── | 「土潤溽暑」。 この「むし」の字が 「溽(じょく)」という。 溽暑ですよ! |
じょくしょ! |
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これ書道とかで書くと 大変なことになりますね。 つぶれちゃいますよね。 |
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── | そういうお習字はイヤですね。 |
イヤイヤイヤイヤ。 |
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── | もういいや、一日中クーラーの中にいる、 って思う日々ですね。 しかしですね、食べものはいいですよ。 「小鰭(こはだ)」。 |
小鰭! |
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小鰭! 年中食べるけど、 やっぱり新子が出る夏ですよね。 |
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新子、夏でしたっけ。 |
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── | ほんとうは夏が旬なんですよ。 でも年々、早まっちゃってるらしいです。 |
新子、五枚漬けだ、何枚漬けだって。 あれ、すごい処理が大変なんですってね。 ちっちゃいから。 |
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── | 細かいから。 江戸っ子の染色作家と寿司に行ったら、 最後のシメは 「小鰭とたくあんと紫蘇、 胡麻ふって細巻きにしてくれる?」 って言ったのが粋だなあと。 江戸っ子は言うことが違うなって。 |
へええー! 京都出身ですが、江戸前寿司のネタで言うと、 小鰭が一番好きかもしれません。 |
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ですよね。欠かせないですよ。 |
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最初にまず小鰭。 |
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── | 「寿司は小鰭に止めを刺す」。 |
正月のもおいしいですよね。 粟の実を黄色いのまぶして。 |
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ああ、おいしいですね、あれ。 |
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── | おいしい~。きれいだし。 そしてゴーヤー。「苦瓜」も真っ盛り。 |
これも最近ですよね。 |
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── | そして苦味が減った気がします。 出てきた時の苦さたるや。 慣れていなかったせいでしょうか。 |
最初はね。 |
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── | ゴーヤーって白いところや、 種もおいしいって言うけど‥‥。 あ、熟すと黄色くなって、 謎の生命体のように割れるんですよね。 種が真っ赤になってるのが出てくる。 『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の花みたい。 |
果実が炸裂! |
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── | 熟したゴーヤーは おいしいらしいですよ。 |
甘みが出るのかしら。 |
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── | そう。食べたことないんですけど。 これは血糖値を下げるんで、いいですね。 |
やっぱり沖縄の健康食材なんでしょうね。 昔からのね。 |
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ビタミンも多いんですよね。 |
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── | Cが多いですね。 大好き、ゴーヤー。 |
ゴーヤーの刺身とかね。 沖縄行った時に。 |
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── | おいしそ~。 |
おいしいですよ。 |
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── | ゴーヤーチップスも うまいですよね。 沖縄料理、普段は作りませんが、 銀座に行くと「わしたショップ」という 沖縄食材のお店があって、時々買います。 それから代々木上原の食堂「泡」。 あそこ、うまいですよね。 |
ああ! おいしいですよね。 井の頭通りの。 |
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── | あそこの沖縄料理で、 沖縄料理観が変わりました。 もちろんゴーヤーチャンプルー、 ほかにもヒラヤーチーもフーチャンプルーも ソーミンチャンプルーもソーキそばも。 ひっくり返るくらいうまいですよ。 |
泡といえば、泡盛って 沖縄料理には合うけど 他の料理の時って‥‥。 |
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── | 合わない! |
あれ、なんでですかね。 |
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── | 見事に合わないの、あの味。 いただいても飲みきれず、 唐辛子漬けて調味料にしちゃいました。 |
刺身とかにも合わないしね。 |
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── | 沖縄風の刺身には合うんですかね。 泡盛ってフレッシュパイナップルジュース割り、 おいしいですよ。 |
シークヮーサー割りも おいしいですよね。 沖縄の人はけっこう薄めて飲むんですよ。 |
