五山の送り火も終わり、
今年の夏も逝こうとしています。
着物や手紙のように、季節を少しだけ先取りしながら
進められたら‥‥と日頃から思う菓子の話も、
今回はまた遅ればせながらの報告です。
(というより、季節とほぼ関係ない
菓子の登場回数を思うと、
今更お詫び? な感じは書いててもしますが。)
五山の送り火の日、
こんな美味しい鮎は食べたことないなぁ‥‥と思いつつ
刺身からお粥から色んな鮎料理をいただく平野屋さんで
お料理にあわせて、最初、あるいは最後に
“しんこ団子”が出ます。
(これまで鮎というものを
美味しいと感じたことがない身としては
毎年──と言っても、まだ2回目だけど──、
目から鱗の大文字の宵なのです。
春先の稚鮎やふきのとうのてんぷらなど
食べなきゃならない状況の場合、
残念ながら、ほとんど苦行でしかないという
哀しい現実+味覚なので。)
この“しんこ団子”が、おいしいのです。
いや、おいしいのか、ゆかしいのか
分からない感じではあるのですが。
これを毎日、食べたいとか、
好きな銘柄のチョコみたいに常駐させたいかと言うと、
そうではなくて。
あくまで、その日、その空気や風や湿気の中、
あぁおいしい‥‥と
しみじみ思う部類の菓子なのです。
なんで三色なのか、なんでひねってあるのかなど、
歴史や由緒好きの向きには
尽きない深さがありそうですが、
それはひとまず置いといて‥‥。
夏の名残を分かち合いたくなるような風情でしたので
遅ればせながら目だけででも愉しんでいただければ、
と思いました。
名残りの暑さも厳しいようですが、どうかお気をつけて。
わたなべ まり |