しっかりとした菓子が食べたくなるこの頃です。
しっかりしたというのは
着実においしいというか、
派手じゃないけど上質な、
ゆるぎなく誠実な味
というような意味合いです。
九段の「ゴンドラ」という老舗洋菓子屋さんに
丸い缶入りのパウンドケーキがあります。
なんで缶に入っているのか聞いたことはありませんが、
(やっぱり品質なんでしょうか)
箱も缶も、とても素朴で可愛らしい雰囲気です。
リボンをほどいて缶を開ける時、
洋菓子が贅沢だったころの空気が
そのまま伝わってくるような
ちょっと特別な気分にさせてくれる包みです。
もっと素晴らしいのは中身で、
缶いっぱいにスポンジが丸くおさまっています。
素朴な重厚感とフワッと香るラム酒とバターが
丁寧で変わらない職人技を届けてくれて、
嬉しいような懐かしいような気持ちになります。
缶入りパウンドケーキの大きさは15cm、18cm、21cmと
三段階あって、21cmとなるとけっこう壮観です。
パウンドケーキというとたて長のイメージですが、
焼き上がりもしっとりしていて
堅さはほとんどありません。
誠実においしいものをしっかり味わって
腹ごしらえして
真っ直ぐ前を見ながら、
着実に歩いていきたい春なかばです。
きみどりの新芽が見る見る伸びて、
まぶしい季節になりますね。
どうかよい初夏を迎えられますよう。
わたなべ まり
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