もしも、うちのコが迷子になったら。

ほぼ日刊イトイ新聞

第2回迷子チラシの効果。

──
今回の捜索には、
LINEグループと、ツイッターと、
ドコノコの迷子掲示板を
それぞれ活用なさっていたんですよね。
村岡
そうですね。
あと、チラシを配りました。
──
チラシはどなたが作られたんですか?
村岡
2種類あって、
最初は私が切羽詰まって手書きで作りました。
だけど、失敗でしたね。
2枚の写真を載せたんですけど、
花子の毛の色味が微妙に違う写真だったので、
「2匹ですか?」と訊かれたり、
そもそも名前を書くのも忘れていたので、
「名前はなんですか?」と訊かれたり‥‥。
やっぱりすごく慌てていたので。
──
たしかに、とっさに作れないですよね。
村岡
もう1種類は、
お芝居のパンフレットやチラシを
作っているプロの方が、
花子が迷子になったと知って、
「こういうものを作ったから、
もし必要だったら使って」と言って、
作ってくださったんです。
手書きのチラシが尽きたころに、
「あ、そうだ。作ってくれてた!」と思って、
そのデータをみんなに送って、
コンビニでプリントアウトしてもらって、
どんどん配ってもらいました。
動物愛護相談センターや、
家のそばの動物病院、カットサロンなど、
いつも行っているところにも配って。
やっぱり、チラシを手に取ってもらうというのが、
一番効果が大きいと聞きましたし、
実際にそうでしたね。
▲実際に配られたチラシ。
──
警察への届けは出されましたか?
村岡
いなくなった当日に
家の近くの警察に届けを出しました。
仙川での目撃情報が出てからは、
仙川の交番と調布警察署にも連絡して。
「管轄が違うから、
移動先の警察にも連絡したほうがいい」
というのを前に聞いていたので
連絡したんですけど、
今は、1回届けたら情報が共有されていて、
どこからでも見られるそうです。
マネージャーさん
私も実際、甲州街道側の交番を
1軒1軒回ったんですけど、
もうどの交番でも、
「茶色の犬でしょう?」ということを
知ってくださっていて。
──
それはありがたいですね。
それにしても、
やっぱり事故の危険もありますし、
見つかるまで不安だったと思います。
これは聞きづらいことなんですけど、
清掃局への連絡については
どうお考えでしたか?
村岡
連絡したほうがいいと
言われていたんですけど、
やっぱりなかなか連絡できなくて、
自分の中のタイムリミットまでに
見つからなかったら、
連絡してみようと思っていました。
花子が見つかった時点では
まだしてなかったです。
──
なかなかしたくないものですよね。
それに、目撃情報も入っていましたし。
村岡
そうですね。いなくなった日も、
交通量が多い道路の近くに住んでいるので、
ずっと悪い想像ばかりしてしまって‥‥。
翌日に仙川で見たという目撃情報があって、
「あぁ、よかった」って、
無事なことがまずは確認できたので、
本当にほっとしました。
──
チラシの話に戻るんですけど、
連絡先のところは、
電話番号を書かれました?
村岡
そこはやっぱり迷いました。
私、最初は全部のチラシに
電話番号を載せても全然いいと思ってたんです。
だけど、やっぱり、
「ネットに載せるチラシは
ツイッターのアカウントにしたらどう?」と
友達がアドバイスしてくれたので、
そのとおりにして、
手で配るチラシにだけ電話番号を載せました。
なにせ本人はパニックになっているから
気付かないことがたくさんあって、
友人たちからのアドバイスに助けられました。
──
個人の電話番号を載せたことで
いたずら電話がかかってくるとか
何かトラブルがおきるとかって、
ないと信じたいですけど、
ゼロとは言い切れないですもんね。
でも、ツイッターアカウントだと、
ツイッターをやっていない方が
チラシを見たときには連絡できないですし。
そうすると電話番号が
ベストかと思うんですけど、
なかなかふんぎれない人も多くて、
時期を逃してしまうこともあるみたいです。
村岡
わかります。
あくまで私の場合はですけど、
やっぱり番号を載せてよかったです。
というのも、
日曜に昼公演をやっている最中に
2件、電話がかかってきたんです。
仙川近辺にいる方からだったんですけど、
チラシを手にされて、
「たった今見ました。
いなげやという店から
お墓のほうに走って行きました!」って。
で、ほぼ同時にまた別の方から、
「今、見ました!」という電話がかかってきて。
それで、私が本番終わって駆けつけるまでに、
友人たちがその該当地域に行って
周囲を囲んでくれていて、
それが最終的に花子を見つける
きっかけになったんです。
──
