[ほぼ日]
しょっちゅう観にいけるようでないと大向うの会には入れないとうかがいましたが、堀越さんはどのくらい行かれてるんですか?

[堀越]
えー、年に120回くらい。

[ほぼ日]
ひゃ、120回ですか!
お仕事のほうは大丈夫なんでしょうか。
職場での理解というか、そういうのは‥‥?

[堀越]
基本的に平日は仕事が終ってから行くので問題はないんです。
仕事が終わって飛んで行けば、歌舞伎座に6時半くらいに着けます。
それと、会社は水曜と金曜が、ノー残業デーになってまして、そうすると6時くらいに歌舞伎座に入れる。
残り2〜3時間は観られるわけですよね。
それをカウントしての、年120なんです。
つまり月に10回ですね。



[ほぼ日]
すごい‥‥。
何度か観にいった歌舞伎で、掛け声がかからなかったことがないのは、それだけ通っているかたがいるからなんですね。
やはり穴をあけないように、会員さん同士でシフトを組んだりしてるのでしょうか?

[堀越]
いやいや、それはないです。

[ほぼ日]
でも、かならず声は掛かってますよね?

[堀越]
会の者だけじゃなく、一般のかたも声は掛けますから。

[ほぼ日]
あ、フリーのかたが。

[堀越]
とはいえ、声がないときもありますよ。
ですから会からもたまたま人が行かなくて、声がすくなかったときなんかは、翌日とかに劇場の方から
「昨日はいなかったよ」と(笑)。

[ほぼ日]
連絡が入る(笑)。

[堀越]
そうですね。

[ほぼ日]
何ですか、人から聞いた知識なんですけど、掛け声がないと進行しないような歌舞伎の演目もあるそうで。

[堀越]
それは『お祭』だと思います。
掛け声があったほうがぜったいにいいのは、その演目ですね。舞踊なんですよ。
まあ前半に踊って、ちょいとこう、スッと決まったところで、
「まってましたっ!」と掛けると、
「何だ、まっていた?
 待っていたとはありがてぇ!」
つって、舞台が続くんです。



[ほぼ日]
おおーー!(拍手)

[堀越]
ですから「まってました」がないと、舞台の人はずっと待たなきゃならない(笑)。

[ほぼ日]
そうなりますよね(笑)。

[堀越]
この演目のときは役者さんからも、
「来月は『お祭』だからよろしく頼むよ」
って各会にお声がかかることがあるんです。
そういう、声が掛からないとやっぱり盛り上がらないお芝居の場合は、
「じゃあここは穴があかないよう みんなでスケジュールを調整しよう」
っていうふうに配慮はしますよね。
たとえば『忠臣蔵』だったら、大序(だいじょ)って幕開きに声が掛からないのはありえないんですよ。
11月にはたくさんの劇場‥‥演舞場と国立と歌舞伎座でやってますので、歌舞伎座で「大序」をやった後に、タクシーに飛び乗って国立劇場に行って、ということをやったりね。

[ほぼ日]
タクシーで! 劇場から劇場へ!
たいへんですね。

[堀越]
1月なんかもそうです。
演舞場、浅草、国立、歌舞伎座とやってるので、歌舞伎座にまず入って、この掛け声をやったら浅草へ行って、浅草から今度は演舞場にまわってとか。

[ほぼ日]
堀越さんも、それをやられている。

[堀越]
ええ。
ちょっと倒れそうになります。

[ほぼ日]
それはそうでしょう(笑)。

[堀越]
そういうときは、浅草でちょっと甘いお菓子とかを買って、エネルギーにしながらね(笑)。

[ほぼ日]
そうですかあ‥‥。
あの、すみません、立ち入ったことですが、ご結婚は‥‥?

[堀越]
してます。

[ほぼ日]
なさってる。
家族のご理解は‥‥?

[堀越]
家族のご理解は、一応いたいだいております(笑)。

[ほぼ日]
お子さんは‥‥?

[堀越]
チビがおります。
4歳と2歳。

[ほぼ日]
ああ、たいへんな時期ですよね‥‥?

[堀越]
子どもからは
「今日も歌舞伎?」と(笑)。

[ほぼ日]
言われますか。

[堀越]
そういうときはちょっとごまかして、松竹さんのお仕事だからねって(笑)。



[ほぼ日]
そうですか(笑)。
奥様とごいっしょに観に行かれたりは?

[堀越]
子どもが生まれるまでは毎月かならずいっしょに行く日をつくってたんです。

[ほぼ日]
あ、じゃあ奥様も、もともとお好きで。

[堀越]
というか、ぼくが好きにさせちゃったんです。

[ほぼ日]
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