梅の実が青々と実る下で、
薄黄緑のあじさいの花が
少しづつ色づく季節になりました。
梅雨入りですね。
傘や長靴は面倒ですが、地面に染み入る雨粒を見てると、
草木にとっては恵みそのものと、
見えない根っこが潤うのを想像しながら、
曇天も楽しめればと思ったりする水無月です。
最近、おいしいなぁ〜と感動した(大袈裟ですね。
今に始まったことじゃないですけれど)菓子があります。
確か、ずっと前に書いたことがあったと思うのですが、
地元で親戚付き合いをしてるお店なので、
頻繁に出すのも‥‥と控えてました。
ただ新作があまりにおいしかったので、
これは是非に! と。
横浜の山手に「えの木てい」という喫茶店があって、
料理上手だった初代オーナー
(というと堅苦しい感じですが、
小柄な優しいおばさまでした)のレシピを守って、
今も変わらず、
おいしい生ケーキや焼き菓子が置かれてます。
2代目は学生の頃からモデルもしてた
麗しくも活発なタイプで、
山手通りを犬と散歩するスラッと伸びやかな姿は
「まさに横浜って感じだなぁ‥‥」と、
黄色い帽子にランドセルで登校してた小学生の私の目には
憧れとともに焼き付きました。
そんな、私にとっては姉のような従姉妹のような
2代目は、先代のレシピを守りつつ、
新作も色々と練り出す発想家で、
「おみやげに持って帰りたい」とか
「送りたい」という声に何とか応えようと、
自宅だった洋館を改築した店の2階に
今ではおみやげ用の部屋を開けています。
中でも人気なのがチェリーサンドという、
クリームとさくらんぼのコンポートを
クッキーではさんだ菓子で、
実際、手みやげに持って行くと喜んでいただけたり、
店に買いに行ってみたと
後々言っていただく率が高い品です。
というか、おいしいので、
わたし自身だいたい家の冷蔵庫に入れてて
今日はよく働いたナ〜と思う時などに
ひとつ食べたりしてます。
そのチョコレート版が出たわけです。
これが、相当おいしくて‥‥
チョコレート地のクッキーにチョコクリームと
さくらんぼ漬けがはさんである
しっとりした姉妹品に仕上がってます。
どっちにしようか、今では結構悩みながら
半々、買って帰ってきてます。
クリームとクッキーの比率とか、
生地をしっとりさせるかサクサクさせるか
とか、チョコレート味をどのくらい濃厚にするかとか、
アルコールを効かせるか少なめかとか、
完成品の配分を絶妙に仕上げるには
試行錯誤を経たのだろうなぁ‥‥と、思わず想像します。
この後も、検討中の試作品はいろいろあるようです。
全部、手仕事の商売なので、通信や流通の早さとは別の、
花が咲いたり、月が満ち欠けしたり、
葉が色づいて初雪が舞ったりする暮らしの速度で、
満を持しての品が登場してくるかと期待しつつ、
次はどんな味かと勝手に考えてみたりしています。
良い梅雨を‥‥ってヘンですか?
梅雨の晴れ間や雨の朝にも、良い時間を。
わたなべ まり |