── 矢野さんの前では、糸井さんは何役ですか。
糸井 ああ、いい質問ですね。
坂本 傍から見てると、お兄さんぽいですよ。
糸井 お兄さんでしょうね。
坂本 なんか色々困った時に助けてくれる、
相談できるお兄ちゃん。
── あ、糸井さんが。へえ。
糸井 うん。お兄さんでしょうね。
けしてお父さんではないし(笑)、
それ以外は、
お兄さん以外は何者でもないですね。
坂本 お兄さんだよねー。
── 例えばどんなことですか。
困ったっていうのは。
坂本 困ったってほら、
これは自分の言葉じゃなくて、
糸井さんの言葉がいいだろうなっていう
曲ができちゃう時は、
困ったっていうのは言いすぎだけど、
糸井 困った‥‥うん。
坂本 自分じゃないほうがいいだろうなって時は、
あるわけですよ。
その時、うぇーって言ってくると、
「いいよいいよ」って(笑)。
糸井 あと、
「次のアルバム出すんだけど、
 何も考えてないのよねー」っていう(笑)。
坂本 ははは!
── そういうことがあるんですか(笑)。
糸井 全部そうですよ。
つまり、考えじゃないんだから。
考えじゃないよね? あれは(笑)。
考えじゃなくて、今は、何かこう、
あーやりたいっ! と思うんだろうね(笑)。
坂本 こういう音の、こういうの、
はあるんだけど、それが何かっていうのは。
── それをじゃあ、何かきっかけを‥‥。
糸井 ん、だからこう、
旅行に行きたいんだーって話と同じですよ。
── どこだかわかんないけど行きたい(笑)。
坂本 そうだね。
本人がどこだかわかんないから、
考えてあげるんだよね。
糸井 そう。
── けっこう大変な役ですか?
糸井 全然大変じゃないですよ。
だって、女の子がね、
「旅行に行きたいんだ」って言ってたら、
「じゃあどこ行こうか、
 いっそ、フィリピン?」
とかわけのわかんないことを。
坂本 言ってりゃいいんだから。
糸井 言ってりゃいいんだから。
俺は俺で、行きたい子がいなかったら、
その旅行には行かないわけだから、
家で寝てるわけだから、
アッコちゃんが
旅行行きたいんだって言ったら、
うれしいですよ。
その、「あ〜、俺もまだ
考えてないんだけどよね、俺もー」
なんて言ってるけど、
ひどい時は、なしくずし的に
頼まれたのに仕事しないって時もありますよ。
── ふうん!
糸井 あと、できたら送っとくね、
っていうのもありますよ。詞なんか。
で、それを材料にしてつくったり。
あるいはアッコちゃんの中では、
ベースのあの人は、今回は必須だけど、
それ以外は何も決まってないとか。
坂本 わかった。
俺にも、お兄さんが必要だったんだ!
── それがわかったんですか(笑)!
糸井 坂本くんは、傍で見てて孤独だね。
坂本 お兄ちゃんがいないんだよな、俺‥‥。
糸井 あははは! 勉強できすぎたから(笑)。
── いきなり、なんか、
なよなよって感じになってるでしょう、
なんか(笑)。
坂本 お兄ちゃん欲しいよー(笑)。
糸井 いつも男ぶりすぎなんだよ(笑)!
坂本くんは、もっと甘えた方がいいよね。
価値観何本もあるから、
全部でちゃんとやんなきゃなんないと
思うだろ(笑)?
坂本 だから、
矢野さんにとっての糸井さんみたいな
お兄さん役を自分でやんなきゃいけない。
糸井 そうなんだよ。
坂本 俺は。
── 自分でやんなきゃいけない(笑)。
坂本 自分の中に色んな自分がいるんだよ(笑)。
オオカミ少年の俺もいるしさ。
糸井 うん。
── たぶん、子供の時からそうやって
遊んでたんですよね。
坂本 あ、ほんとにそう。
2006-11-30-THU
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