春はそこまで。
桃の節句のひな菓子を。
そんな今年も、
節分がきて、立春がきて、
もう、桃の節句です。



ひな菓子ではないのかもしれないけれど、
きれいな色のもなか、
かた手に、2つ、3つ乗りそうな
かわいらしい大きさです。



こういう色合いを
春色っていうのじゃないかなと思うような。

あんこは、
小倉と、抹茶と、こしあんの3種類。
皮とあんが別々になってて
直前にはさんでいただくと、
ぱりっという感じ、たまりませんよね。



あんを
ちょっと盛っても、
たっぷり多めにはさんでも、
好み次第で自在なのが、なんともうれしく。
よく、あんこがどんと入ってるのはありがたいけど、
皮ももうちょっと食べたいな、なんて
思ったりしませんか?
わたしだけですか。

とにかく、
どのあんにしようか迷いつつ、
小ぶりな皮にはさんでいくのは
ちょっと楽しい感覚です。



そういえば、こういう和菓子を
どうして「もなか(最中)」って言うのかな? と思って
見てみたら、和歌に由来するとのこと。

池の面に照る月なみを数ふれば
       今宵ぞ秋のもなかなりける


拾遺和歌集に収められている源順(みなもとのしたごう)の
この歌を知る公家たちが、
宮中で行われた月見の宴で、
白く丸い餅菓子が供されたときに
「もなかの月」という呼び方をしたとか。

江戸時代に考案された今のもなかの原型も、
この逸話にもとづいて生み出されたそうです。
「もなかの月」が、だんだん「もなか」と
言われるようになったわけですねぇ。

「最中(さいちゅう)」と
まったく同じ字だな? と思ってましたけれど、
下の句の意味の
「今夜こそ、秋のまんなかだなぁ」からきたのなら、
同じ字のはず、
「まんなか」って意味の菓子だったのですね。



そして、桃の節句
ひなまつりといえば、
おひなさま。

おひなさまにちなんだ菓子を
ふたつほど。



かるくて、こうばしい食感、
あわい色合いのおせんべいです。
男雛さま、女雛さまの焼印がまんなかにあって、
裏は、きれいな桃色と若草色。





「右近左近」という名前は
ひなかざりの左近の桜、右近の橘からとか。



小形羊羹も、おひなさまです。

ぼんぼりとひし餅が、抹茶で、
男雛さまと女雛さまが、小倉で、
ぼんぼりとはまぐりが、キャラメル。
ん? キャラメルようかんって、中身は。。。



たしかに、キャラメル色。。。

かさねて、たしかに
キャラメルって何とでもなじみそうな気がします。



ようかんの、この照り。
おいしそうですよねぇ。

あ、でも
こんなにおいしそうに見えるのは
器のおかげも大きいかもしれません。

ほぼ日でも、土鍋やカレー皿が大好評の、
わたしも大好きな土楽窯の福森雅武さんの
器です。



なんともいえない風合い。。。

早春の
星の残る夜明けの空と
大地みたいに、見えてきませんか。。。?



なかなか伊賀の里まで訪れる機会のない方は
先日、放送されたNHK BSプレミアム
「土楽さんの日々(にちにち)」
オンデマンドで、まだ見られるのじゃないかな。

深呼吸したくなるような、うつくしさです。

裏山に眠る
福森さんちの愛犬だった
大きな白い秋田犬のヤン大姉も、
去年うまれた
ちょっと毛足のながいネコちゃんたちも
今ごろ、伊賀の里の早春を満喫してるのでしょうね。

まだまだ肌さむい日は続きそうですが、
よい桃の節句で、春のきざしを。


わたなべ まり




これは、伊賀の里でもなんでもなく、
拙宅近辺のふきのとうです。
散るつばきと、ふきのとう。。。
冬と春が交差していくようなこのごろ、
ご体調などには、どうかお気をつけて。


 

 

2021-03-03-WED

鶴屋吉信
 「IROMONAKA」
 「右近左近」
 「鶴屋吉信ようかん 雛まつり」



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