったのは
実は最近なんですよね。
── そう、謎だったんですよね。
どこで生まれるのか。
あすま女 そうそう!
京おとこ でも旬っていうと、
実はこの時期じゃないんですよね。
本当は。
── お、そうでしたか。
京おとこ 鰻はもうちょっと後なんですよね、
本当は。それを平賀源内が。
── 「土用の丑」とキャンペーンをはったと。
京おとこ そう。キャンペーンの原点ですよ。
── 平賀源内って変な人ですよね。
あすま女 色本も書いていますね。
京おとこ 糸井さんが「昭和の平賀源内」って
いわれてましたよね、昔。
あすま女 万能ぶりが。
── その源内が広めたこの時期の鰻。
関東と関西で調理法が違いますね。


京おとこ 蒸すとかね。
── 蒸すのは関東風ですね。
そのまま焼くのが歯ごたえのいい関西風。
まん中が「ひつまぶし」。
関東風が好きです。
京おとこ やー、ぼくも絶対、
関東風がおいしいと思いますよ。
── あ、そうですか!
あすま女 関西の方もそうですかー。
── うれしいです。
そっかそっか。
京おとこ 関西の鰻でそんなうまいってもの
あったかなあ。
あすま女 有名な店あります?
── 京都の名店おいしかった‥‥けど、
あれも、関東風だった気がしますね。
京おとこ や、絶対ね、
関東風の方がおいしいと思いますよ。
西の人は鱧(はも)に気がいきすぎなんです。
あすま女 あれだけうまいものがあるから
鰻はいいや、みたいな?
── ぼくは鰻の肝が好きでねえ。
京おとこ おいしいですよね。
あすま女 あれ、ひとくし取るの
大変ですよね。
── 今ないんですよ、全然。肝焼きが。
前はデパ地下とかにあったのになあ。
京おとこ 名古屋のひつまぶしも
おいしいですよね。
あすま女 おいしいですよね。
あぶらっけを感じなくていいです。
さらっとして。
── ままごとのようで楽しいし。
最後に茶漬けにする。
さて続いては、夏らしいものが。
「枝豆」。
あすま女 枝豆が大豆だって知らない子
多いですよね。
── 若い大豆なんですよね。
枝豆を茹でるコツを教わったんです。
枝豆は分数で何分茹でるという方法だと
ブレが出るんですけど、
枝豆特有の香りがし始めた時に
火をとめて、ざるにあげて、
そのまま放置しておくと
すごくいい具合になる。
あすま女 塩はお湯にも入れますか。
── わたしは入れます。
京おとこ 夏は毎日のように
食べたくなりますよね。
── ビールを飲む習慣がないと、
あんがい食べなかったりもしますけど。
あすま女 確かにビール飲まないと
枝豆、ほしくならないかも。
京おとこ ならないですね。
── ワインにはなんだか合わない。
あすま女 合わない、合わない(笑)。
── 枝豆って豆と野菜の中間というか、
栄養学的には両方の長所を併せ持っているんですね。
大豆になるとビタミンAやCは
なくなっちゃうんだけど
枝豆の状態ではある。
さらにビタミンB1があるから疲労回復になる。
夏はいいですね。
「必須アミノ酸のメチオニンには
 肝機能を助ける働きがある」から
つまりお酒にもいい。
これはビールの友には最高ですね。
やっぱり夏じゃないと。
冬だと冷凍だしね。
京おとこ やっぱり夏ですよね。
── さて、続いては「ピーマン」。
ピーマンもこの季節なんだ!
って、そりゃそうですね。
むかしは本当にまずかった、
ピーマン!
あすま女 最近ですよね、
おひたしなんてあっさりした調理で
食べられるようになったのは。
昔のはもう。
── あり得ない!
京おとこ はははは。これは血栓を防ぐんですね。
「脳梗塞や心筋梗塞の
 予防に効果がある」。
── 食べなきゃ! この青臭さが大事なんですね。
レモンよりはるかに多くの
ビタミンCってありますね。
っていうか、
レモンが案外少ないんですよ(笑)。
京おとこ レモンってなんかね。
── すっぱい=Cだと思ってるだけで。
ところでピーマンの肉詰めって
代表的なよくわからない料理だなって
思いながら食べてるんですけど、
あれってたぶん、戦後、婦人雑誌が広めた
レシピじゃないかな。
ひき肉世代の料理。
京おとこ こどもにピーマンを食べさせようという魂胆が
見え見えですよね。
あすま女 それだ、うん。
京おとこ ぼくもちっさい頃
食べました、食べました。
あすま女 ハンバーグやミートソースに
細かく刻んで入ってたり。
── 今食べるとおいしいかも!
さて、季節のたのしみは
「夏の羅(うすもの)」。
この字でうすものと読むんですね。
ジョーゼット、オーガンジー、
和服だと絽、紗、上布。
いいですねー。
あすま女 目にも、涼やか。
── そう。じっさいどうかというと、
絽や紗は着物だから、
やっぱり暑いんですよね。
あすま女 夏に着るってこと自体
いまや、考えられないですもの。
── 汗びっしょりかきますよね。
やっぱり昔の方が涼しかったんでしょうね。
あすま女 そうかも。
コンクリートで暑くなってる。
ていうか、今から暑くなると思うと‥‥。
── つらい!
あすま女 つらーい、本当。
── がんばってのりきりましょう!
ありがとうございました。
次回は「土潤溽暑(つち うるおうて むしあつし)」。
7月28日にお会いしましょう。
2013-07-23-TUE
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