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そのまま「くいっ」じゃないんですね。 |
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── | 昔、沖縄音楽の配信をやった時に 沖縄料理を出してお疲れ様でした! って乾杯して、 まあ、ほどほどで解散、と思ってたら、 全員車座になっちゃって。 |
まさにそういう世界ですよね。延々と。 飲んでシメに ステーキとか食べるんですよ。 |
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── | さて、季節の花。「白粉花」(おしろいばな」です。 |
昔、遊びませんでした? 種の中に割ると白い粉が! |
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── | 白粉花って、小学校の周りに いっぱい生えてましたね。 今はどうなんでしょう。 |
あった、あった。 今の子がこれを顔に塗ってるのは 見ないですよ。 |
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英語では「four o'clock」って 言うんですね。 |
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── | 夕方に開くからだそうですよ。 中国語では「煮飯花」。 ご飯を作り始める時間に咲く花なんですね(笑)。 |
おもしろい。 |
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── | 和名は「夕化粧」。 みやび~~。 |
はんなりしてますね。 |
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── | 花言葉は「私は恋を疑う」ですって。 |
大人な感じですね。 |
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── | 急に大人な感じです。 さて、季節のたのしみは 「東北の夏祭り」ですよ。 8月1日が弘前の「ねぷた」と、 盛岡の「さんさ」でしょ。 2日が今度、青森の「ねぶた」。 3日が秋田の「竿灯祭り」で その後5日に山形の「花笠」、 6日の仙台「七夕祭り」。 東北の祭りを一カ所に集めてやるのありますよね。 |
「東北六魂祭」。 去年行きましたよ、ぼく。 おもしろかったですよ、やっぱり。 初年度仙台でやって、 それで盛岡でやって、 福島でやって。 |
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── | 持ち回りなんだ。 |
やっぱりおもしろいですよ。 ねぶたとか迫力あるし、 「らっせーらー らっせーらー」ってね。 |
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── | これが終わると 「東北の季節は秋に向かって動き出します」 って、なんだかせつなくなっちゃう。 |
そう、だから東北の人たちって この祭りをものすごく 楽しみにしているんです。 たとえば青森の人にねぶたの話を聞いたら 本当に熱いですよ。 |
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── | あれ、かっこいいですよね。 |
そう。でね、 ねぶたってあの服を着ていたら 誰でも入れるらしいんですよ。 |
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── | おおらかですね。 |
聞くと、それぞれの山車を 紐かなんかで 囲っているらしいんですね。 その中はもう無礼講なんですって。 |
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── | 東北っぽーい。 |
青森の港に面したアスパムっていう建物が あるんですけど、 ねぶたの後はそこに集合して 「パムラー」って言うらしいんですよ。 大ナンパ大会が始まる。 |
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── | 東北らしくていい。 |
いいですよね。 |
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日本人の姿ですよ。 |
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若かったら行ってみたいと思いますよね。 |
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── | 伝統的な村祭りですね。 |
祭りの本来の姿ですよね。 ねぶたもねぷたも、 本場のは見たことないんですけど 夜はやっぱりきれいらしいですね。 青森だけじゃなく 弘前もそうですし、 五所川原ってところの 「立佞武多(たちねぷた)」って またねぶたが違うんですよね。 |
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縄文っぽさが漂いますね。 |
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まさに、岡本太郎が言うところの。 |
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── | これディズニーランドの エレクトリカルパレードみたい。 |
そうです、そうです。 これがたくさん並んで、みんな 「らっせーらー らっせーらー」って ガンガンやってますからね。 迫力あると思いますよ、これ。 これで一年で壊しちゃうんですよ。 燃やすのかな。 |
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── | プロがいるんですか? 作る人は。 |
作る人がいるらしいです。 |
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── | いちど見に行ってみたいですね。 ありがとうございました。 次回は「大雨時行(たいう ときどきに ふる)」。 8月2日にお会いしましょう。 なんと、次回が連載最終回です! |
2013-07-28-SUN |