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紅色の染料や食用油をとるために栽培されるベニバナは、 古代エジプト時代から染料として利用されていたようです。 日本でも、『万葉集』にすでに 「末摘花」としてその名が見られます。 この頃に橙色の花をつけはじめ、 日が経つにつれ花の色は濃い紅に変わります。 一面のベニバナ畑は夏の風物詩ともいえるでしょう。
あすま女 え?! 連載最終候?
あーららーー!
── 1年も、連載をしてきたんですね。
最後の候は、「大雨時行」。
まさしく!


あすま女 いまはゲリラ豪雨を思い浮かべますけど、
当時は夕立のことかしら。
── そうですね、夕立。
やっぱりスコール的にありましたよね。
ゲリラ豪雨は困るけど、
激しい夕立は嫌いじゃないです。
地面に打ちつけて
はね返っているのが目に見える、
あの感じ。
あすま女 においがね。
地面のにおいがホワッと。
── そう、においがして。
入道雲は切ないですね。
いろんな意味で切ないです。
京おとこ 夏休みが終わる感じがするんですよね。
── 高田敏子の「忘れ物」っていう詩、
すっごいいい詩で大好きです。
あすま女 「入道雲にのって
 夏休みはいってしまった」
っていう、あの詩ですね。
「『サヨナラ』のかわりに
 素晴らしい夕立をふりまいて」
って。
京おとこ さみしいですね。
── 明るくてさみしい詩。
京おとこ 前に「ほぼ日」で
「O型はいつもさみしい問題」
っていうのをやっていた時に
ものすごい極端に早い段階から
さみしがる人からたくさん寄せられて
「先走りさみしい」って言ってましたね。
お祭りとか始まった瞬間に、
終わったことを考えて
さみしくなるとか。
あすま女 ああ、わかる、それ!
京おとこ 夏休みが始まった瞬間に
終わったことを考えて
さみしくなるとか。
先走り過ぎ、っていう。
── その行事が始まってほしくない
タイプの人たちですね。
O型の人は、旅行に行く飛行機の中で
すでにさみしいらしいです。
京おとこ 往きから?!
── そしてA型はまん中ですね。
予定半分でさみしくなっちゃいます。
京おとこ なのでやっぱり入道雲なんですね。
あすま女 A型の人にとって
入道雲ってのはちょうどいい
さみしさなんですね。
── じゃあO型の人は、
成績表をもらった瞬間から、
夏休みが始まった時からさびしいのかな。
ああ、来ちゃった夏休み、
あんなに楽しみにしてたのに、って。
あすま女 終業式が始まった時から(笑)。
京おとこ できれば早くすぎてほしい、くらいの。
── この悲しい状態をずっと
過ごすのはイヤだ、みたいな。
ところで、坂東太郎。
川の名前にニックネームとして
人の名前を合わせるっていうのは
ちょっと面白いですね。
京おとこ ああ、「坂東太郎」。
── 「信濃三郎、四国三郎、筑紫二郎」。
あすま女 男の子の名前だね、みんな。
── さあ、季節の魚は「穴子」ですよ!


あすま女 夏の魚だなあ。
── ヌルヌルにょろにょろ。
そして鱗がない。
あすま女 そうだ、そうだ(笑)。
── 穴子は白焼きもうまいですよね。
京おとこ 「日本料理で何が好きですか」って聞いたら
「穴子の白焼き」って言ったフランス人がいて。
あすま女 渋い!
京おとこ なぜかと言ったら
「穴子の白焼きを食べると
 溝口健二の映画と
 青い畳の香りを連想する」んだって。
── そ、それはずいぶん、
日本オタクですね!
この間会った日本オタクの
フランス人男性の夢は
「パリにピンクレディーと
 中森明菜を呼んで
 ショーをやることデース」って。
京おとこ 溝口健二とだいぶ違いますね。
── そう、いろんなタイプの
日本オタクがいるんですよ。
「中森明菜サンには
 『難破船』を歌ってほしいデース」。
あすま女 へんなオタクですね(笑)。
京おとこ 黄昏れた選曲ですね。
あすま女 ちなみに穴子は、
ツメと塩、どっちが好きですか。
京おとこ お塩が好きですね。
── 塩ですね。
ただ、一口ツメもほしい。
あすま女 1個ね、1個。
── お酒飲むんだったら
絶対に塩で、
お寿司で最後に‥‥。
京おとこ なぜか、寿司食べると
終盤になって
穴子を食いたくなりますよね。
あすま女 なります。
── ちょっとあぶらっこいのがいい。
お寿司ってちょっとずつ食べるから、
ここらへんでガツンと、みたいな気分になって
その後終息に向かう。
京おとこ パンチが効いたものが
ほしくなるんですかね。
── だいたい後半ですよね。
あすま女 そうですね。
── 一番最後じゃないけど
後半ですよね。
あすま女 それから、「のれそれ」。
京おとこ のれそれね。
── のれそれは穴子の稚魚。
あすま女 ニョロニョロみたいですけどね。
── 稚魚ってうまいですね。
京おとこ ツルツル食べるんですよね。
生きているようなやつを。
あすま女 くずきりの短いのみたいな。
── 生でいただくんですよね。
すごいいい形。
鰻も稚魚がいっぱい獲れる時代だったら
稚魚を食べたし。
スペインなんか食べますからね。
さて、そして、「トマト」です。
トマトは春くらいから
おいしいのが出始めて。
本来路地ものは夏ですね。
日本でおいしいおいしいって言ってるのは
だいたいハウス栽培ですけれど。
あすま女 これも昔、青臭かったですよね。
── 青臭かった! そういえば「ほぼ日」で紹介した
永田農法の「ファーストトマト」って
おいしいですよね。
京おとこ ああ、あれおいしかったですよね!
── いまも毎年買いますよ、時期に。
京おとこ 去年くらいからトマトジュースが、
またね、売れてますよね。
── はい、おいしいですね。
トマトジュース大好き。
あすま女 からだにいいから人気ですよね。
リコピン?
── 抗酸化作用がありますね。
生活習慣病や美肌にいい。
「グルタミン酸やアスパラギン酸など
 うまみ成分も多い」と。
原産地は南アメリカ。
南アメリカって世界の食事情を
そうとうかえましたよね。
京おとこ すごい!
── ジャガイモとトマト、唐辛子。
ほんっとに宝の山だったんですね。
金(きん)が取れるとか以上に
南アメリカと交易のおかげで
地球ってずいぶん変化した部分が。
京おとこ これ、世界的に食べられているというと
トマトはかなりいい線いってるんですかね。
あすま女 そうですよ。
京おとこ 世界の野菜の消費量ランキングとか
ないんですか。
── ネットにありました
イラストがコワイです‥‥。
あすま女 平成15年のデータでは、
あらゆる野菜の中で
一番食べられている!
── 別のデータでは、
年間消費量はなんと
エジプトが一番多いんだそうです、
「97kg」!
どういうこと?!
あすま女 97kg食べるって
1カ月に9kgちかく?
── ギリシャ94kg。
イタリアはそれでも54kg。
日本はたったの9kg。
‥‥高いんだもーん。
エジプト料理って
そんなにトマト使うんですね。
あ、中国20kgも使ってる。
あすま女 リビアとかチュニジアとか
あのへんすごいですよ。中東。
── ほんとに南米との交易は
世界の食文化を変えたんですね。
日本は和食には使わないのでね、基本。
最近の料理には登場しますが。
さて、「胡瓜」も旬ですよ。
あすま女 胡瓜、来たか、ついに。


