21世紀の
向田邦子をつくろう。

■「久世塾おぼゑがき」17号
 点滴打ちながらボンヤリ考えたこと……。


ここ数日胃の調子がすこぶる悪かったので、
近所の病院に行くことにしました。
しばらくは愛用の胃薬で解決を試みていたのですが、
なかなか事態は好転しない様子。
そこで「ここはいっちょプロに頼るしかない」と思い、
いそいそと出かけていきました。

「ここ2、3日胃が痛いんですけど…」という僕に、
なるほどと頷きながら一通りの触診を終えた先生は、
症状の説明の後
「ちょっと点滴打っとこか」と軽くいいました。
はいわかりましたと隣室のベッドに横になって
点滴を打たれながら、
「どれくらいかかりますか?」と看護婦さんに尋ねると
「ん〜30分くらいかな」と優しく答えてくれます。
30分ぼーっとしているのももったいないので、
そうだ「ほぼ日」のネタでも考えておこう!
と思い立ち、いろいろと考え始めました。

そういえば脚本家の人たちって
どんなときにネタを考えているんだろうか?
例えば「企業ドラマのような刑事もの」という
アイデアはどこで思いついたんだろうか?
「車いすの女の子とカリスマ美容師の恋」という
ストーリーは何をしているときに考えついたのか?
では点滴を打っているときに考えつく物語って
いったい何だ?

などなど思いをめぐらせていると、
だんだんと口の中がカサカサに乾いてきます。
あっ薬が効いてきたんだなと思っていると、
そのうち頭がぼ〜〜としてきました。
目の前がぼんやりしてきて
焦点が定まらなくなってきます。

これはヤバイんではないか?と思い、
先ほどの看護婦さんに
「あの〜ちょっと頭がボヤけてきたんですけど…」と
おずおずと訴えてみました。
すると看護婦さんはカルテを見ながら
「あーちょっと痛み止めが入っていますからね。
 それが効いているんだと思います」と
あっさりと返します。
あっそうですかと返事したものの、やはり気持ち悪い。

そこで先生に
「点滴打ってから調子が悪いんですが、
 大丈夫ですか?」といいました。
先生は、確かに痛み止めはちょっとキツイので
少しフラフラするよといった後、
「しかしアレぐらいの薬でフラつくということは、
 よっぽどカラダが弱ってるんじゃないか?
 もう一本点滴打っとこか?」といいました。
僕は、これ以上打たれたらタマランと思い、急いで
「いや結構です。ちょっと休んだら帰ります」と言って
そそくさと病院を出ました。

その帰り道、ヨタヨタと歩きながら
「そういえば医療ミスをテーマにしたドラマが
 始まったよな……」などと縁起でもないことを、
ボンヤリした頭でボンヤリ考えていました。

もしかしたらあのドラマの脚本家さんも、
病院で点滴打ちながら考えついたのかな? なんて
さらにボンヤリしながら考えつつ家路につきました。
この原稿を書いているときも、
まだ少し頭がボンヤリしているので、
こんなボンヤリした文章になってしまいました。
スミマセン……。

プロの脚本家はどうやってアイデアを出しているのか?
または点滴を打ちながら考えたことはあるのか?
(これはあんまり聞きたくないか?)
その答えは『久世塾』で!
と、ボンヤリしているので
ちょっと無理のあるシメになってしまいました……。
次回は頭をスッキリさせてがんばります。

それでは。

文責 さとう

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2000-04-27-THU

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