21世紀の
向田邦子をつくろう。

<野望篇>

金がかかるのはロックだけじゃない

小劇団には、プロ・アマの区別がありません。
あるのは大小だけで、明確な境界線がないのです。
音楽家にはメジャー会社でのCDデビューが、
小説家には著作物の出版がありますが、
いわゆる小劇団系にはそれに類するものがありません。
芝居という商品は、複製・大量生産ができないからです。

そしてそれゆえに、演劇は儲かりません。
演劇には2種類あるんですが、宝塚とか松竹みたいな
いわゆる商業系演劇は、多少儲かることがあるそうです。
でもキャラメルボックスや夢の遊眠社(古い?)のような
有名で大きな小劇団系でさえ、儲からなかったそうです。

これはなんと論文(みたいな本)にもなってます。
『現代演劇のフィールドワーク〜芸術生産の文化社会学』
(東京大学出版会刊/佐藤郁哉著/5,200円+税)
によれば、
「公演によるチケット収入は四千万円以上にものぼる
〜略〜 経常利益は四万円程度」だそうです。
これ、かの鴻上尚史氏率いる第三舞台の話でっせ。
劇場が大きくなって観客が増えてもその分制作費がかかる
ので、小劇場というのは構造的に収益が上がらないのです。

で、私の劇団は?
もちろん、赤字です。現在マイナス40万円くらいです。
お? 少ないね。と思われるでしょう?
そうなんです。小劇団は儲からないけど大損もないんです。
ただし、全員ノーギャラでの話。スポンサーもなし。
当劇団の「松井和美」なんかは「まずいカスミ」ばかり
食って生きのびてます。すみません、面白くないですね。

うちの劇団の場合、1回の公演の予算は100万円です。

小屋代: 53万円 (劇場レンタル費。1週間程度)
チラシ印刷費: 15万円 (デザイン費0円。B5両面3万部)
照明外注費: 15万円 (チカラ入れてる!)
大道具: 12万円 (毎回立派なセットが立つ)
小道具、衣装: 5万円 (大半が自前‥‥)
当日費用: 10万円 (弁当、レンタカーなど意外とかかる)
+)合計= 110万円 也。

‥‥あ、10万円オーバーだ。という具合になるわけです。

打ち上げ代も出ない代わりと言ってはなんですが、
当劇団は劇団運営費を毎月1万円ずつ
劇団員から搾取します。
出ていく一方です。ぢっと手を見るしかありません。

というわけで、現在、当劇団の役者は
テレビや映画の「ギャラのある」仕事を探してます。
どんなに安くても伺います。どなたかお仕事下さい。
なんと言っても、うちの役者はみんな「プロ」ですから!
もちろん、アマでもありますが‥‥。

2000-12-19-TUE

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