21世紀の
向田邦子をつくろう。

■「久世塾おぼゑがき」61号
 『久世塾』ついにテレビ進出!


昨日の朝、NHK見ましたか?
昨日、9月5日(火)朝の8時、
ついに『久世塾』がテレビで全国に紹介されました。

「そんな朝早くからテレビなんか見れっかよ!」と
文句をいう友人・知人・隣人たちに、
「絶対見ろよ!」と半ば強制的に
“お願い”した甲斐あって、
「何だかすげえことやってんじゃん!」という
ストレートなご意見や、
「『久世塾』ってけっこう面白そうだね!」といった
好意的なご感想をいただき、
「毎週土曜日に池袋で何やってんだ?」と訝しんでいた
我が身内にも、やっとどんなことをしているかを
理解してもらえました。

なんだかんだいっても、
未だ(特に年輩者には)テレビの力は絶大です。
やっぱりテレビって侮れないな〜っと実感しました。
そして「そんな朝早くからテレビなんか出れっかよ!」
といっていた(らしい)あの久世塾長も、
がんばって早起きされたようで、
ちゃんと生で出演されていました。

『久世塾』でもおなじみの、
いつものラフなスタイル(そして生足にローファー)で
出演されていたのが何となくうれしかったです。
でもブラウン管には、もっと言いたいことがあったのに
中途半端な所で司会者に遮られ、
だんだんと不機嫌になっていく久世さんの表情が
しっかりと映し出されていましたが……。

さてさて、ここからは前回講義のお話。
「まず書くことです。とにかく書いて書いて書きまくる」
そのイカツい(失礼!)顔に似合わず、
金子先生はトツトツと塾生たちに語り掛ける。
「そうしていって、書く“クセ”というものを
 つけることが大事なんです」

数々の名作ドラマを世に送り出してきた
ベテラン脚本家は、若き後進たちに
そう諭すように言いました。
『久世塾』第9回目の特別講師は、
久世塾長とのコンビ作も多い金子成人先生。
向田邦子亡き後、向田作品の脚色も
数多く手掛けられており、先日撮影にお邪魔した
「寺内貫太郎一家2000」の脚本も
金子先生の手によるもの。

あの大御所・倉本聡氏の一番弟子だったとのことで、
デビューは久世・倉本・向田という
そうそうたる面々が携わっていた
「おはよう」というドラマ。
「そのドラマの中でね、僕の書いた回だけが
 新聞でケチョンケチョンにけなされてね」
と苦笑する金子先生。
おかげで師の倉本さんに玄関先で立ったまま
2時間もお説教されるはめに。

そこで一念発起した若き金子氏、
「その後もう一度脚本を勉強し直そうとしたときに、
 とても役に立ったのが『落語』だったんですね」
映画や歌舞伎や能などを見るのも勉強になるけど、
とにかく金子さんは落語にはまっていったらしい。
「名人の落語を聞いているとね、
 構成のたてかたなんかが
 すっかりとわかってくるんですよ」

そして脚本家としての確固としたスタンスを
確立した金子さんは倉本氏のお許しも頂き、
「大都会」や「太陽にほえろ」などの脚本を
次々と手掛けられ、映画の世界にも進出。
日活ロマンポルノから文芸作まで
幅広い活躍で一躍売れっ子脚本家に
(僕の大好きな甲斐よしひろ(甲斐バンド)夫人でもある
竹田かほり主演の「桃尻娘」が金子さんの出世作とは!)。

「僕は最初、脚本づくりというのは
 お菓子づくりみたいなものだと考えていたんですよ」
と金子氏。
「でも実際にはそんなキレイな仕事なんかじゃない。
 自分の内から出てくるものを書いていかなきゃならない、
 とってもドロドロした仕事なんです」
そして、この世界で生きていく上で
一番大事なものは?という問いかけに、
「人と人とのつながりですよ。それが仕事につながる」
とアドバイス。
これはまさしく“プロ”の言葉やな、と感心。

そして「とにかく書くこと!」という言葉を残し、
金子先生は講義を終えられました。
特別講演会も、今回で脚本家の講師は終了。
いよいよ『久世塾』も残り3回となりました。
果たしてこの120名の塾生の中から、
プロの脚本家は誕生するのでしょうか?

それでは。

文責 さとう

★久世塾正式サイトへのアクセスは
 http://www.kanox.co.jp/へ。

2000-09-06-WED

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