[糸井]
「たまねぎ」はご自分で考えたんですか?

[黒柳]
ニューヨークにいるときに、須賀勇介さんという、有名なヘアドレッサーの方に考えていただきました。

[糸井]
須賀勇介さん、草分け的存在ですよね。



[黒柳]
ええ、お友達でした。
ジャクリーン・ケネディとか、グレース・ケリーとか、そのほかたくさん偉大なスターの頭を担当されていた方です。
ニューヨークでは、わりとわたし、振袖を着る機会が多かったんですよ。
振袖着てると、パーティーでかわいがってもらえましたからね。
最初はおかっぱにしてたんですけど、須賀さんと、こんなのどうだろう、と言って最終的にできあがった頭が「たまねぎ」なんです。
「たまねぎ」と言ったのは、久米宏さんですよ、「ザ・ベストテン」で。
それ以来、わたしはテレビにもずーっとあの頭で出てるから誰も頭に‥‥フッ(笑)、不信を抱かないと、思ってたんですよ。

[糸井]
はい。

[黒柳]
先日、12歳のジャニーズJr.の森本慎太郎くん、スノープリンスが
「徹子の部屋」にいらっしゃいましてね。

[糸井]
はい。

[黒柳]
その子はわたしのことを知りませんでした。
ある日、インフルエンザで学級閉鎖になってお休みになったので、テレビで
「徹子の部屋」を見たそうです。
そこで「うわ、きのこみたいな頭!」
と思ったんだって。
はじめて見るとびっくりする頭なんでしょうね。

[糸井]
そうかそうか、ぼくらは当然のように見てるけど。

[黒柳]
森本慎太郎くんは、お母さんから
「この人はね、頭の中に、アメとか いろんなもの入れて持ってるんだよ」
って、聞いたらしいんです。



[糸井]
ははははは。

[黒柳]
「お母さんがそんなことを言うから びっくりしました」
と言うので、
「そうですか」って、そのときたまたまアメ入れてましたから、ふたつほど出しました。
「ありがとうございます!」
と、すっごく驚いてらっしゃいました。

[糸井]
‥‥いい仕事しましたねぇ。

[黒柳]
その少し前に青山テルマさんもいらっしゃってね。

[糸井]
はい。

[黒柳]
「あの、訊いていいでしょうか?」
とおっしゃるんです。
「なんですか」
「黒柳さん、頭の中から アメが出てくるってほんとですか?」
まぁそのときも、たまたま頭に入れてたもんで。

[観客]
(笑)



[黒柳]
ものすごく驚いてものすごくよろこんでいただきました。

[糸井]
すごいなぁ。

[黒柳]
もともと、
「ザ・ベストテン」の放送中に頭からアメを出したことがあるんです。
久米さんが
「あなた、その頭の中に何か入れてるんですか」
とおっしゃるから、
「入れてますよ」って、アメとかおせんべいとかいっぱい出したんですよ。
それをごらんになった方たちが、いまお母さんの世代になってるんですね。
だから、子どもたちが
「ちょっと訊いていいですか」
と言うわけです。楽しいわよね。
いま、すごくおもしろこと考えてんですけどね。

[糸井]
はい。

[黒柳]
例えば、糸井さんがゲストだとしたら。

[糸井]
はい。

[黒柳]
あなたの携帯電話を前もって借ります。
携帯ぐらい入るでしょ、この頭の中に。

[糸井]
(笑)なるほど、なるほど。

[黒柳]
そして、本番中にリーンと電話が鳴って、わたしはそれを頭から出して、
「あなたこれ、お電話ですよ」



[糸井]
はははははは。

[黒柳]
これは我ながらおもしろいアイディアだと思ってるんですけどね。

[糸井]
いいですねぇ。

[黒柳]
ただ、これは、そういうことをしても大丈夫な相手のときでないとだめね。
「いえいえ、そんな、 電話かかってくるはずないですから!」
なんてことになると困るので、そういう怪しげなことのない人のときにやりたいです。
そうそう、こども店長の加藤清史郎くんが来たときも、頭からアメを出しました。
「頭のなかにアメ入ってますか?」
「うーん、どうかな、今日」
まぁ、そのときも入ってましたから。

[観客]
(笑)

[黒柳]
そしたら、こども店長もものすごく驚いてました。
妹さんがいること、知ってたから
「妹さんにもあげて」って、ふたつ渡したら、固まっちゃったの。



[糸井]
そりゃ驚きますよ(笑)。

[黒柳]
あとでお母さまが、
「あの子ほんとに驚いたんで、 フリーズしちゃって 失礼しました」
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