秋の足音に、うさぎ菓子。

数日、降りつづいた雨がやんだら、
秋になっていました。

あんなににぎやかだった蝉の声も
ほとんど止んで、
かわりに、夕闇がせまると
そこここの草むらから、
いっせいに地虫の音が聞こえてきます。

夏の背中と秋のつま先が
もしかしたら、虫たちの目には
見えてるのかもしれないなぁ
なんて気もするここ数日です。

逝く夏を惜しむうちに、
月は、みるみる
冴え冴えと澄んできますね。

月にはうさぎがいる。。。
今昔物語集にも悲しいような切ないような
逸話がありますが、
あんまり大きくて綺麗な月を眺めてると、
何となく、うさぎを探してる自分がいたりしませんか。
千年前も、似たような気持ちで月を見上げてた
人がいるのかもしれないと思うと、
なんだか不思議なような、
どことなく嬉しいような。

めずらしく、棹ものです。
金太郎飴みたいに、切っても切っても
このうさぎさんと月が出てくるので、
何人かで集まる時や
この時期の手みやげには良いかと。

棹ものは、さすがに一人でいただくには
量的に無理がありますし、
何より、切っては出てくるうさぎさんを
ひとりでパカパカ食べてたら
申し訳ないですしね。

ひとり用としては、こちらの方がお薦めです。
棹のなかのうさぎがほっそり、
しなやかな感じだとしたら、
こちらはコロンと丸っこくて可愛いうさぎです。

すすきとお団子と一緒に飾っても
似合いそうですよね。
そういえば、子どもの頃、
なんでお月見のお団子は甘くないのかなぁ〜
と、かなり不満に思ってたことを思い出しました。
収穫を祝うわけですから、真っ白なお団子で
理に叶ってるわけですけれど、
もっとおいしい方がいいなぁ…と。
おとなになって、やっと
すすきに白いお団子の(絵的な)良さを
わかるようになりました。

うさぎさん菓子の外側は、こんな感じでした。

今年の収穫と、
めいっぱい鳴いて生きた夏の虫たちにも
感謝しつつ、
良い仲秋の名月を。



わたなべ まり

 

●源吉兆庵

 

2014-09-05-FRI