めでたく、亥最中で迎春を。

あけまして
おめでとうございます。

日にちで言えば
一週間前に、クリスマスの和菓子を堪能したばかりですが、
年の初めも、やはりめでたい和菓子で始めたいもの、
じゃないですか?
手前勝手にそう解釈いたしまして、
こんな感じは、いかがでしょう?



餡ことおぼしき表記のある箱が
並んでるだけ。。。なのですが、
中身は、こういう菓子なんです。



干支最中の亥です。
イノシシ柄の皮に、自分で餡こを詰めるタイプの。
小ぶりなサイズの最中ですが、
デザインされてるイノシシはふっくらしてて
可愛らしいフィギュアです。



よく見ると、キリッとした顔の
イノシシたちなのですよね。
四字熟語でも猪突猛進なんていいますが、
「よし、行くぞ!」みたいな意志が
感じられる横顔です。



そして、手足はまさに
猛進してる真っ最中の様子です。
前足も後ろ足も、ピンと地面に水平に
空を飛んでいる状態といいますか。



まったく関係ないのですが、
この地面と水平に地を蹴って空を飛ぶ
イノシシの姿で
思い出してしまったことがあります。

飛行犬という撮影をご存じですか?
全速力で駆けた時、前足も後ろ足もピンと伸ばして、
全身が地面と水平になった瞬間を捉える写真で、
まるで空を飛んでるように見えるので
飛行犬、なのですね。
チワワもダックスも、ラブラドールもシェパードも、
みんな本当に空を飛んでるみたいに勇壮で
気持ちよさそうです。

近くを通ったこともあって、
数年前、 うちのセントバーナードも撮影に挑んだのですが、
なんていうのかな、
ほとんど地面から足が離れない。。。。
わずかに、離れたところを狙って高速カメラで
撮ってもらったけれど、普通に歩いてる写真でした。
親の欲目でいうと、
ものすごくかっこいい早歩きだったんですけどね。

そっか、イノシシはこういう姿になれるのか。。。
と、最中を見てしみじみ思った年の初め。
和菓子なんだから、うちの子と比較しても
しょうがないのですが。

すみません、閑話休題。
最中に詰める餡こは、この3種類です。



小豆と、トマトと、かぶせ茶です。
うーん、トマトかぁ。。。と思いながら、
書いている現時点で、まだトマト餡は試していません。

50代になってますます大ざっぱに、
野放図な感じになってきてると自覚するわたくしですが、
味に関しては自由になってるとは言い難く、
コンサバと申しますか、頑なといいますか。
冒険するより、ひとつ食べるんだったら
オーソドックスな味を選んじゃうんですよねぇ。
これが加齢ってことなのか、守りに入るってことなのか。

気を取り直して、
もうひとつ、亥の菓子を。



どら焼きのように、餡こを皮ではさんである
ふわっとした和菓子です。
初春の限定品には、イノシシの焼印が。



普通のどら焼きより淡いクリーム色なので、
たたずむイノシシ柄がくっきりと浮かび上がってます。
イノシシの子ども、ウリ坊なのかな、
若干、物思いにふけっている風情に惹かれます。



中にはしっかり餡こが入っていて、
食感としては、ふわっとやわらかく、
しっとりとなめらかな生地です。

そういえば、干支には関係ないのですが、
新年のお手みやげに、こういうのはどうでしょう?



三越の印の押された紫の風呂敷、
芸術的に美しい包み方です。
目の前でササッと、この包みをつくってもらうと
その手際のよさに惚れ惚れします。
こういう美しい使い方をすればいいのね、風呂敷って。
と思うものの、
なかなか真似できる域ではないのが残念。

もったいないけど、この包みを解いていくと。。。







そうなのです。
三越のライオン最中です。

子どもの頃、たまに連れて行ってもらう三越で
一番好きだったのは正面のライオンだったなぁ、と
懐かしく思い出すひと品。

まさに、三越のライオンの佇まい
そのものです。



三越のライオン像が設置されたのは、大正3年。
経営者の日比翁助さんは、お子さんに
「雷音(らいおん)」と名づけるほどライオン好きで、
ライオン像設置の発案者だそうです。

大正3年は西暦にすると、1914年。
オーストリア大公夫妻がサラエボでセルビア人青年に暗殺され、
世界が第一次大戦へと進むなか、
三越呉服店は10月に新装開店。
エスカレーターやライオン像が話題になったといいます。

大戦を超え、災害を超え、
商いや営みは、脈々と、営々と続いてきたのですよね。
短絡的に聞こえるかもしれませんが、
今年も、地道にがんばろ。と思う年初です。
津々浦々の平和を心から願いつつ。



あ、この雷音最中ははじめから
餡こが入ってるタイプなので、
あとから餡こを入れるイノシシ最中とちがって、
外側の皮はパリッとしながらも、食べたとき
ちょっと上顎に貼りつくような最中独特の
あの、おいしさです。

自分で餡こを入れるタイプの
最高にパリッとした食感も捨てがたいですけれど。
もともと海苔が巻いてあるおにぎりのしっとり感と
あとから巻くおにぎりのパリッと感にも似てて、
やっぱり、どっちもいいですよねぇ。

とにもかくにも
今年が、みなさまにとって
良い年となりますよう。

そして、気が向いたときに、
この部屋にお付き合いいただけたら
光栄です。
どうか、楽しく、穏やかなお正月を。


わたなべ まり


 

2019-01-01-TUE

●天平庵
https://www.tenpyoan.com/

●銀座 甘楽
http://www.kanra.co.jp/

●菓匠 花見
https://www.kasho-hanami.co.jp/



ツイートするFacebookでシェアする