[糸井]
「夜会」で観念的なところ、例えば、時間の継ぎ目の話とかが出てきたときに、この人はいったい、いつ、そういうことを考えてるんだろう?
って思うんです。
[中島]
ははは。
[糸井]
観ながら、そのことについて深く考えちゃったりします。
[中島]
あらまあ。
もしかしてあの「夜会」のお客さまはみんなそうやって考えちゃってて、芝居全然見てないのかしらね。
[糸井]
かもしれない。
で、歌の場面になって安心してたりして。
[中島]
あははは。実は歌の歌詞のところにポイントがあるのに、全然聞いちゃいねぇわ状態だったりして。
[糸井]
あやしいね。
[中島]
ね。
[糸井]
あやしい、あやしい。
[中島]
「ストーリーがちょっとよくわからなかった」
っていう声があったりして、
「え? どこが? あれは歌詞で 答えを言ってたじゃない〜」と。
「あ、そうだったのー!」
「何見てたのよー?」(笑)って。
[糸井]
そういうこと、あると思う。
[中島]
ね。
[糸井]
あのね、自分のことや、あれこれ考えちゃうんですよ。
結局何かを見てるつもりで、見てないんだね、きっと。人って。
[中島]
あ、なるほど。そりゃそうだわね。うん。
[糸井]
で、実はぼくもそういうことしてるんですよ。
「夜会」に行ってるときって自分のこと考えてる時間がものすごく長い。
[中島]
それはある意味、ありがたいことですけれどもね。
[糸井]
そういうことはあまりないですから、すごいことだと思います。
すーっと食い入るようにその世界に連れてかれちゃうってのもあって。
[中島]
うんうん。
[糸井]
それは、恋というか結婚みたいなもんでさ。
あの舞台だと、一緒に、こう、暮らしてるみたいな。
[中島]
あははは。なるほどね。
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