第2回迷子チラシの効果。
- ──
- 今回の捜索には、
LINEグループと、ツイッターと、
ドコノコの迷子掲示板を
それぞれ活用なさっていたんですよね。
- 村岡
- そうですね。
あと、チラシを配りました。
- ──
- チラシはどなたが作られたんですか?
- 村岡
- 2種類あって、
最初は私が切羽詰まって手書きで作りました。
だけど、失敗でしたね。
2枚の写真を載せたんですけど、
花子の毛の色味が微妙に違う写真だったので、
「2匹ですか?」と訊かれたり、
そもそも名前を書くのも忘れていたので、
「名前はなんですか?」と訊かれたり‥‥。
やっぱりすごく慌てていたので。
- ──
- たしかに、とっさに作れないですよね。
- 村岡
- もう1種類は、
お芝居のパンフレットやチラシを
作っているプロの方が、
花子が迷子になったと知って、
「こういうものを作ったから、
もし必要だったら使って」と言って、
作ってくださったんです。
手書きのチラシが尽きたころに、
「あ、そうだ。作ってくれてた!」と思って、
そのデータをみんなに送って、
コンビニでプリントアウトしてもらって、
どんどん配ってもらいました。
動物愛護相談センターや、
家のそばの動物病院、カットサロンなど、
いつも行っているところにも配って。
やっぱり、チラシを手に取ってもらうというのが、
一番効果が大きいと聞きましたし、
実際にそうでしたね。
- ──
- 警察への届けは出されましたか?
- 村岡
- いなくなった当日に
家の近くの警察に届けを出しました。
仙川での目撃情報が出てからは、
仙川の交番と調布警察署にも連絡して。
「管轄が違うから、
移動先の警察にも連絡したほうがいい」
というのを前に聞いていたので
連絡したんですけど、
今は、1回届けたら情報が共有されていて、
どこからでも見られるそうです。
- マネージャーさん
- 私も実際、甲州街道側の交番を
1軒1軒回ったんですけど、
もうどの交番でも、
「茶色の犬でしょう?」ということを
知ってくださっていて。
- ──
- それはありがたいですね。
それにしても、
やっぱり事故の危険もありますし、
見つかるまで不安だったと思います。
これは聞きづらいことなんですけど、
清掃局への連絡については
どうお考えでしたか?
- 村岡
- 連絡したほうがいいと
言われていたんですけど、
やっぱりなかなか連絡できなくて、
自分の中のタイムリミットまでに
見つからなかったら、
連絡してみようと思っていました。
花子が見つかった時点では
まだしてなかったです。
- ──
- なかなかしたくないものですよね。
それに、目撃情報も入っていましたし。
- 村岡
- そうですね。いなくなった日も、
交通量が多い道路の近くに住んでいるので、
ずっと悪い想像ばかりしてしまって‥‥。
翌日に仙川で見たという目撃情報があって、
「あぁ、よかった」って、
無事なことがまずは確認できたので、
本当にほっとしました。
- ──
- チラシの話に戻るんですけど、
連絡先のところは、
電話番号を書かれました?
- 村岡
- そこはやっぱり迷いました。
私、最初は全部のチラシに
電話番号を載せても全然いいと思ってたんです。
だけど、やっぱり、
「ネットに載せるチラシは
ツイッターのアカウントにしたらどう?」と
友達がアドバイスしてくれたので、
そのとおりにして、
手で配るチラシにだけ電話番号を載せました。
なにせ本人はパニックになっているから
気付かないことがたくさんあって、
友人たちからのアドバイスに助けられました。
- ──
- 個人の電話番号を載せたことで
いたずら電話がかかってくるとか
何かトラブルがおきるとかって、
ないと信じたいですけど、
ゼロとは言い切れないですもんね。
でも、ツイッターアカウントだと、
ツイッターをやっていない方が
チラシを見たときには連絡できないですし。
そうすると電話番号が
ベストかと思うんですけど、
なかなかふんぎれない人も多くて、
時期を逃してしまうこともあるみたいです。
- 村岡
- わかります。
あくまで私の場合はですけど、
やっぱり番号を載せてよかったです。
というのも、
日曜に昼公演をやっている最中に
2件、電話がかかってきたんです。
仙川近辺にいる方からだったんですけど、
チラシを手にされて、
「たった今見ました。
いなげやという店から
お墓のほうに走って行きました!」って。
で、ほぼ同時にまた別の方から、
「今、見ました!」という電話がかかってきて。
それで、私が本番終わって駆けつけるまでに、
友人たちがその該当地域に行って
周囲を囲んでくれていて、
それが最終的に花子を見つける
きっかけになったんです。
- ──
- チラシの効果が大きかったんですね。
そこに電話番号を書いていたこともよかった。
ご友人の協力も頼もしいですね。
- 村岡
- 最初に花子を見かけた友人が、
「私が捕まえようとしちゃったから
逃げちゃったんだ」
と言っていて、そういう情報も、
チームの中で共有してくれていたんです。
だから、もし花子を見かけても、
絶対追いかけないで、みんなでそのまわりを囲んで、
村岡を呼ぼう、
というような作戦を立ててくれていて。
- ──
- ああ、すごい。
- 村岡
- でも、本当に、
ほぼそれに近い形で成功したんです。
「きっとここにいるはずだ」
という場所の周辺を
私がウロウロしていて出会えたので、
その作戦が実った感じでした。
仙川の街を役者仲間が、
「さがしてませんよ、花子のことなんて」
という雰囲気を出しつつ歩いてさがしてくれて。
- ──
- 追いかけオーラを出さずに。
- 村岡
- そう、追いかけオーラを出さず、
エキストラのように。
- ──
- さすが役者さんたちですね(笑)。
「もっとこうなっていたら
やりやすかったなぁ」
という部分はありますか?
