[糸井]
今日はお越しいただいてありがとうございます。
「ほぼ日」で、ぼくはいろんな方と対談してるんですが、あんがい、女性は少なめなんですよ。

[佐伯]
まあ、そうなんですか?



[糸井]
女性って、もともとがすてきですから、ぼくなんかは、こう、遠慮がちになっちゃうこともあって(笑)。

[佐伯]
私は、姿は女なんですけど、性格には女らしさがなかったりするんです。

[一同]
(笑)

[糸井]
男でも、女でも。

[佐伯]
もうどっちでも(笑)。

[糸井]
そういう意味ではぼくもそうです。
チズさん、お姿がなんだか森の木陰にいるような妖精のような‥‥。



[佐伯]
あら、そんな(笑)。
この洋服は、自分でデザインしたものなんです。
オードリー・ヘップバーンのように白い肌に白いブラウスが似合う女になりたかったんですよ。
わたしは13歳からヘップバーンに憧れていまして、歳を重ねたときに
「かっこかわいく」いきたいと思ったんです。
ヘップバーンももちろんそうですが、小森のおばちゃまや、宇野千代先生にも憧れていたんです。

[糸井]
ぼく、おばちゃまには何度かお会いしたことがあります。
ココちゃんという犬をかわいがってらして。
「おばちゃま」とかいう役回りだから、みんな気づかなかったけれど、なかなか艶っぽい話のある方だったようですね。
そういう気配のあるかたでした。

[佐伯]
そうなんですか。
すてきですね。
小森のおばちゃまと宇野千代先生、おふたかたとちがうところは、わたしは、男性に縁がないことです。
男はいらないから、そのかわり、お嫁さんがほしい(笑)。

[糸井]
だれでも、嫁はほしいですよね。
‥‥これはホントに余談中の余談なんですが、ぼくは最近、男は女に好かれてないんじゃないか、という結論を出しはじめていて。



[佐伯]
え? そうでしょうか?

[糸井]
男はみんないい気になって好かれたようなつもりになってますけど、女に心から好かれた男ってほんとうにいたのかなぁ、という疑いを持ってるんです。

[佐伯]
うーん‥‥、わたしはよく、女性のみなさんに
「つくす女になれ」と申し上げるんですがそれをひっくり返して考えると、つまり、つくさせる男が少なくなった、ということでしょうか。

[糸井]
そうとも言えますね。
男と女のちがいがなくなればなくなるほど、つくす理由がなくなりますから。

[佐伯]
たしかに、男と女が両方から近づいて、ちがいが少なくなってきていますね。

[糸井]
男と女はちがうものだ、という意識が漠然とまずあって、相手のめずらしさも手伝って、
「では自分はどうすればいいか」を想像してきたじゃないですか。

[佐伯]
はい、そうですね。

[糸井]
だけど、いまの女の人は、男が何を要求してるかなんて、お見通しでしょ?

[佐伯]
いやぁ、そんなことないですよ。
いまの女の人たち、どう? みなさん。

[一同]
(笑)



[佐伯]
女性は、いま、視線の方向が「外」じゃなくて、
「自分」に向いてるんじゃないでしょうか。
だから、意外と人というものを知らなかったりかんたんに人に頼る傾向もあるんだと思います。
化粧品についてもそうで、何をしたらいいのかわからない、何を使ったらいいかわからない、こういう方がけっこう多いんですよ。

[糸井]
なるほど‥‥ということは、
「女」がいなくなって、
「お姫さま」が増えたんでしょうか。

[佐伯]
そうかもしれないですね。
わたしは、好きになった男の人だったら、とことんつくすことができるんじゃないかと思っています。
ですから、みんなにこう言ってます。
結婚するまでは、
「もらいたい」「ほしい」「結婚して」
と、とにかく言われなさい、そのかわり、結婚したらとことんつくしてあげなさい、と。

[糸井]
だけど、そういうの、見たことがないです(笑)。

[佐伯]
そうなの、いないんですよ。

[一同]
(笑)

[佐伯]
男の人も女の人も、いないのよ(笑)。

[糸井]
チズさんは、ご主人が亡くなって、一時期、とても落ち込んでしまわれたでしょう。

[佐伯]
そうです。

[糸井]
オレは、絶対そうなられないと思うんです。

[一同]
(笑)

[糸井]
たぶん、オレが死んだときの妻の感想は
「お葬式ってホント疲れる!」
だと思う。
夫が亡くなるという話じゃなくて、忙しかった、ということになってると思います。

[佐伯]
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