チラシの効果が大きかったんですね。
そこに電話番号を書いていたこともよかった。
ご友人の協力も頼もしいですね。
村岡
最初に花子を見かけた友人が、
「私が捕まえようとしちゃったから
逃げちゃったんだ」
と言っていて、そういう情報も、
チームの中で共有してくれていたんです。
だから、もし花子を見かけても、
絶対追いかけないで、みんなでそのまわりを囲んで、
村岡を呼ぼう、
というような作戦を立ててくれていて。
──
ああ、すごい。
村岡
でも、本当に、
ほぼそれに近い形で成功したんです。
「きっとここにいるはずだ」
という場所の周辺を
私がウロウロしていて出会えたので、
その作戦が実った感じでした。
仙川の街を役者仲間が、
「さがしてませんよ、花子のことなんて」
という雰囲気を出しつつ歩いてさがしてくれて。
──
追いかけオーラを出さずに。
村岡
そう、追いかけオーラを出さず、
エキストラのように。
──
さすが役者さんたちですね(笑)。
「もっとこうなっていたら
やりやすかったなぁ」
という部分はありますか?
実際に足でさがしながら、
ドコノコやツイッターを
チェックしなきゃいけないって
大変だっただろうなと思うんですが‥‥。
村岡
私としては、1分でも時間があったら
歩き回って自分の声を出して、
「花子!」って呼びながらさがすほうに
時間を割きたいと思っていました。
だから私が答えるべきお返事も、
ドコノコに入っている別の友人が、
「今こうこう、こういう状況らしいです」
みたいに迷子掲示板に書いてくれていたんです。
そういう意味では、みんなで共有できていて、
私の代わりに返信をやってくれて、
すごく助かりましたね。
──
たしかに。
案外、飼い主さんご自身は
対応ができないんですよね。
すこし前に見かけた
ドコノコの迷子掲示板でも、
飼い主さんはさがすのにいっぱいいっぱいで、
迷子掲示板には
他の方が状況報告をしてくれていました。
飼い主さんに変わって、
情報をとりまとめて
書き込んでくれる人がいると、
それだけでずいぶん違いますね。
村岡
そう思います。
あとはツイッターで
「今見ました」と書き込んでくださるときに、
そこに時間が書いてあるかないかで
ずいぶん違いました。
ツイッターの情報を見て
みんなで仙川に1回集まっていたんですけど、
そのとき別の書き込みがあって、
「あれ、家のほうに戻ってきてるんじゃないか」
と思って、また1回家のほうに戻ったら、
その情報が実は古いものだったとわかって、
友人たちのあいだでも情報が錯綜して。
ツイッターって、
書きこんだ正確な時間がわからないから、
古い情報なのか、新しい情報なのかが
わかりにくいんです。
──
そのうえ、リツイートで時系列が
ぐちゃぐちゃになっちゃうんですよね。
そこの部分をとりまとめてくれる方がいると
助かりますね。
ドコノコをやってるけど
ツイッターはやっていないとか、
その逆もあるから、
そうすると、どちらかの情報が
見られないことになって錯綜しますよね。
村岡
それもありますね。
なので、ツイッターとかで
集まってきた時系列での情報を
ドコノコの迷子掲示板に
まとめて載せられるような形になると
いいのかなと思いました。
今回ツイッターでの情報も
ネガティブなものがまったくなくて、
それがとても良かったです。
SNSも捨てたもんじゃないなと思いましたし、
そして、ドコノコも、
基本は犬と猫とかを
すごく好きな人の集まりなので、
その意味ですごく信頼できました。
──
そもそも犬猫が好きというところで
つながっていますし、
ふだん投稿を通じて写真を見てるから、
「知らない子じゃないし」っていう
感覚があるんでしょうね。
ドコノコの迷子掲示板を見ていると、
猫を飼っている方が
犬の迷子さがしに参加されていたり、
猫の捜索のときに、
犬を飼っている方も結構参加されていて、
そのあたりが分け隔てない感じがします。
村岡
花子のときも、
「家が近いから、ちょっとさがしてみます」とか、
ドコノコの迷子掲示板を見て
実際に動いてくださる方が多くて、
それがとてもありがたかったです。
あんまり惑わせるような情報もなくて、
皆さん書くべきことしか、
書いてない感じで無駄がないというか。

──
たしかに、そうでしたね。
「心配しています」
「頑張ってくださいね」
みたいな励ましのコメントもあるんですけど、
でも、「○○で見かけた」みたいな
具体的な情報が出てくれば出てくるほど、
励ましの言葉がどんどん少なくなっていって、
有益なコメントが埋もれないように
ユーザーさん同士で
配慮してくださってますよね。

(つづきます)

2018-07-05-THU