2.ひたすらかわいさを語る。
- ふじた
- ドラミちゃんという名前は、
どんなふうに決めたんですか?
- 槇原
- それが、もともとドラミは仮名で、
あとで気の利いた名前を付けようと思っていたんです。
歌う猫、というのをYouTubeで見ていて、
それがこの種類の猫で、その子の名前が
「ドラミちゃん」だったんですよ。
「なんかいい名前だな」と思って、
「ドラミ(仮)」と呼んでいたんです。
- ふじた
- (仮)が付いていたんですね。
- 槇原
- はい。
ぼくはたくさんの犬を飼ってきたので、
名前によって性格が変わるということを、
すごく実感していまして。
- タナカ
- え、名前でその子の性格が‥‥?
- 槇原
- たとえば、うちにいたマリオという犬は、
ラテン系というか、そこら辺中のメスに
声をかけるような、
そんな感じに育ってしまって(笑)。
それで、やっぱり名前は慎重にならなくちゃ、
と思ったんですけども、
「ドラミ」が言いやすくなっちゃって、それでこのまま。
- ふじた
- かわいい名前ですよね。
あの、以前の槇原さんのツイッターに、
犬だったらごはんを出すとすぐ食べてくれるのに、
猫は食べない、どうしてだろう、という
投稿がありましたね。
- 槇原
- そうそう、びっくりしたんです。
だって、犬たちは、出した瞬間に
うわーっと争奪戦のように食べるんです。
「え、猫ってこんなにのんびりしてるの」みたいな。
しかも、問題なのは、
猫のぶんまで犬が食べちゃうことなんです。
- タナカ
- 猫のごはんが好きな犬もいるんですよね。
猫は基本肉食だからフードが高タンパクですが、
犬はそういうのもらえないから。
- 槇原
- そう、本当においしいみたいで、
ばくばく食べているので「ダメ!」って。
そういうことをやっているうちに、
猫の居場所を作ってあげないといけないなと
思うようになりました。
毎回、何かあってから1つずつ考える、
みたいな感じです。
それで猫のごはんを高い場所に移動しまして。
- タナカ
- よかった。
高いところなら猫しか行けないから。
- 槇原
- そうですね。
でも、それがですよ、最近、
犬のデビットっていうやつが、
そこに行けるようになったんです。
- タナカ
- 嗅ぎつけた(笑)。
- 槇原
- 階段の上なんですけど、
犬って、奥に板のない、
向こうが見える階段が怖くて登れないんです。
なのに、その恐怖心を乗り越えて
上がろうとするんです。
だから今度は階段に柵を置いて何とか守ってあげて‥‥。
- ふじた
- 攻防戦ですね(笑)
- 槇原
- あ、攻防戦といえば、
トイレについても言いたい。
トイレに関しては、猫ってほーんとすばらしい。
もうスタンディングオベーションで称えたいですよ。
- ふじた
- 一回で覚えましたか。
- 槇原
- はい、一回で。
最初、普通のトレーを置いていたんですけど、
そこですぐにしてくれました。
でも、「すごい、やってくれたよ」なんて思ってたら、
またそこで犬のデビットが
敷いている粒々のものを食べようとするんですよ。
- ふじた
- ああ、猫砂を。
- 槇原
- 気が付いたら、モッシャモシャ食べていて、
「ああ、このトイレじゃダメだ」と思って、
扉と屋根が付いているトイレを見つけて、
じゃ、これにしてみようと買ったら、
それもちゃんと入ってくれたんです。
「うわー、猫、やっぱりすごいね」と思いました。
そしたら今度はその扉から首を突っ込んで、
またモッシャモシャ食べるやつがいて、
見ると、またデビット(笑)。
それで今度は
「上から入るトイレ」というのを買いまして。
- ふじた
- あ、見たことあります。
- 槇原
- あれを作った人はね、すばらしい。
- ふじた
- 上に出入りする穴が開いている、
ちょっと斬新な形のトイレですよね。
あれもすぐ使ってくれたんですか。
- 槇原
- 使いました。
猫というのは、自分のトイレのことを
よくわかっていると思いました。
ぜんぜん教えていないのに、不思議です。
あと、キャットタワーもかわいいのを買ったんですけど、
それを置いても、
しばらく登ってくれなかったんです。
でも何日か経って、ふと上を見て、
「わっ」となりました。
キャットタワーの上から
ドラミがぼくを見ていたんです。
- ふじた
- そういうときは、ちょっとたまらないですね。
- 槇原
- たまらないですね。
「使ってくださった」みたいな。
猫って、そういう感じですね。
冷静に考えると、なんでこっちが
感謝しなきゃいけないんだ(笑)。
- ふじたタナカ
- (笑)
- 槇原
- ただ、やっぱり犬の中で育っているので、
普通の猫よりはだいぶ犬寄りらしいんです。
ツアーのときは、
健康診断も兼ねて病院に預けるんですけど、
「いや、槇原さんとこの猫は、犬化してますね」
と言われて。
- タナカ
- 犬化?
- 槇原
- 犬には何も威嚇しないのに、
猫が来ると威嚇するらしいんです。
シャーッてなるらしくて。
うちで怒ったところをあんまり見たことがなかったので、
ちょっと驚きでした。
- ふじた
- 犬のほうが仲間で、
安全だと思ってるんですね。
あの、預けていて、
久しぶりに再会したときのドラミちゃんは
どんな感じなんですか?
わりとクールなんですか?
- 槇原
- 怒ってますね。
「ひとりにしやがって」みたいな感じで。
お医者さんも看護師さんも
かわいがってくれるんですけど、それでもやっぱりね。
それで、ぴょんと抱きあげると、
肩をこう、ぎゅうっと掴むんです。
「もう、降りません」みたいな感じになるんです。
- ふじた
- ぎゅうって。
かわいいですよね、手。
- 槇原
- 手、かわいいですよね、猫ってね。
不思議なのは、
預け先の病院に迎えに行くと、
ぼくの姿がまだ見えないうちから
気配でわかるみたいで、
ニャーニャー鳴きはじめるんです。
いくらぼくが変装してもぼくだとわかるし。
たぶん、犬とか猫って、人間には見えない、
なにかを感じているんだと思います。
- ふじた
- ああ、わかる気がします。
- 槇原
- ただぼくが失敗しちゃったのは、
よく動画とかで猫とチュッチュッって
してる人たちがいるじゃないですか。
あれ羨ましいんです。
ぼく、最初にミスっちゃったのか、
口を持って行くと「嫌だ」ってよけられるんです。
あと、「踏み踏み」をしに来るときも、
普通だったら飼い主のお腹とかで
「踏み踏み」するじゃないですか。
なぜかドラミは、ぼくの横でやるんです。
- タナカ
- 場所を間違えてる(笑)。
- 槇原
- あのう、もうちょっと
こっちなんだけど‥‥って(笑)。
(つづきます)
2019-02-23-SAT