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酷暑の夏もようやく過ぎて、 月がきれいになってきました。 もうすぐ、十五夜ですね。 今年は、9月24日が中秋の名月とか。 何年か前に、ここに書こうと調べて知ったのですが、 旧暦でいうと、秋は7月、8月、9月、 そのちょうど真ん中の8月15日が まさに、秋の真ん中にあたるということから、 その夜に出る月を中秋の名月と愛でてきたとのこと。 今の暦(太陽暦)にすると、 その日が、今年は9月24日に当たるんですね。 月の満ち欠けでいうと、 その翌日、9月25日が満月になるそうです。 秋の夜空に、きれいな月がぽっかりと浮かんだような 棹物の和菓子です。 その名も、月あかり。 なめらかな羊羹のなかに、 月に見立てたまるい栗きんとんが浮かんでます。 冷やしていただく和菓子だからか、 水羊羹のような小豆の風味に、 微かに夏の名残りも感じるような。 と言いつつも、 満月のような栗きんとんは、 こっくりと濃厚な秋を思わせて、 過ぎゆく夏と、近づく秋が 同居しているような味わいです。 夏と秋が交差するような おいしい和菓子を、もうひとつ。 みずみずしい立派な熊笹の葉に大事にくるまれた 栗の葛菓子です。 笹くり、というそうです。 裏漉しした栗と葛とを練り上げてあって、 つるんとした喉ごしのよい食感です。 冷やしてもおいしく、蒸したりレンジで少し温めても また違う食感を楽しめるとか。 栗菓子といえば、もうひとつ。 「わたぼうし」という、お大福のような求肥菓子を。 粗濾しした栗きんとんみたいに 栗の味がぎゅっと凝縮された栗餡を やわらかい白い求肥でくるんであります。 たしかに、花嫁さんのかぶるわたぼうしのような 出で立ちにも見えてくる気が。 新栗の香りとほくほくしたおいしさに、 今年も秋がめぐってきたなぁ、と実感する 生菓子です。 そして、和久傳さんといえば もう10年以上前から創業の地、京都の丹後に 3万本の木を植えて拓いてきた 雄大な和久傳の森がありますが、 そこに建つ「森の中の家」は、安野光雅さんの美術館。 行楽の秋、 きれいな緑の中に佇む森の家に、 安野光雅さんの作品たちを訪ねるなんて、 想像するだけでも楽しそう。 こんな可愛らしい絵本も出ています。 中は、パラパラっと、こんな感じ。 いかにも、あそび好きで理知的な安野さんらしい、 可愛らしくて、ウィットに富んでいて、 シンプルなのだけど、面白がりながら考えるきかっけに なるような楽しい絵本です。 まぶしすぎる日差しも、 肌がヒリヒリするような暑さも、 遠くにわく入道雲も、 過ぎてみると、ちょっと淋しい気分になりますけれど、 夏の疲れは、遅れて秋のはじめに来たりするもの。 心身の疲れをほぐしつつ、 どうか、気持ちのよい初秋と 良いお月見を。 わたなべ まり |
2018-09-21-FRI
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