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[糸井]
いやぁ、ほんとに、うかがっているとお話がおもしろくてしょうがないんですけど、すべての野球選手が田口さんのように自分がやっていることをきちんとことばにできてるわけじゃないですよね。



[田口]
いや、どうでしょう。
ぼくはぼくなりの理論というか野球の考え方を持ってるんで、それが、いま、いちおうまとまりつつあるんです。
ですから、しゃべれるというか、まぁ、もう1回しゃべったらことばは変わるかもしれませんけど、だいたい同じようなことが言えるようになってきたんですね。

[糸井]
つまり、大学生のときの田口さんに訊いても、こうはいかないわけですね。

[田口]
いかないでしょうね。

[糸井]
やっぱり、ずーっとやってきたことがひとつひとつ積み重なって、ようやく1冊のアルバムのようになっているというようなものですね。

[田口]
そうですね。
続けてやっているから、少しずつまとまって、ちゃんと整理できてきていて。
そういうのはありますね。

[糸井]
いまは、まとまってきたことがやっていることにも作用するからおもしろい時期なんじゃないですか。

[田口]
はい。
もう、どんどんどんどん野球がおもしろくなっていくんです。



[糸井]
はぁ‥‥たまりませんね。

[田口]
はい(笑)。

[糸井]
いや、変な言い方ですけど、うらやましいってつくづく思います。

[田口]
ありがとうございます。

[糸井]
自分のやってきたこの意味が少しずつわかってきて、ときにはいろんな理屈を跳び越えるようなホームランも打って。

[田口]
本当に、「ときには」ですけど(笑)。

[糸井]
いや、でも、ほんとうに、
「ホームランは飛び上がるほどうれしい」
っていう話もないとダメだと思うんですよ。
それなしに、全部を理解できてても、おもしろくないと思うんです。

[田口]
ああ、そうですね。

[糸井]
だから、いまの田口さんがしゃべる話っていうのは、ほんとにおもしろいんですよねぇ。
田口さん、あと何年ぐらいやれそうですか。



[田口]
どうなんでしょうね。
体の続く限りいきたいんですけど‥‥。
まぁ、商品として買ってもらえるまで。
体力的には、どうですかね、5年ぐらいはできるかなと思ったりもするんですがやっぱり、野手ですからね、投手よりも選手寿命は短いと思います。
最低でもあと2年はやりたいなと思ってますね。
だから、40歳まで。

[糸井]
2年。それは短いですねぇ。

[田口]
そうですね。
で、2年やれたら、そこから1年ずつ、延びていけばいいかなと。

[糸井]
サドンデスに入るわけですね(笑)。

[田口]
はい(笑)。

[糸井]
日本でやるつもりはもうないんですよね。

[田口]
ないですね、いまのところは。

[糸井]
いや、いま話を聞いてても、もっとそこにいたいって気分が伝わってきますもんね。

[田口]
そうですね。
もうちょっとやっぱり勉強したいというか、違う世界も見ないといけないかなと思ったり。

[糸井]
で、たとえ引退しても、野球界にかかわっていたいって気持ちは?

[田口]
ありますね。
というよりも、野球界から離れると、おそらくなんの仕事もできないんで。
やっぱり野球で育って野球でお仕事いただいてるんで、やっぱり野球に返すっていうのがいちばんいいかなとは思ってます。
その機会を与えてもらえるようにがんばらないといけないのかなと思うんですけど。



[糸井]
やっぱり、ずっと関わっていたいと思えるほど、おもしろい仕事なんですね、野球って。

[田口]
うん。深いですね。



[糸井]
いや、どうもありがとうございました。
ぼくらはたいへん楽しかったです。
野球がまたおもしろくなりますし、野球以外でも参考になるような話をたくさんうかがえました。

[田口]
いいえ、とんでもないです。
いや、ぼくも、楽しかったです。

[糸井]
あと、こうやってお会いすると、あらためて応援したくなる気持ちが増えますからね。
やっぱり、応援したくなる人が増えるのって、観てる側からすると、すごくうれしいから。

[田口]
ありがとうございます。

[糸井]
だから、がんばってください(笑)。

[田口]
はい(笑)。



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