[黒柳]
あるとき、古式泳法をやってる人にお会いする機会があったので、
「わたし、こういう水中ヨガのようなことが できるんですけど」
と言ってみたんです。そうしたら、
「それは古式泳法にも、昔ありましたが、 あんまり難しいから、 その項目はなくなったんです」
と言われました。

[糸井]
おお! そうなんですか。

[黒柳]
古式泳法って、立ち泳ぎしながら矢を射ったり、お習字したりするのが、すごいと思うでしょ?
それより、わたしの水中ヨガのほうがすごいんですって。
だけど、難しいからと改定されて、いま、古式泳法のもっとも難しい項目は、扇子を両足の指のあいだに1個ずつはさんで、両手に1個ずつ持って、水の中で足を組んで、一回くるんとまわること。

[一同]
‥‥‥。

[黒柳]
床の上でできることですから、別にわたしにとっちゃ、なんでもないことですよ。
水中で足をくるんと、やるだけだから。

[一同]
(笑)

[黒柳]
その古式泳法の人がね、水中ヨガのことをこう言うんです。
「わたしの先生は生涯に一度、 骨がバラバラのような、痩せた老人が それをやるのを見たそうです」
古式泳法の先生が、一生涯に一度ですよ?
「だったら、わたしがやってあげますよ、 わたしは骨がバラバラじゃないけどね」
って、だけど、そのくらいできないもんなんですって。

[糸井]
‥‥ほんとに、なんなんだろう、それは!



[黒柳]
ほんと、おかしいでしょ。
だからといって、なんにもならないの。
もしも船が沈んだりしたときには、つまり、タイタニック号がなんかのときには、いいかもしれないけど。

[糸井]
ずーっと、ヨガのポーズをして浮いて生きてる人が‥‥。

[黒柳]
でも、人を助けようと思ったら、重いだろうから、私には、できないでしょう。
だから、そういう目にあいたくないな、って思います。

[糸井]
黒柳さん、もしかしたら肺がでかいとか?

[黒柳]
肺はすごく小さいの。



[一同]
(笑)

[黒柳]
恥ずかしいくらいに肺が小さいんです。
「ザ・ベストテン」で、西城秀樹さんだったと思うんですけど、肺活量が6000あるということで、番組に看護師さんがいらっしゃったことがありました。
そのとき、みんなの肺活量を調べたんですよ。
みんなで順番に肺活量を測定していって、久米さんが
「黒柳さんお願いします」って言うから、試してみたら、看護師さんが、
「なんだか機械が壊れちゃったみたい。
 いくらなんでも1000ちょっとってことは、 ないと思いますから。
 普通の女の人の半分くらいしかないのは、 ちょっとおかしいと思います」
って。

[糸井]
ほう。

[黒柳]
でも、ほかの人が試してみたら、なんでもなくて、機械は壊れてなかったんです。
要するに、わたしは女の人の半分くらいしか肺活量がない、そういうことがわかりました。
なのにどうしてこんなにたくさんしゃべれるかといえば、これは、息つぎが上手だからです。

[糸井]
ははははははは。

[観客]
(笑&拍手)



[黒柳]
わたしは、人がここで息をするだろう、っていうときに、してないの。
吸ったり吐いたりが自由なの。

[一同]
(爆笑)

[黒柳]
ほら、いま、ね?
いま、このときに細かく吸ってるの。だから、歌も、長くのばすのは得意じゃないんです。
みんなは、♪あーーーーーーーーー
っていくのに、わたしは、♪あー‥‥って、息が切れちゃうから、不思議だな、発声が悪いのかな、と思ってたんだけど、フッ(笑)、もともと肺が、ちっちゃかったんです。

[糸井]
その‥‥ときどき、自分でおっしゃったことに自分でフッと笑ってるときは、もしかして、息つぎですか。

[黒柳]
そうだと思う。



[一同]
(笑)

[糸井]
とにかく、小出しは得意なんですね。

[黒柳]
わたしの芸は、フッ(笑)、小出しだわ、地味だわ。

[糸井]
敏捷だわ。
‥‥いやぁ、骨密度が高いというところからどこまでも行きましたね。

[黒柳]
今日って、そういう話じゃなかったんでしたっけ。
なんだかきっと、ちがうことだったわね。

[糸井]
いや、こんなことを二度と聞けないと思うから‥‥黒柳さんについて、こんなに具体的に黒柳さんから聞いたのは、ぼくは、はじめてです。

[黒柳]
こういうお話は、そうね、あんまりしてないですもん。

[糸井]
黒柳さんも、ぼくもそうですけど、いつもは人の話ばかり聞いてます。
黒柳さんはたくさんしゃべる人だとみんな思っているけども、普段はしゃべる機会って、そんなにないでしょう。
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