2012年2月17日の「今日のダーリン」より
・いよいよ、『気仙沼さんま寄席』のチケット発売です。ぼくらの生活圏の東京でイベントをやるのと、それなりに遠い気仙沼でやるのとでは、ほんとうにもう、勝手がちがいます。メールや電話という文明の利器はありますが、急所急所では、現地での打ち合せや下見が必要です。東京から日帰りするには、早朝の出発で夜中の帰りです。複数の予定をこなすためには、宿泊が必要です。‥‥ということは、打ち合せでの「距離感」は、落語会にきていただく観客席の方々にも、そういうことをしてもらうということになります。
1000人の方々に、この距離を超えてもらう。こりゃ、なかなか簡単なことではなさそうです。
しかも気仙沼は、まだ、失われたものは戻っていません。鉄道のある部分の線路は錆びついているし、地盤沈下して冠水した地域は、まだ水びたしです。いっしょにこの落語会の準備をしている人たちも、家のなかでダウンを着ていたりしてて、それを笑いのタネにしてたりもしているんですけどね。
つまり、「御立派な観光地」として、たくさんのお客さまを迎え入れるなんてことは、ほんとうは、かなりむつかしいことなんです。ホテルの壁にひびが入っていたりしても、驚かないような人じゃないと、文句を言いたくなるかもしれません。おそらく不備なことは、かなりあると予想してます。
それでも、「気仙沼に来てください」なんです。志の輔さんたちの落語を楽しむということで、観光バスがやってきてくれる。いつもの道を、工事の人やボランティアの人じゃなく、「遊びにきてくれた人」が歩いている。「落語、よかったねぇ」「さんま、買えるねぇ」なんて、楽しい会話が、町のあちこちで聞こえる。そんな日がくるなんてどれほどうれしいことでしょうか。実現するのかなぁ、集まってくれるかなぁ‥‥と、心配しながら励ましあいながら、今日を迎えました。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。その日、気仙沼に来てくれるのも、たのしみにしています。
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