実際に足でさがしながら、
ドコノコやツイッターを
チェックしなきゃいけないって
大変だっただろうなと思うんですが‥‥。
- 村岡
- 私としては、1分でも時間があったら
歩き回って自分の声を出して、
「花子!」って呼びながらさがすほうに
時間を割きたいと思っていました。
だから私が答えるべきお返事も、
ドコノコに入っている別の友人が、
「今こうこう、こういう状況らしいです」
みたいに迷子掲示板に書いてくれていたんです。
そういう意味では、みんなで共有できていて、
私の代わりに返信をやってくれて、
すごく助かりましたね。
- ──
- たしかに。
案外、飼い主さんご自身は
対応ができないんですよね。
すこし前に見かけた
ドコノコの迷子掲示板でも、
飼い主さんはさがすのにいっぱいいっぱいで、
迷子掲示板には
他の方が状況報告をしてくれていました。
飼い主さんに変わって、
情報をとりまとめて
書き込んでくれる人がいると、
それだけでずいぶん違いますね。
- 村岡
- そう思います。
あとはツイッターで
「今見ました」と書き込んでくださるときに、
そこに時間が書いてあるかないかで
ずいぶん違いました。
ツイッターの情報を見て
みんなで仙川に1回集まっていたんですけど、
そのとき別の書き込みがあって、
「あれ、家のほうに戻ってきてるんじゃないか」
と思って、また1回家のほうに戻ったら、
その情報が実は古いものだったとわかって、
友人たちのあいだでも情報が錯綜して。
ツイッターって、
書きこんだ正確な時間がわからないから、
古い情報なのか、新しい情報なのかが
わかりにくいんです。
- ──
- そのうえ、リツイートで時系列が
ぐちゃぐちゃになっちゃうんですよね。
そこの部分をとりまとめてくれる方がいると
助かりますね。
ドコノコをやってるけど
ツイッターはやっていないとか、
その逆もあるから、
そうすると、どちらかの情報が
見られないことになって錯綜しますよね。
- 村岡
- それもありますね。
なので、ツイッターとかで
集まってきた時系列での情報を
ドコノコの迷子掲示板に
まとめて載せられるような形になると
いいのかなと思いました。
今回ツイッターでの情報も
ネガティブなものがまったくなくて、
それがとても良かったです。
SNSも捨てたもんじゃないなと思いましたし、
そして、ドコノコも、
基本は犬と猫とかを
すごく好きな人の集まりなので、
その意味ですごく信頼できました。
- ──
- そもそも犬猫が好きというところで
つながっていますし、
ふだん投稿を通じて写真を見てるから、
「知らない子じゃないし」っていう
感覚があるんでしょうね。
ドコノコの迷子掲示板を見ていると、
猫を飼っている方が
犬の迷子さがしに参加されていたり、
猫の捜索のときに、
犬を飼っている方も結構参加されていて、
そのあたりが分け隔てない感じがします。
- 村岡
- 花子のときも、
「家が近いから、ちょっとさがしてみます」とか、
ドコノコの迷子掲示板を見て
実際に動いてくださる方が多くて、
それがとてもありがたかったです。
あんまり惑わせるような情報もなくて、
皆さん書くべきことしか、
書いてない感じで無駄がないというか。

- ──
- たしかに、そうでしたね。
「心配しています」
「頑張ってくださいね」
みたいな励ましのコメントもあるんですけど、
でも、「○○で見かけた」みたいな
具体的な情報が出てくれば出てくるほど、
励ましの言葉がどんどん少なくなっていって、
有益なコメントが埋もれないように
ユーザーさん同士で
配慮してくださってますよね。
(つづきます)
2018-07-05-THU