[糸井]
うーん、なるほど、なるほど。
いや、だいぶ、場もあったまってきましたから、そろそろ、行っちゃいましょうかね。
えー、本日、お集まりいただいた理由は‥‥。
[三谷]
いまからですか。
[重岡]
いまからですか。
[一同]
(笑)
[糸井]
えー、このたび、三谷さんが『わが家の歴史』という、3夜連続、合計8時間にわたるドラマの脚本を手がけられまして、これが、まぁ、プロットとキャスティングを見るだけでもそうとうわくわくさせられるもので。
[三谷]
ありがとうございます。
[重岡]
ありがとうございます。
[糸井]
それを一足はやく、鑑賞させていただけるということでぜひ、と手をあげたわけです。
[三谷]
まだ、音楽や合成カットが未完成なものですが、いちおう、現時点で、関係者以外で観たのは、世界で糸井さんだけですよね。
[糸井]
え?
[重岡]
そうですね。
[糸井]
最初のひとりでしたか‥‥。
[三谷]
ですから、とても重要な。
[糸井]
はぁ‥‥。
[重岡]
どうぞ、よろしくお願いします。
[糸井]
いや‥‥それはそれは‥‥。
***************
【『わが家の歴史』とは?】
3夜連続、トータル放映時間8時間。
激動の昭和を生き抜いた架空の一家の物語‥‥というスペックよりも、三谷幸喜さんが書きおろした8時間のホームドラマで、西田敏行さんや佐藤浩市さんや柴咲コウさんや松本潤さんや佐藤隆太さんや堀北真希さんや榮倉奈々さんや長澤まさみさんや大泉洋さんや玉山鉄二さんや鈴木砂羽さんや天海祐希さん、といった、たんに豪華なだけではない、「グッとくるメンツ」がそろっているドラマ。
だってね、あの三谷幸喜さんが、「ぼくがいままで観てきたドラマのわくわくした部分をぜんぶ取り入れました」とまで言ってるんですから、黙ってられません。なんでこんなものすごい企画が突然?と思ったらフジテレビの開局50周年企画だとか。
***************
[三谷]
まだ、スタッフの方たちもご覧になってないんですよね?
[糸井]
まだ、ぼくだけですね。
最後まで観たのは。
[重岡]
最後までご覧に‥‥?
[糸井]
観ました。もちろん。8時間。
いや、もちろん、多少の不安はあったんです。
だって、8時間ですからね。
「仕事です。8時間のドラマを観なさい」
っていわれたら、正直、困ったなって感じると思うんです。
[三谷]
まぁ、そうでしょうね。
[糸井]
たとえばこれが小説だったら、なんていうか、早く読む方法があるというか、急ごうと思ったら急げると思うんですけど、ドラマを観るとなると、8時間のものは、8時間かかりますからね。
[三谷]
うん。
[糸井]
もう時効だろうということで白状すると、かつてぼくは『ネバーエンディングストーリー』という映画を観て感想を書く仕事のときに、どうしても時間の都合をつけられなくて早送りで観たことがあるんです。
時間がないから早く終わらせたくて早送りした映画のタイトルが『ネバーエンディングストーリー』だったというのはたいへん皮肉な話ですが‥‥。
[三谷]
はっはっはっはっ。
[糸井]
それはさておき。
[三谷]
それはさておき。
[糸井]
早送りしたその映画を、ぼくは当時、それほどおもしろがってなかったんですけど、あとで観たらおもしろかったんですよ。
[三谷]
そうそうそう、早回しで観ると、筋はわかっても必ずつまらなくなりますよね。
[糸井]
絶対、つまんないですよね。
なんでなんですかね。
[三谷]
なんでなんですかね。
それも、さておきましょうかね。
[糸井]
さておきましょう、さておきましょう。
ま、そういうことを経験したので、以来、ぼくは、早送りで映画を観るという失礼なことは二度としないんです。
[三谷]
つまり、8時間のドラマを8時間かけて観ました、と。
[糸井]
そのとおりです。
まぁ、CM部分のなにも入ってないところは、さすがに早送りしましたけど‥‥。
[三谷]
あ。それ、やっちゃったんですか?
[糸井]
はい‥‥‥‥えっ?
[一同]
(笑)
[三谷]
あのCMの時間が大事なんですよ。
[一同]
(爆笑)
[糸井]
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