── 胡瓜おいしい、胡瓜好き。
でも胡瓜嫌いって人けっこういる。
瓜ぎらいの人たちが。
あすま女 いつから日本で食べてたんでしょう。
── 平安時代から栽培と書いてありますね。
シルクロード経由で。
ヒマラヤ原産です。
胡瓜の「胡」の字が。
あすま女 あ、ペルシャだ。
京おとこ そのままかじって、
まさに昔はこどものおやつ。
── 胡瓜食べないのは江戸時代の武士でしたっけ?
あすま女 んん?
── 切り口が徳川家の家紋である
三葉葵に似てるからって。
京おとこ どっかで聞いたことがある。
あすま女 恐れ多いと。へえ。
── それと祇園祭りの期間中には
胡瓜を食べないとか?
京おとこ うーん? 
それあんまり聞いたことないですけどね。
八坂神社の紋に似ているからかな。
あすま女 ああ、ちょっとね。
糸瓜とか瓜とかみたいだもんね。
でも夏は体を冷やすからいいらしいですよ。
── そうですね。
利尿作用もあって。
あすま女 太いのも、おいしいですよね。
「加賀太きゅうり」とか。
── ああ、おいしいです、うん。
胡瓜をごはんのおかずにするっていうのは、
「ぬか漬け」がえらいね。
あんなものがご飯のおかずになるとはね。
だって水分だけしかないような。
よくぞ考えたなと思いますよ。
さて、いよいよ最後の最後でございます。
季節のたのしみは‥‥
「夏の体調管理」(笑)!
あすま女 注意書きで終わりですか。
── 皆さま、
夏バテで悩んでおられませんか。
熱中症は大丈夫ですか。
京おとこ 体を冷やしすぎないって大事ですよね。
── 年齢を重ねたら驚いたのが、
冷えがきついってことですね。
あすま女 そうですね。
── 冷房直下、へっちゃらだったのに。
いまはきついです。
でも不快には過ごしたくないですよね。
京おとこ いろいろ総合すると、
風呂はちゃんと入った方がいいですよ。
── やっぱり、シャワーだけじゃダメなんだ?
血行を良くする方が体がちゃんとバランスを
保ってくれるんでしょうね。
でも「冷たい飲み物やアイスクリームを
控えましょう」って言うけどさ。
あすま女 我慢できない!
── 中国人は健康のために
氷の入ったものを飲まないとか、
言うけどさ、無理だよ、そんなの。
あすま女 生ぬるいビールは飲みたくないですよね。
京おとこ そう。うちの中国人の社員、
ウォーターサーバーで
お湯と冷たい水が出るんだけど、
それをふたつ混ぜて飲んでるんです。
できるだけ常温にするように。
── やっぱり、すごいね!
京おとこ 徹底してるなと思って。
── その方はやっぱり体調は
良好ですか。
京おとこ 元気そうですよ。
イキイキしてますね。
── うーん。やっぱり。
みんな否定はしないんですよね。
そりゃそうだよなと思いながら‥‥。
香港とか、夏はものすごい冷房で、
冷蔵庫かと思うくらい空調激しいのに。
でもこどもの頃に比べて、
夏に熱いお茶とか熱いコーヒーとか、
平気になりましたけどね。
あすま女 さて、これで一巡ですか。
── はい。皆さま、またの機会に、
おめにかかりましょう。
お風呂にちゃんと入ってね。
京おとこ 夏バテにご注意ください!
あすま女 気をつけるんですよ~。
── 「くらしのこよみ」は
実はこれでおしまいなんですけれど、
「ほぼ日」と「くらしのこよみ」で
一緒に「ほぼ日手帳」の‥‥。
京おとこ あ! そうです。
来年の手帳には。
── そうなんです。
来年の手帳で
旧暦をたのしむ小冊子を
作ろうという話が、今、進んでおります!
皆さま、どうぞお楽しみに!
またお会いしましょう。
全員 ありがとうございました!
2013-08-02-FRI
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