第5回
勢いに任せて「本にしたい!」と
糸井さんにオファーを出したものの、
しかし、ちょっと待てよ・・・。
一発逆転プランも何も、
現段階で私の頭の中に具体的なアイディアが
あるわけでもないし、
販売の計画と言われても、
社内的にそうそうすぐにまとまるとは思えません。
かと言って、グズグズしていて時間が経ってしまえば
糸井さんに
「もう諦めたのかな」
と思われてしまいます。
そこで私は、自分のフライングを詫び、
率直に今の状況を伝え、
少し時間をいただきたいとお願いするメールを
送信しました。
すると、またまたすぐに
糸井さんから返信メールが届きました。
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あわてさせて申しわけありません。
イトイです。
気にせず、ごゆっくり、どうぞ。
ぼくは、ただ単に、
「あんまりかまわれずに、 出ただけで
終わりにさせられてしまうほとんどの本」
と、おなじにさせたくないということだけを、
「企画意図」にしています。
いい本、わるい本、安い本高い本、
売れた本と売れなかった本。
いろいろあるけれど、
不幸せな本ではなく、幸せな本になりたいとだけ思う。
そういうような気持ちがあるので、
いちばん幸せな本になれる道を探しているのです。
すいません、なまいきっぽいでしょうか。
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幸せな本・・・ですかあ。
いいですねえ、幸せな本。
作りたいですねえ、いちばん幸せな本。
メールの行間から滲み出る、糸井さんの
「80代〜」という企画への深い愛情と、
それを本にすることに対する真摯な気持ちを
ひしひしと感じた私は、
そんな糸井さんの気持ちに応えられる本を作りたい!
否、きっと作ってみせるのだ!
と、俄然やる気になってしまったのです。
さあ、どうしたもんか・・・です。
『豆炭とパソコン』
糸井重里著
1400円
世界文化社
ISBN: 4-418-00520-X
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