ロンドン・ビジネススクールで教鞭をとりつつ、
「ホットスポッツムーブメント」という組織や
「働き方の未来コンソーシアム」というコミュニティで
はたらくことについて研究をつづける
リンダ・グラットンさん。
そして、糸井重里。
はたらくことについて考えつづけたふたりの対談は
たのしく進みながらも、濃密な内容になりました。
さっそく読んでいただきたいのですが
その前に、
対談をよりたのしんでいただくために、
書籍『ワーク・シフト』で提唱された
リンダさんの考えを
知っていただきたいと思いました。
おおまかにですが
『ワーク・シフト』の内容をまとめましたので、
ご紹介させてください。
『ワーク・シフト』では、
「2025年にわたしたちが
どんなふうにはたらいているのか」が
具体例をもって、専門的に分析されています。
リンダさんはまず、
これからの未来を形づくるものとして
「テクノロジーの進化」
「グローバル化の進展」
「人口構成の変化と長寿化」
「社会の変化」
「エネルギー・環境問題の深刻化」という
5つの要因をあげています。
このような進化や変化が複雑に絡み合いながら、
未来はつくられていきます。
漫然と未来をむかえてしまうと、
いつも時間に追われながら
ネットワーク上だけで仕事を進め、
1日24時間、週7日休みなしで
孤独にはたらきつづける生活を
送ることになるかもしれない‥‥と。
未来を形づくる進化や変化についていけず
このような社会から閉め出されてしまうと、
再度参加することはむずかしく、
新しい貧困層の一員になるかもしれない‥‥。と
リンダさんは予想しています。
こういった暗い未来ではなく、
明るい未来を切り開くためには
3つのシフトが必要だと、
リンダさんはおっしゃいます。
1つめは、
広く浅い知識ではなく、専門的な知識を得ること。
前者のような知識は
ウィキペディアやグーグルといったテクノロジーから
ますます手軽に得られるようになるため、
専門知識を身につけることこそが
未来のじぶんの付加価値になるといえます。
また、ひとつの分野だけでなく
関連分野やほかの分野への知識も
はぐくむことが重要になります。
2つめは、
ひとりひとりが競争するのではなく、
協力してイノベーションを起こすこと。
協力し信頼しあえる人間関係を幅広く築き、
そうした人たちとの共同作業によって
イノベーションを起こすことができます。
3つめは、
はたらいて稼いだ賃金を
ほしいものにつかうことから幸福感を得るのではなく、
はたらくことに情熱をかたむけ、
そこから幸福感を得られるようになること。
低成長化がつづく先進国では、
消費から幸福感を得ることや
それを仕事の目的とすることは
もはや破綻状態にあると考えられています。
この3つのシフトを意識的に行うことで、
有意義なはたらき方を自ら選択できると
リンダさんは本のなかで語っています。
かなりかいつまんだ説明ですので、
興味がわいたかたは
ぜひ『ワーク・シフト』を読んでみてください。
それでは、
ここからはふたりの対談をおたのしみください。
息子からの進路の相談にたいして
きちんとこたえられなかった――。
そんなリンダさんの実体験からはじまる
この書には、
「2025年のときにわたしたちは
どんなはたらき方をしているのか」を
あいまいな印象論ではなく、
いくつもの具体例をあげて
専門的な分析として
深く掘り下げられた考えが
つまっています。
これからわたしたちが
どういうはたらき方を選んでいくのかを
前向きに考えられる本です。