1.「犬の槇原」が猫を飼う。
- (槇原さんが猫とともに入ってくる)
- ふじた
- ‥‥わっ、連れて来てくださったんですか。
- 槇原
- はい、ドラミといいます。
事務所にはめったに連れて来ないんですけど、
めずらしく捕獲に成功しまして(笑)。
- ふじたタナカ
- かわいい~!
今日はどうぞよろしくおねがいします。
- 槇原
- よろしくおねがいします。
まさかぼくが猫の取材を受けるとは(笑)。
- マネージャーさん
- ほんとに。
- 槇原
- だって、犬の槇原‥‥って言われてたんですよ。
- ふじた
- 長年、たくさんの犬と暮らされてますもんね。
- 槇原
- そうなんです。ずっと犬がいて、
いまは、フレンチブルが2匹。
- ふじた
- そんな槇原さんが、猫とも暮らそうと思われた
きっかけは何だったんですか。
- 槇原
- これがもう、乱暴な話でございまして。
ぼくの誕生日に、同じ会社の仲間が突然、
「これ、あげる」と言って、
ドラミちゃんを連れて来たんです。
- タナカ
- え、何も意向を聞かずに、ですか?
- 槇原
- はい。
うち、動物がいっぱいいるので、
「猫が増えても大丈夫でしょ」
みたいな感じだったんでしょうね。
「ええっ!」となって。
でもぼく、
もともとすごく猫と暮らしたかったんですよ。
- ふじた
- そうなんですね。
- 槇原
- 犬も猫も好きなんです。
前にも、うちのマンションの前に
捨てられていた猫がいて、
「じゃ、もう、うちで飼おうか」なんて言って、
拾って帰ったことがあります。
でも大人の猫だったからか、
うちに犬が多かったからか、
ずーっとカッカカッカ言っちゃって、
ストレスを感じていそうだったので、
やむなく、知り合いの家で
暮らしてもらうことになったんですけどね。
でもそのときから「やっぱり猫、かわいいな」と。
- タナカ
- でも、突然「あげる」って、
なかなか乱暴な話ですね。
- 槇原
- ぼくもびっくりしました。
ただ、ぼくは、生きものについては、
自分のところに来たら、
それはもう縁だから受け入れようと
思っているんです。
しかも、めちゃくちゃかわいかったので。
- ふじた
- (ドラミちゃんを見ながら)
確かにかわいい‥‥。
- 槇原
- そうなんです。
犬も猫も鼻がぺっちゃんこの子が好きで。
もちろん普通の猫でもいいなと思っていたんですけど、
この子と出会って縁ができて、
猫ライフがはじまりまして。
今年でもう4年目、かな。
- ふじた
- 出会ったばかりの
ドラミちゃんは小さかったですか?
- 槇原
- ちっちゃい!
(両手を合わせて)こーんなでしたよ。
何ヶ月だったかな。
- マネージャーさん
- 3ヶ月くらいですね。
3ヶ月未満は親猫と離しちゃいけないということで、
それまではブリーダーさんが
育ててくださってたみたいです。
- 槇原
- そうそう。
で、もらった場所がまたすごくて、
静岡の浜松なんです。
浜松公演の前日にみんなが、
ぼくの誕生日パーティーを開いてくれたんですけど、
そこに、いきなり、猫が。
- タナカ
- 公演中に‥‥!
- 槇原
- びっくりですよね(笑)。
いまは、そういうことはないんですけども、
そのあと説教しましたからね。
「生きものをくれるときは、
前もって相談してくれ」と。
ただ、ぼくの性格って、
「じゃあ、まあ、しょうがない」と言って、
捨て犬とかもすぐ拾うほうなので‥‥。
- ふじた
- もともとは、もっとたくさんの
犬がいたんですよね。
ドラミちゃんが来たときは
何匹くらいいたんですか?
- 槇原
- えっと、そのときは6匹かな。
デビット、マーガレット、ダイアナ、
ジュニア、ヤクルト、チャーリー‥‥
- タナカ
- すごい。
- ふじた
- ドラミちゃんを迎えたときの、
みんなの反応はどうでした?
