３月から４月にかけて、私たちは
サンドイッチの選定と
オリジナルサンドイッチの試作に
時間を費やしました。

まずは「メルヘンたからばこ」の
ラインナップの相談です。
メルヘンのサンドイッチの中で
好きなものを挙げればいいだけなので、
簡単そうに思えたのですが、
「あれもいいねぇ」「これも好き」
「でもガッツリ系ばかりだと彩りが茶色っぽい」
「そもそもパッケージにこんなにいっぱい入りません」
などということになって、なかなか決まりません。

そして、オリジナルサンドイッチの試作は、
たのしくてたのしくて、
メニューを決めるどころじゃない。

じっさいにメルヘンさんが
サンドイッチに使っているパンを使って、
ほぼ日のキッチンで、思いついた具材を
つきつぎにはさみ込んでは、食べ‥‥。

はさみ込んでは、食べ‥‥。

時間が矢のようにすぎて夕暮れになっても、
はさみ込んでは、食べ‥‥。

カレーをサンド、アボカドをサンド、
意外な食材を思いつくままつぎつぎサンド‥‥。
「うまい」「あんがいいける」などと言い合う、
だたただたのしい時間がつづきました。

そう、私たちは、
サンドイッチパーティーをしていました。
なぜあんなにも、たのしい時間だったのでしょう。
メルヘンのパンがまず、おいしかったからです。
なにをはさんでもおいしい！　
しかし、たのしいだけで終わっては、
もちろんだめに決まっています。
私たちは真剣に
「なにサンドを『生活のたのしみ展』に並べるか」
を決めなければいけないのです。

ここで、糸井が
サンドイッチの具材として
個人的に心であたためていたものについて
話しはじめました。

それは「海苔」でした。

海苔、イコール、おにぎり。
そうです、海苔のイメージは、
サンドイッチではなくおにぎりでしょう。
糸井は真剣でした。
海苔をクリームチーズと合わせて、
しかもそれに「おかか」をまぶしてはどうかと
言い出したのです。

海苔、おかか、そこにクリームチーズ。
その３つの取り合わせを聞いて、
私たちは心をおにぎりから離し、
ブンブンとこれ以上ないくらい頭を降って、激同しました。
おかかとチーズで風味を増した海苔を、
あのしっとりしたメルヘンの生パンにはさむのです。
想像調味の段階で「成功」という文字が浮かびます。

しかも、しかも。
糸井はこう言うのです。
「そのサンドイッチの主人公となる海苔は
ほぼ日のごちそう海苔「海大臣」にしたい」
あの、磯の香り高い、毎年WEBで完売する、
海苔だけでいくらでも食べられる、
ごちそう海苔をサンドイッチにはさむのだ‥‥。

私たちは以上のような言葉ぜめによって、
完全に飛びあがっていました。
すごい、すごい、さすが我が社長！

糸井は、カレーも大好きです。
いろんな具材候補があった中、
やっぱりカレーサンドを作ってみたい、とのこと。
そこで、いろんなタイプのカレーを用意し、
そのままぬったり具をペースト状にしてはさんだり、
きゅうりを入れたりして試しました。
私たちの大好きなカレースパイス
「カレーの恩返し」を使うと、
サンドイッチにしたときにも
香りが華やかになりました。
さらにここにもうひと工夫あれば完成する気がする！　
チーズを入れるのか？　はたまた薬味的な野菜なのか？

じつは私たちカロリーメイツは、
１種類はフライもののサンドイッチを
メニューに入れたいという、ゆずれない思いがありました。
エビフライ、トンカツ、フィッシュフライ、
チキンカツ、サーモンフライ‥‥。
どんなフライにするにせよ、
私たちには実現したい味つけがあったのです。
それは、ほぼ日の毎週の給食で頻繁に出される、
しば漬けの入ったタルタルソースです。
あのさわやかな酸味のあるソースは、
特に魚介類の揚げものにぴったりで、
はじめて食べたときは驚いたものです。

私たちは、まだまだ完成形ではない
この３つの希望を
メルヘンのみなさんにお伝えすることにしました。

メルヘンさんは、まず海大臣のおいしさに
驚いてくださいました。
味と香りの濃い海大臣を主人公にすることで、
ほかにない風味の、特別なサンドイッチがうまれます。
おかかには醤油がまぶされるのですが、
この醤油の分量が味を左右するので、
味の調整を重ね、さらにキュウリもはさみました。
まずはひとつめ、
「海大臣のおかかクリームチーズサンド」が完成。
このサンドイッチは、メルヘンのみなさんも
驚きの完成度です。

それから「カレーの恩返し」を使った
カレーサンドイッチは、
パンとのなじみがよいキーマカレーを
はさむことになりました。
「カレーの恩返し」の香りを楽しむために、味のベースは、
タイ風やアジア風ではなく、王道のインドカレーに。
ひき肉と５種類の豆で風味と彩りを加え、
まろやかなたまごをあわせて
サンドイッチすることにしました。
カレーの恩返しの華やかな香りとたまごのやさしい味が、
ほんとうにバッチリマッチしていて、
試食したときに私たちもうなりました。

おかずサンドのラストは、
しば漬けのタルタルソースを使ったサンドイッチです。
メルヘンのみなさんは、
ピクルスの代わりにしば漬けを使うというアイデアを
おもしろがってくださいました。
そして、このさわやかな、
塩気と酸味のきいたタルタルソースには、
シンプルな白身のフィッシュフライが
合うだろうとのお答え。
キャベツや大葉もあわせてはさみ、試作を重ねて、
タルタルソースのジューシー感が
味わえるようにしました。

そして、できあがったのが、
こちらの３品です。

海大臣のおかかクリームチーズサンド。
恩返しキーマカレーサンド。
柴づけタルタルのフィッシュサンド。

メルヘンさんが完成まで
しあげてくださったサンドイッチを、
糸井重里があらためて試食しました。
海苔、カレー、フィッシュフライ。
どれもまちがいのないおいしさです。

この、ほかにないオリジナルサンドは、
「生活のたのしみ展」においでくださったみなさまに、
ぜひ味わっていただきたいと思います。

そして、そうです、私たちは忘れてはいません。
「メルヘンたからばこ」と、そして、
大事な大事な、フルーツサンドの存在を。

それについては、明日お伝えします。