[糸井]
(窓の外を見ながら)おお、見てよ。
ライダーたちが、東北道を行くよ。

[南]
おおー、たくさんいるね、『イージー・ライダー』風の人たちが。

[糸井]
そういう趣味の人たちだね。

[南]
ああいう、うしろにふんぞり返って、長ーいハンドルを高い位置で持つスタイルは『イージー・ライダー』で認知されたよね。

[糸井]
そうかもしれない。
いまも、けっこう見かけるよね。

[南]
あの姿勢、疲れるんじゃないかと思ったら、けっこう、ラクなんだってね。



[糸井]
あ、そうなんだ。

[南]
うん。人間の姿勢として、正しいらしい。
こんなふうに、前屈みになってバイクにしがみついてるよりも。

[糸井]
へぇ。

[南]
漢方の先生が言ってたよ。

[糸井]
「イージー・ライダーは体にいいんです」
って言ってた?

[南]
体にいいっていうか、リラックスできるポーズなんだって。
なんとかいうポーズなんだよ。なんていったかな。 セイタイイ、かなんか。

[糸井]
セイジョウイ。

[南]
セイジョウイは違う。



[糸井]
ともかく、イージー・ライダーはいいと。

[南]
いいらしいよ。
あの、「オバケだぞー」みたいな形は。
リラックスするらしい。

[糸井]
それでオバケもあの姿勢なんだね。

[南]
なんかね、焼死体とかね、どざえもんとかも、結果的に、ああいう格好になるらしい。

[糸井]
オバケも死体もリラックス。



[南]
うん。
オバケも死体もイージー・ライダーも、理にかなってる。

(こういう話が、つづきます)

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