貴重な「失敗」の経験がありますか?

●弊社は北海道。取引先は東京。
納品物のビデオテープを宅急便で送った日、中身を入れ忘れ、外側の袋だけを送ってしまった事が判明。
再び宅急便で送ったのでは間に合わなかったので、社長が激怒しながら
「お前が直接届けてこい!」。

当時22才だった私は、半ベソをかきながら先輩にチケットの取り方、空港までの行き方、空港のカウンターの場所などを教えてもらって初めて1人で飛行機に乗り、初めて1人で東京を歩きました。

取引先には社長から事前に連絡が入っていたらしく、担当の方が優しく迎えてくださりました。
泣きそうになりながら謝罪すると
「お宅の社長さんが謝罪してくれましたし、 まだ余裕があるから大丈夫です。
 それより、社長さんが 貴方のことを心配していましたよ。
 慣れない東京は大変だったでしょう」と。

「誠意って、こういうコトなんだなぁ。
 器がデカイってこういうコトなんだなぁ」と身にしみた経験でした。

みー (20代・女性・会社員)

●同僚に頼まれ、彼のビッグクライアントの役員との打ち合わせに同行した。
僕たちの会社は都心、クライアントの会社は横浜の中華街近くだった。
夕方ならいつでもOKと言われていたそうだが、先方に着くと、受付の方に役員の帰社時刻が遅くなると告げられた。

腹の減っていた僕らは食事を済ませて出直すことに。
自称グルメである僕は、せっかく中華街に来たのだから‥‥と同僚を説き伏せ、自分の選んだ店で満足のいく食事をしたのだった。

ところが、クライアント先に戻ると役員はかなり前に帰社し、すでに退社したとのこと。
あまりのことにショックを受け、同僚とはそのまま別れたが、考えれば考えるほど自分の行為が悔やまれた。

ひと言も僕を責めなかった同僚に申し訳なく、胸が痛んだ。
翌朝、一番で詫びないと‥‥と思ったが、彼は「立ち寄り」とのこと。

仕方なく、同僚の携帯電話に連絡し、謝ると‥‥
「大丈夫だよ、もう役員にも会って お詫びしたから心配しないで。
 今度はきちんとアポイントをとるから、 また頼むね」と明るい声。

何と、彼は一人で先方の会社に早出し、早朝会議に出る役員を待って挨拶をしてきたというのだ。

真摯な仕事姿勢、責任の取り方、社内外の人とのつきあい方など、この失敗と素晴らしい同僚によって多くのことを学んだと思う。

栗之介 (・男性・会社員)

●20代で勤めていた不動産会社で、アパートの管理を任されていたときのことです。
新しく管理を任されることになったアパートの大家さんと、ことあるごとに意見が合わず、電話口でカッとなってしまいました。

私は悔しくて悔しくてどうしても自分を曲げられず、
「そんなに無理を通したいなら、 他の会社に管理を任せればいい」という内容のことを言ってしまいました。

もちろん、その後すぐに上司にクレームが入り、叱られました。

「大事なお客さまに対して言い過ぎました」と反省の口火を切った私に、
「お前さんの年齢で、言い過ぎた、と 素直に反省できるのはたいしたものだ」と上司は言ってくれました。

上司は私が言い過ぎたことを自ら反省していないようなら、きつく叱るつもりだったようでした。

もちろん厳しいことも言われましたが、その話しぶりから上司が私の普段の仕事ぶりをちゃんとみていてくれたことを知り、胸がいっぱいになりました。

社内で誰も相談に乗ってくれる人がなく、いつも一人で頑張っているような気がしていました。

けれどそれは自分がそう思いこんで、勝手に壁を作っていたんだなとそのとき初めて気が付きました。

決して褒められたことではないけれど、自分の意見を本気で主張しお客さまとぶつかったこと、上司にきつく叱られたこと、そして上司の優しさを知ったこと、自分の思いこみの壁を知ったこと、すべてが、本当に貴重な体験でした。

こづ豆 (30代・女性・)


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