「気仙沼まわし」作りは、
斉吉商店のばっぱから受け取った帯芯で
「KESENNUMA」の文字を作ることからはじめました。
津波で濡れてしまったというその帯には家紋が織り込まれていて、
色移りした芯地にはうっすらと家紋が見えました。
先代から伝わってきたものの多くを失った中、
手元に残ってくれたこの帯がどんなにありがたいものなのか。
芯地さえもきれいに洗濯して大切に保管されていたことに、
ひとつの想いを感じました。
そして、祈りの象徴である大漁旗と、暮らしを支える漁業の道具たち。
漁具やさんにずらりと並ぶ色と素材感。
まちの手芸店とはまったくちがう「甘くなさ」にシビレました。
先日の「素材集めの旅」では、短い時間でしたが、
たくさんの方に出会わせてもらったおかげで、
「素材」だけではないたくさんのものを持ち帰ることができました。
気仙沼に行って感じたことのひとつが、
会う人会う人がありがとうのきもちを伝えてくださることでした。
震災から8年、漁師町特有の
「となりには負けたくないぞ気質」だったというみなさんは
助け合うことで共有できることを増やしていき、
それが共に前に進む大きな力につながっているそうです。
ほぼ日がその手助けを買って出てくれたこと、
その勇気に対して心から感謝をされていることを感じました。
今回、そんな「気仙沼のほぼ日」のおひらきにあたり、
sunuiとして関われるかたち。それはなんだろうと考えた末、
出来たのがこの「気仙沼まわし」です。
人の縁をつなぐ、明るい船出に!
感謝をこめて掲げる大きな旗を作りました。
「旗なのに、なぜまわし?」と思われると思いますが、
sunuiのカンカンバッチよろしく、
身につけるという特別な楽しみ方が笑顔を生んで
人と人とをつないでくれるきっかけになったらと思っています。
気仙沼のこれからの「あやいい」日々を祈って、奉納いたします。
素材は斉吉商店のばっぱから受け取った帯の芯地。
よく見ると「A」の部分に
帯地に織り込まれた家紋の色移りが見えます。
素材は津波で色がにじんだ大漁旗。
黄色い部分は、おめでたい柄である「のしあわび」の図案。
ちなみに気仙沼では、大漁旗のことを
福が来る旗と書いて「フライキ」ともいうらしい。
素材はつなかんの一代さんから受け取ったひときわ大きな大漁旗。
向かって左はベースと同じ大漁旗を使っています。
大漁旗は、ひと目でわかるように、家ごとに色が決まっているそうです。
つかった素材は漁具屋で見つけたビーズ。
まちの手芸店では見つからない甘くない色とサイズ感。
漁具なので、もともと「目立つ」という機能が!
漁具屋で見つけたロープをつかっています。
見た瞬間「これはほぐすとかわいい」と
低い声で言い合ったわたしたち。
その目に狂いはありませんでした。
漁具屋でロープが入っていたガラ袋をつかってます。
見つけた瞬間、「かわいいー!」と叫ぶと、
まわりの大人たちは不思議顔‥‥。
これも漁具屋で見つけたものです。
養殖をしている海域で、
なにの養殖をしているのかをまわりに伝える為に
ウキにたてておく旗。
sunuiアトリエの革ストックの中から見つけたこのパーツ、
フカヒレにしか見えなかったので迷わず縫い付ける。
縫い付けてみたらカジキの尻尾に見える。どちらでもいい。
ロープをほぐしたものと大漁旗の布、
そして気仙沼ニッティングの毛糸が出会って生まれた
海の漂流物風のもの。