紅色の染料や食用油をとるために栽培されるベニバナは、 古代エジプト時代から染料として利用されていたようです。 日本でも、『万葉集』にすでに 「末摘花」としてその名が見られます。 この頃に橙色の花をつけはじめ、 日が経つにつれ花の色は濃い紅に変わります。 一面のベニバナ畑は夏の風物詩ともいえるでしょう。
── 「土潤溽暑」。
この「むし」の字が
「溽(じょく)」という。
溽暑ですよ!
あすま女 じょくしょ!
京おとこ これ書道とかで書くと
大変なことになりますね。
つぶれちゃいますよね。
── そういうお習字はイヤですね。
あすま女 イヤイヤイヤイヤ。
── もういいや、一日中クーラーの中にいる、
って思う日々ですね。
しかしですね、食べものはいいですよ。
「小鰭(こはだ)」。
京おとこ 小鰭!


あすま女 小鰭!
年中食べるけど、
やっぱり新子が出る夏ですよね。
京おとこ 新子、夏でしたっけ。
── ほんとうは夏が旬なんですよ。
でも年々、早まっちゃってるらしいです。
あすま女 新子、五枚漬けだ、何枚漬けだって。
あれ、すごい処理が大変なんですってね。
ちっちゃいから。
── 細かいから。
江戸っ子の染色作家と寿司に行ったら、
最後のシメは
「小鰭とたくあんと紫蘇、
 胡麻ふって細巻きにしてくれる?」
って言ったのが粋だなあと。
江戸っ子は言うことが違うなって。
京おとこ へええー!
京都出身ですが、江戸前寿司のネタで言うと、
小鰭が一番好きかもしれません。
あすま女 ですよね。欠かせないですよ。
京おとこ 最初にまず小鰭。
── 「寿司は小鰭に止めを刺す」。
あすま女 正月のもおいしいですよね。
粟の実を黄色いのまぶして。
京おとこ ああ、おいしいですね、あれ。
── おいしい~。きれいだし。
そしてゴーヤー。「苦瓜」も真っ盛り。
あすま女 これも最近ですよね。
── そして苦味が減った気がします。
出てきた時の苦さたるや。
慣れていなかったせいでしょうか。
京おとこ 最初はね。
── ゴーヤーって白いところや、
種もおいしいって言うけど‥‥。
あ、熟すと黄色くなって、
謎の生命体のように割れるんですよね。
種が真っ赤になってるのが出てくる。
『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の花みたい。
あすま女 果実が炸裂!
── 熟したゴーヤーは
おいしいらしいですよ。
あすま女 甘みが出るのかしら。
── そう。食べたことないんですけど。
これは血糖値を下げるんで、いいですね。
京おとこ やっぱり沖縄の健康食材なんでしょうね。
昔からのね。
あすま女 ビタミンも多いんですよね。
── Cが多いですね。
大好き、ゴーヤー。
京おとこ ゴーヤーの刺身とかね。
沖縄行った時に。
── おいしそ~。
京おとこ おいしいですよ。
── ゴーヤーチップスも
うまいですよね。
沖縄料理、普段は作りませんが、
銀座に行くと「わしたショップ」という
沖縄食材のお店があって、時々買います。
それから代々木上原の食堂「泡」。
あそこ、うまいですよね。
京おとこ ああ! おいしいですよね。
井の頭通りの。
── あそこの沖縄料理で、
沖縄料理観が変わりました。
もちろんゴーヤーチャンプルー、
ほかにもヒラヤーチーもフーチャンプルーも
ソーミンチャンプルーもソーキそばも。
ひっくり返るくらいうまいですよ。
あすま女 泡といえば、泡盛って
沖縄料理には合うけど
他の料理の時って‥‥。
── 合わない!
