──

まだ校正刷りの段階ですが、
色の出具合など、いかがでしょうか？

前田

あぁ、なるほど、どれどれ。
ちょっとじっくり見てみますね。

──

実際のトランプには、
これにラミネートがかかりますので、
色はもうすこし締まると思います。

前田

なるほど、なるほど、
特色グレーを使ってるんですね。
うん、うん、ステキです！
事前にデータは見ていましたが、
こうやって眺めるとまたいいですね。
こんなトランプ見たことない（笑）。

──

はい（笑）。
いろんなところに、
おさるがかくれています。

前田

おさるの入っている札には、
何か法則性のようなものがあるんですか？

──

おさるの配置は、
社内のデザイナーが担当したのですが、
何かのゲームをしたときに
「おさるがそろうとうれしいね」
という話になったんです。
それで「７並べ」を思い出したので、
７の札にはおさるを入れています。

ただ、それ以外はあまり法則性はなく、
逆にそろえすぎないようにしました。

前田

「そろえすぎない」のは、
結果的によかったと思います。
おさるの分量もちょうどいいですね。

──

今回のトランプは、
前田さんが愛用されている
「タリホー サークルバック」をベースに、
前田知洋さんとのコラボ商品として
特別につくらせていただきました。
なので、ジョーカーは、
前田さんの衣装を着たおさるなんです。

前田

ありがとうございます（笑）。
今日もこれと同じスーツを着て来ました。

──

前田さんといえば、
やっぱりスーツのイメージですよね。

前田

マジックをはじめたころは、
「そんな地味な格好じゃ売れない」と、
先輩たちによくいわれました。
当時のマジシャンは、
もっと派手な服の方が多かったので。

──

なぜ前田さんは、スーツを着ようと？

前田

ぼくはスーツとトランプって、
すごく相性のいい
組み合わせだと思っています。
ぼくとしては、
スーツ姿に誇りを持っているので、
こうしてちゃんとスーツ姿にしてくださって、
ほんとにうれしいです。
顔はおさるになってしまいましたが（笑）。

──

あ、いや、すみません‥‥。

前田

うそうそ、冗談です（笑）。
すごく気にいりました。

──

ありがとうございます。
このトランプは、
今度の「生活のたのしみ展」で
「前田知洋トランプ おさる増量バージョン」
として販売いたします。
すでに社内からも「ほしい！」という声を、
たくさんいただいているんです。

前田

それはうれしいですね。
これをきっかけにトランプの良さを、
みんなにもっと知ってほしいですね。

──

ぼくも久しぶりに
トランプに触れましたが、
あらためて
「トランプっていいな」と思いました。
手に持った感触や、
みんなでテーブルを囲む感じが、
すごく新鮮でした。

前田

いまの「ゲーム」って、
ほとんどが「デジタルゲーム」ですよね。
スマホやゲーム機もそうですが、
１人で遊ぶゲームがどんどん増えています。
友だちと対戦するときも、
離れた場所でオンラインですからね。

そんな時代だからこそ、
手で触れられたり、
集まって遊ぶというのは、
すごく大切なことのような気がします。

──

トランプって、
相手の表情や手札を読みあったり、
かけひきのおもしろさがありますよね。

前田

トランプでゲームをすると、
相手の本性というか、人間性みたいなものも、
けっこう見えてきますよね。

すごく怖そうに見えるけど、
本当はすごく紳士的だったり。
逆に、美人でステキな感じの人でも、
底意地の悪さが見えたり（笑）。

──

なんとなくわかります（笑）。

前田

それがダメってわけじゃないんです。
そういう五感を使うことが、
アナログゲームならではの
おもしろさだと思います。

──

この「おさるトランプ」をきっかけに、
トランプで遊ぶ人が
増えたらうれしいですね。

前田

ほんとにそう思います。
このトランプで遊ぶときだけの
「特別ルール」をつくっても
おもしろいかもしれませんね。

──

あ、それ、いいですね！

前田

例えば、「大富豪」をするときに
「おさるが回転している絵は、
リバースカードになる」とか、
「おさるが寝てる絵は、
１回休みになる」とかね。

そうやってルールや難易度を、
自分たちで好きに変えられるところも、
トランプの良さなんだと思います。

（つづきます）

2018-05-31-WED