怒っちゃやーよ
さっ! キャストも決まってあとは撮るだけ!
ってワケにいかないのでした。
舞台もそうですが、ドラマも打ち合わせが多いようです。
まずはロケハン。
ロケーションをハンティングするという
訳の分からない英語なんですが、
見てきました、ロケ予定地。
演出部の方々に色々なところ探していただき、
最終的に役者の方全員がOKな日程で使用できる場所が、
ロケ現場となるわけです。
今回はおおざっぱに3箇所。海、学校、家屋です。
◆海(砂浜)
寒いです。人もいません。
脚本上、海の場所を特定できないようにしたかったので、
「どこかどういう風に撮れば背景が映り込まないか」
ってな議論をします。
◆海(港)
脚本上、港という設定になっているので、
同じ場所で今度は港っぽく見せる必要があります。
コンクリートの波止場らしき場所があったので、
これもなんとかなりそうです。でも、寒い‥‥。
◆学校(校庭)
たいへんです!
この季節、どこの大学も高校も中学も入学試験!
ロケ用に場所を提供してくれないんですっ。
困った演出部AD中島さんが選んだ場所は、なんと公園。
行くと、野球場2面分がフェンスに囲まれている所でした。
一部を見れば(地面とか)、そりゃ学校に見えるんですが、
全景を入れた時にどう見ても公園‥‥。
これは別にADさんが悪いわけではありません。
そういう脚本を書いた僕が悪いわけでもありません。
そこを学校に見せれない演出が悪いわけでもありません。
誰も悪くなく、仕方のない状況では、それを打破するための
議論が必要になってきますよね。
ここで「こんな場所でやってられるか!」とブチ切れたら
人として嫌われますし、そんな安易なヤツ、僕は嫌いです。
そもそも、集団でお金をかけて何かを作る作業の楽しさって
こういう逆境にこそあるんだと思います。
カメラ、演出、脚本、照明、美術、役者が色んなアイデアを
持ち寄って、その場で「最高の苦肉の策」を産み落とす。
これこそが物作りの神髄だと思うんですよね〜。
ロケハン隊は悩みます。
高野P「学校の実景を挟むか‥‥?」
「実景を挟む」というのは、他のところで撮った
学校の映像をそのシーンの頭に付け加えることで、
あたかもそこを学校かのように見せるぜ、という技です。
カメラさんはグランドを歩き回ります。
「いい場所はないか?」
ゴムも考えます。
「脚本を変更して打破できないか?」
「しかし、どこまで妥協できるか‥‥」
「このシーンで伝えるべきことは何だったのか?」
そうしてみんなが悩んだ結果は‥‥、本編でお楽しみに!
(だってこれ以上書くとネタばれになっちゃう‥‥)
◆美術室
とある美術専門学校をお借りできました。
窓からグランドが見えると最高なんですが、
まあ、校庭でなく空が映ってもなんとかごまかせます。
ではさっそくみんなで窓の外を覗いてみましょう。
「!?」
「な、なんじゃこれは‥‥」
「い、家‥‥?」
そう、
窓の1m向こうに民家がデンと構えてるじゃないですか。
下がってよく見ると
壁一面の窓にはその屋根の影が大きな三角形を描いて‥‥。
けれどこれも照明さんやカメラさんのスーパーテクで
どうにかなるとのことでした。ホッ‥‥。
◆家屋
これはもう無問題。
ハウススタジオと呼ばれる専門のスタジオがありまして、
人が住んでそうなアパートや家が、撮影用に改造され
ているというシロモノ。ふう、これで安心ですね。
と脚本を見直し、もう一度スタジオを見て気が付きました。
脚本には階段を歩くシーンがあって、結構重要なんですが、
「階段がない‥‥」
そう、このスタジオには「階段」がないんです!
今から作るわけにもいかないし廊下で代用するのも難しい。
岡本「階段がないんですけど、どうしましょうか」
高野P「なんとかなるよ」
岡本「あ、そうですか。で、どうやるんですか」
高野P「うん、ねえ」
カメラ「そう、大丈夫だいじょうぶ」
岡本「え、だからどうやって!?」
ADさん「こういうのはよくありますから」
岡本「いや、よくあるとかそういうことじゃなくて‥‥」
高野P「うん、じゃあロケハン終了。
今日のロケ場を踏まえて脚本直してきて」
岡本「は、はあ‥‥」
ほぼ日ドラマは14日(水)から、
流しっぱOn Wave!
3/14までいつでも見放題だぜ!
詳しくは放送開始日に!
岡本さんへの直接メールはこちらへ: okamoto@tacoashi.com
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