- 槇原
- 前の子のこともあったので、
もう慣れさせるしかないと思って、
子猫のドラミをみんなの前に
「はい」って出したんです。
みんな、じいーっと見てました。
で、大丈夫だったんですけど、
いちばん年下の2匹が、じいっとドラミを見た後に、
パクッてしたんですよ。
もちろん甘噛みですけど、あせりましたね。
そんなことがあったんですけど、
ドラミはそれでも、自分と目線が同じ犬たちに
どんどん心を開いていきまして‥‥。
先に仲良くなったのは、
ぼくじゃなくて犬たちのほうです。
- タナカ
- へえーー!
- 槇原
- かわいいんですよ。
犬と一緒に寝たり、
犬のあとをちょこちょこ追いかけ回したり。
あと、ドラミをベッドに上げると、
そこにいたお姉ちゃんの犬が
ドラミの毛繕いをはじめたり。
「うわーっ、いいなあ」という状況が、
しばらく続きましたね。
- ふじた
- 見ているだけで癒されそうですね。
それにしても、いきなり
「はいっ」と見せるのもすごいです。
最初はケージとかに入れて、
そっと反応を見ながら慣れさせていく、
と聞いたことがありますが、
槇原さんのほうでも、
迎え入れる側に受け入れ態勢があるって
信じていたところがあるんでしょうか。
- 槇原
- そうですね。
動物って、種類に関係なく小さい子に
やさしくすると聞いていましたし、
実際、そうでした。
うちの犬にしてみたら、
「また増えたな」
「しょうがねえな」みたいな感じだったんでしょうね。
あと、この子があんまり機敏ではなくて、
ドスッとしているので、
それもよかったのかもしれません。
- ふじた
- たしかに、おっとりしている感じですよね。
さきほど、捨てられていた猫を
一瞬飼おうとしたことがあると
おっしゃってましたけど、
それより前に猫と暮らしたことは‥‥。
- 槇原
- なかったです。
ちゃんと暮らしたのは、この子がはじめてです。
だから、最初は戸惑ってばかりでした。
犬なら「おいで!」と言えば、
ビューッと来るんですけど、
猫はどこに行ったのかもわからないし。
最初のころ、今から出かけなくちゃいけないのに
ドラミがいない、となって、
小1時間探したら、なんとお米の袋の中に。
- タナカ
- お米の袋!
- ふじた
- かわいい‥‥!
- 槇原
- 犬、とくにうちの犬の種類だと
ガチャガチャ足音がするので
近くにいるのがわかるんですけど、
猫はまったく音がしないので、
どうしていいのか最初は困りましたね。
- タナカ
- 猫は爪を出し入れできますからね。
フローリングでも音がしない。
- 槇原
- そうなんですよ。
そういうことも最初は慣れなかったです。
最初の1年くらいは、
ぼくが猫の習性を勉強していく、みたいな感じでした。
お恥ずかしい話、最初はあまりに
犬との生活に慣れていたので、
まったく反対の習性の猫が来て、
「なんでこう、自分たちの思ったとおりに
いかないんだろう」
と悩んだこともあったんです。
でも、そこで
「あっ、思ったとおりにいかない生きものなんだ」
と気付いてからは
逆にそれがいいと思えるようになりました。
「いや、寄ってこないですよね」と思っていて、
忘れたころに突然やってくる。
そういうことがだんだんわかってきました。
- ふじた
- たしかに。
犬との暮らしに慣れたあとだと、
違いに驚くかもしれないですね。
- 槇原
- ただ、唯一、猫じゃらしを見せたときは、
シャーッて飛んで来てくれるんです。
うちの犬の場合は、おもちゃで遊びたいときと、
遊びたくないときがあるんですけど、
猫って猫じゃらしを見せると
必ず来てくれるじゃないですか。
- ふじた
- はい。子猫のころはとくにそうですよね。
- 槇原
- そうなんです。
ぼく、それにだいぶ心を癒されました。
(つづきます)
2019-02-22-FRI