拝啓ブイヨン殿
拝啓 ブイヨンどの
はじめておめにかかります。
いつも、うちのちゃいろいのがお世話になっております。
わたくし、アンジェリクと申します。
フランス語で天使のような、と言うような意味だと、母がもうしております。
ちゃいろいのが、いつもへんな手紙をおくっているのを横目でみておりまして、いたたまれず、今日はわたくしが書いています。
さいきん、ちゃいろいのは、ねこ人気が高まっていることにショックをうけ、ふせっております。
病ではありません。
ただたんに、ふせっているのです。
ふせをしたまま、寝ているということでございます。
わたくしは
「どすこいおやじ」なんていわれてますがまったくもってひどい呼び名で、傷ついています。
14歳という年齢ですが、まったくもって健康です。
ぶいよんさまは、八年前にお生まれになったとか。
いかがですか、八歳は。
わたくしの家には、ねこが四匹います。
わたくし、わたくしのむすこ2匹、関係ない猫一匹です。
母親は、いちおう「女優」という仕事をしているそうですが実際わたしはみたことがありませんし、嘘かもしれません。
たぶん嘘だとおもいます。
ちゃいろいのは、10年前に、いきなり我が家にやってきて、そりゃあもう、馬鹿みたいに元気で、たまったもんではありませんでした。
追いかけられて命からがら逃げ切った日は、数えられないほどでございまして。
いまはとりあえず、羊くらいのおとなしさにはなりましたけど、まあ、まだ油断はできないですね。
わたくしの毛並み、なかなかすばらしいでしょう。
すばらしい。
ブイヨン様におかれましては、ひび、楽しく過ごされますように。
ちゃいろいのからの、すとーかーじみた手紙を、許してやってくださいね。
敬具
アンジェリクより。
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