あすま女 あれ、なんでですかね。
── 見事に合わないの、あの味。
いただいても飲みきれず、
唐辛子漬けて調味料にしちゃいました。
あすま女 刺身とかにも合わないしね。
── 沖縄風の刺身には合うんですかね。
泡盛ってフレッシュパイナップルジュース割り、
おいしいですよ。
京おとこ シークヮーサー割りも
おいしいですよね。
沖縄の人はけっこう薄めて飲むんですよ。
あすま女 そのまま「くいっ」じゃないんですね。
── 昔、沖縄音楽の配信をやった時に
沖縄料理を出してお疲れ様でした! って乾杯して、
まあ、ほどほどで解散、と思ってたら、
全員車座になっちゃって。
京おとこ まさにそういう世界ですよね。延々と。
飲んでシメに
ステーキとか食べるんですよ。
── さて、季節の花。「白粉花」(おしろいばな」です。
あすま女 昔、遊びませんでした?
種の中に割ると白い粉が!
── 白粉花って、小学校の周りに
いっぱい生えてましたね。
今はどうなんでしょう。
あすま女 あった、あった。
今の子がこれを顔に塗ってるのは
見ないですよ。
京おとこ 英語では「four o'clock」って
言うんですね。
── 夕方に開くからだそうですよ。
中国語では「煮飯花」。
ご飯を作り始める時間に咲く花なんですね(笑)。
あすま女 おもしろい。
── 和名は「夕化粧」。
みやび~~。
京おとこ はんなりしてますね。
── 花言葉は「私は恋を疑う」ですって。
あすま女 大人な感じですね。
── 急に大人な感じです。
さて、季節のたのしみは
「東北の夏祭り」ですよ。
8月1日が弘前の「ねぷた」と、
盛岡の「さんさ」でしょ。
2日が今度、青森の「ねぶた」。
3日が秋田の「竿灯祭り」で
その後5日に山形の「花笠」、
6日の仙台「七夕祭り」。
東北の祭りを一カ所に集めてやるのありますよね。
京おとこ 「東北六魂祭」。
去年行きましたよ、ぼく。
おもしろかったですよ、やっぱり。
初年度仙台でやって、
それで盛岡でやって、
福島でやって。
── 持ち回りなんだ。
京おとこ やっぱりおもしろいですよ。
ねぶたとか迫力あるし、
「らっせーらー らっせーらー」ってね。
── これが終わると
「東北の季節は秋に向かって動き出します」
って、なんだかせつなくなっちゃう。
京おとこ そう、だから東北の人たちって
この祭りをものすごく
楽しみにしているんです。
たとえば青森の人にねぶたの話を聞いたら
本当に熱いですよ。
── あれ、かっこいいですよね。
京おとこ そう。でね、
ねぶたってあの服を着ていたら
誰でも入れるらしいんですよ。
── おおらかですね。
京おとこ 聞くと、それぞれの山車を
紐かなんかで
囲っているらしいんですね。
その中はもう無礼講なんですって。
── 東北っぽーい。
京おとこ 青森の港に面したアスパムっていう建物が
あるんですけど、
ねぶたの後はそこに集合して
「パムラー」って言うらしいんですよ。
大ナンパ大会が始まる。
── 東北らしくていい。
京おとこ いいですよね。
あすま女 日本人の姿ですよ。
京おとこ 若かったら行ってみたいと思いますよね。
── 伝統的な村祭りですね。
京おとこ 祭りの本来の姿ですよね。
ねぶたもねぷたも、
本場のは見たことないんですけど
夜はやっぱりきれいらしいですね。
青森だけじゃなく
弘前もそうですし、
五所川原ってところの
「立佞武多(たちねぷた)」って
またねぶたが違うんですよね。
あすま女 縄文っぽさが漂いますね。
京おとこ まさに、岡本太郎が言うところの。
── これディズニーランドの
エレクトリカルパレードみたい。
京おとこ そうです、そうです。
これがたくさん並んで、みんな
「らっせーらー らっせーらー」って
ガンガンやってますからね。
迫力あると思いますよ、これ。
これで一年で壊しちゃうんですよ。
燃やすのかな。
── プロがいるんですか?
作る人は。
京おとこ 作る人がいるらしいです。
── いちど見に行ってみたいですね。
ありがとうございました。
次回は「大雨時行(たいう ときどきに ふる)」。
8月2日にお会いしましょう。
なんと、次回が連載最終回です!
2013-07-28-SUN
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