ほぼ日刊イトイ新聞

書くことの尽きない仲間たち 車で気仙沼まで行く。 東京~福島~宮城 2018

3月11日に向けて、
東北を旅することにしました。
東京から気仙沼まで車で。なにか、書きながら。
書くのが誰かというと、
古賀史健さん、浅生鴨さん、田中泰延さん、
そしてほぼ日の永田の4人です。
3月9日、東京を出発します。

はじめのごあいさつと、
4人のプロフィール。

3月11日という、
忘れられない日が今年もやってきます。
忘れてしまって、ふつうの日になることが、
むしろいいことなのかもしれません。
けれども、やはりそれは、まだまだ特別な日。
東日本大震災から今年で7年。
毎年、毎年、思います。考えます。
どのようにしてこの日を過ごせばいいか。
瓦礫はなくなりました。
しかし、何もかも戻ったわけではない。
それでもたくさんの笑顔があり、
ふつうの日常が多くの街で続いている。
そこにいる人たちは、どう過ごしているだろう。
いま、何が東北のためになるだろう。
いろんなことは相変わらずさまざまな軸を持ち、
簡単なことばで済ませることはできません。
だからこそ、ひとつずつ、今年も、考えます。
いま何ができるかを。自分たちにできることを。

こんにちは。ほぼ日の永田泰大です。
毎年、3月11日が来るたびに、
ほぼ日で何かのコンテンツをつくっています。
あの日のことを振り返ったり、
いまのことをできる範囲で伝えたり、
取材したことや、感動したことを書いてみたり。

今年は、その日に合わせて、
東北を旅することにしました。
東京から気仙沼に向けて、車で、海の方を。
福島の浜通りを通って、あちこち寄りながら。
そこを行き、できるだけ、「いま」を書いてみる。
こういうことを言おうとか、主張しようとか、
先入観や目的をなんにも持たずに、
「いま、こうなんだよ」「こんなものを見ました」
「こう感じたんです」「ほら、こうです」ということを、
そのときどきに書いていきたい。
あえていえば、「書き散らかして」みたい。
そんなふうに思いました。

いってみれば、ある種の「隙」のある企画です。
ただ、たのしかった、で終わるかもしれない。
思うのですが、3月11日という日に、
ガチガチの計画を慎重に練るのではなく、
東北を旅するというようなことに
取り組むことができるというのは、
あの日から7年が過ぎたということの
ちょっとした落ち着きの表れなのかもしれません。

さて、そのときどきを書くにあたっては、
ぼくひとりではとても足りないと思いました。
いろんな目と価値観で、
そしていろんなことばと文体で、
2018年のこの旅を、書き表していきたい。
できれば読む人を惹きつける、
おもしろいテキストで。
それで、「書くことの尽きない」仲間に声をかけました。
ここ数年、ほぼ日の周辺で、
たくさんのことばを書きながら、
独自のおもしろさを生みだしている人たちです。

『嫌われる勇気』の共著者でもあり、
いろんな媒体でほぼ日にまつわる記事を
書いてくださっている、古賀史健さん。
元NHKのツイッターを担当し、
『伴走者』や『猫たちの色メガネ』を書いた、浅生鴨さん。
電通を辞めてフリーランスとなり、
誰も追随できない知識とユーモアによって
たくさんのファンを魅了している、田中泰延さん。
(ちなみにもうひとりの「書くことの尽きない」仲間、
燃え殻さんは、どうしてもスケジュールが合わず、
残念ながら参加が叶いませんでした。)

彼らが、震災から7年後の東北を見て何を思うのか。
福島や宮城のいろんな場所を旅しながら、
いったいどんなことを書くのか。
まったく想像がつきませんが
(おそらく本人にもわからないでしょう)、
ぼくはそれがひとりの読者としてとてもたのしみです。

3月9日の朝、東京を出発します。
福島の浜通りを通って宮城県に向かい、
3月11日には気仙沼で糸井重里と合流する予定です。
だいたいのコースは決まっていますが、
行き当たりばったりの要素もたっぷりあります。
あちこちをまわりながら、写真も撮るでしょうし、
各自、ツイートもすると思います。
そして一日の終わりには、
個々にキーボードに手を置き、原稿を書くはずです。

どうなるかわからないことも多いのですが、
きっとおもしろい記録になると思います。
先に書いたことと重なりますが、
「わからないことに挑戦できる」というのは、
なんだかありがたいことのように思います。
どうぞ、よろしくお願いします。

2018年3月  ほぼ日・永田泰大

古賀史健(こが・ふみたけ)

ライター、株式会社バトンズ代表。1973年、福岡県生まれ。出版社勤務を経て、1998年フリーランスに。著書に『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(共著・岸見一郎)、『20歳の自分に受けさせたい文章講義』、インタビュー集に『16歳の教科書』シリーズ、構成を担当した本に『ゼロ』(堀江貴文著)など約90冊があり、累計600万部を数える。2014年、ビジネス書ライターの地位向上に大きく寄与したとして「ビジネス書大賞・審査員特別賞」受賞。

浅生鴨(あそう・かも)

作家、広告プランナー。1971年、兵庫県生まれ。NHK職員時代の2009年に開設した広報局ツイッター「@NHK_PR」が人気を呼び、「中の人」として注目される。2013年に「群像」で発表した短編「エビくん」で小説家としてデビュー。2014年にNHKを退職し、現在は執筆活動を中心に広告やテレビ番組の企画・制作なども手がける。最新作は、障害者スポーツをモチーフにした『伴走者』。他の著書に『中の人などいない』『アグニオン』『猫たちの色メガネ』がある。

田中泰延(たなか・ひろのぶ)

ライター、コピーライター。自称・青年失業家。1969年、大阪府生まれ。電通に24年間勤務し、多くのCM、広告を生みだした後、2016年に退職してフリーランスに。映画評論、エッセイ、インタビューアー、トークイベント出演など、多岐に渡って活躍。ツイッターを通じてのファンも多く、「ひろのぶ党」の党首と呼ばれることも。

2018-03-08-THU
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