お月見と、あま酒と。

今年のお月見は、少し早いような。



お月見は、旧暦の秋の真ん中の夜ですよね。
旧暦の秋は、7月、8月、9月だから、
その真ん真ん中にあたるのは、8月15日。

今年の、旧暦8月15日は
9月13日なので、今夜がお月見になるんですね。



お月見って、
もっと9月も深まった頃のイメージがありませんか?

特に今年は、暑さが長引いたり、
ものすごい大型の台風が直撃したり、と
夏のしっぽが、昨日くらいまで
バタバタと大暴れしてたような感じもする分、
あぁ、秋が来たなぁと
お月見にしっとりと浸るには
どことなく、まだ気持ちが追いついてないような。



でもね、
菓子は、別なんですよね。
お月見が早かろうと遅かろうと、
晴天に冴え冴えとした満月だろうと、
曇天で雲隠れしていようと、
まったく関係なく、楽しめます。

わたしだけですか?そうでもないですよね。





和菓子の月とうさぎ。
真ん中の月が黄身しぐれ、
白いうさぎが、芋あんで
桃色のうさぎが、小豆あんのおまんじゅうです。

うさぎがぷっくらしていて、
なんとも可愛らしい風情です。





月とうさぎというと、
日本では「今昔物語」に登場しますけれど、
わたしとしては、なんていうのかな、
正直、あんまり同調というか、
共感しにくい話だったりするので、
ちょっとパス。
「ちらっと書いといて、何だよ?」と思われた方は
巻五の十三話を見てみていただければ。m(_ _)m

とはいえ……乗りかかった船なので
ものすごいおおざっくり書いてみると、
要は、猿と狐とうさぎが、
帝釈天様にその本性を試される話で、
老人に身をやつした帝釈天様を助けようと
猿は木の実などを持ってきて、狐は魚などを獲ってきて、
でも何もとれなかったうさぎは、火をおこしてもらい
我が身を食してもらおうと火に飛び込む。
それを見た帝釈天様が、うさぎを月に上げてくれるという
ざっと記すと、そんな話です。

というか、
帝釈天様、試す必要ある…?とか、
火に飛び込む発想は、やめない…?とか
細かくつっこみたくなる逸話なのですよね。
でも、多分にわたくしの精進がなってないから
理解不能なのだろうとも思うので、
こんな愛のない伝え方よりも、
ちゃんとした訳を読んでみてくださいね。
そして、機会があれば、この話の真意を教えていただけると
ありがたく。

気を取り直して、かわいいうさぎの菓子を。





そして、その横に
あま酒があったのですよね。

うさぎまんじゅうと同じく、
榮太郎総本舗製の、あま酒が。





燦然と輝いてます。

そもそもですけれど、
あま酒って、おいしいですよねぇ。
ふわっと良い香りがして、
ほんのり甘くて、
どこか懐かしいような味わいで。





栓を開けて、ひと口いただいたら
さらさらしていて、とてものど越しのよい
おいしいあま酒でした。

あま酒といえば、
わたしが小さい頃は自宅で作っていて、
たくさん入ってる米粒を噛みながら飲むのが
楽しかった記憶があります。
温かくしたのをお湯のみに入れてもらって
飲むことが多かったので
なんとなく冬のイメージでしたけれど、
もともと、あま酒は夏の季語。

江戸の昔では、あま酒売りは夏の風物詩で
ひと晩で醸造するところから、一夜酒(ひとよざけ)とも
呼ばれたとか。

夏の終わりの一夜酒と
秋のはじまりの十五夜菓子。
夏と秋が交錯する今時分には
なかなかな取り合わせかも。



月見菓子や、お酒をかたわらに
澄んだ夜空に、きれいなお月さまがみえますように。
良いお月見を。


わたなべ まり

 

 

 

2019-09-13-FRI

榮太樓總本鋪



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